原題:『カノン』
監督:雑賀俊朗
脚本:登坂恵里香
撮影:出口朝彦
出演:比嘉愛未/ミムラ/佐々木希/桐山漣/古村比呂/多岐川裕美/島田陽子/鈴木保奈美
2016年/日本
カノンとひまわりの思い出について
平成27年7月、母親代わりに育ててくれた祖母の岸本辰子が亡くなり長女の宮沢紫(ゆかり)、次女の岸本藍と、祖母の後を継いで金沢の料亭を継いでいた三女の岸本茜が久しぶりに集まる。そこで実は母親が生きていることを遺言書で知り物語が展開していく。
しかし三人が母親に会った場所はある施設で、母親の原島美津子はアルコール性認知症を患っていて平成24年から入っている。飲んだくれの母親の思い出しかなかった3人は最初はそんな母親に好意を持てないでいたのであるが、例えば、藍が聡との結婚をいまいち踏み切れなかったり、紫が夫の和彦との関係を顧みたり、茜が慣れない仕事で密かにウイスキーを飲んだりしている時、それが母親の人生とリンクしてくるようになる。
美津子は夫が画家になる夢を叶えさせようと一人で料亭を切り盛りしていた。昭和50年に紫が、昭和61年に藍が、昭和63年に茜が産まれ、順風満帆に見えたが、夫に裏切られたことで深く心に傷を負い、3人の娘を引き取って料亭を出て行くのであるが、美津子が失火で火傷を負ったことから3人の娘は辰子が引き取り、母親は死んだことにして育てられたのである。
ヨハン・パッヘルベルのカノンや向日葵など日本人好みの要素を盛り込み、母親の半生を明らかにしていきながらラストシーンまでの描写は、意外と豪華な女優陣と共に十分見応えがあると思う。