MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『淵に立つ』

2016-10-15 00:10:46 | goo映画レビュー

原題:『Harmonium』
監督:深田晃司
脚本:深田晃司
撮影:根岸憲一
出演:古舘寛治/筒井真理子/浅野忠信/篠川桃音/三浦貴大/太賀/真広佳奈
2016年/日本・フランス

地獄の「ハルモニウム」について

 主人公の鈴岡利雄が妻の章江と10歳の娘の蛍と暮しながら小さな金属加工工場を営んでいたところに、ある日、利雄の友人の八坂草太郎が訪ねてきて3週間ほど工場で働くことになる。
 詳細は省くが、キャンプに行った際に眠っている利雄と蛍を挟んで章江と草太郎が写真を撮るのであるが、それから8年後のラストシーンにおいて草太郎の代わりに彼の息子の山上孝司が加わり川岸で同じような「構図」で4人で横たわることになる。最初の時の幸せそうなその構図は、ラストにおいては地獄絵図と化すのであるが、地獄の「ハルモニウム」を弾くように利雄が懸命になって3人の世話をする様子は、贖罪と言われればそれまでだが、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞しただけの見応えはあるものの、昨今の作品の中で後味の悪さは群を抜いている。


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