原題:『極道大戦争』
監督:三池崇史
脚本:山口義高
撮影:神田創
出演:市原隼人/リリー・フランキー/成海璃子/でんでん/優希美青/高島礼子
2015年/日本
「本物」のヤクザを目指して
「純粋」なヤクザ映画というものが存在するのかどうかはともかく、かつては『山口組三代目』(山下耕作監督 1973年)のような実録ヤクザ映画が撮られ、安藤昇のような「本物」が主演を張っていた時代があった。ところが暴力団排除条例などで本物どころか「密接交際者」たちも映画界から姿を消すと、いかにもヤクザ風に見える「ばった者」たちが本物の代わりをし、映画のみならず「東映Vシネマ」というヴィデオのジャンルまで席巻するようになったのである。
しかし当然のことながらヤクザ風に見えることと実質ヤクザであることには雲泥の差があり、本作の「ヤクザヴァンパイア」という設定は老若男女、更には人間であるかどうか問わずいかに「本物」のヤクザに近づけるかという「演技力コンテスト」になり、却って全くヤクザ風に見えない「KAERUくん」の方が人々の恐怖心を煽るという皮肉な状況が生まれるのである。
子供のヤクザヴァンパイアに襲われた車のナンバープレートが「49-89」で「四苦八苦」と読める。『Zアイランド』(品川ヒロシ監督 2015年)とネタが被らなくてよかったね。