原題:『バースデーカード』
監督:吉田康弘
脚本:吉田康弘
撮影:木村信也
出演:橋本愛/ユースケ・サンタマリア/須賀健太/木村多江/中村蒼/宮崎あおい
2016年/日本
もう一つの「クイズ大会」について
主人公の鈴木紀子が10歳の時に病気で亡くなった母親の鈴木芳恵から、紀子が11歳の誕生日から20歳の誕生日まで毎年手紙が届くことでストーリーが展開していくのであるが、ここでは紀子が着ているTシャツに書かれている英文に注目してみたい。
紀子が芳恵と図書館に本を借りに来た時に着ていた紀子のTシャツには「Desires will come to you(欲望があなたの心に湧いてくる)」と書かれている。入院している芳恵のところに紀子が訪ねてきた時に着ていた紀子のTシャツには「Have a cozy talk(気楽に話そう)」と書かれている。紀子が芳恵の親友だった石井沙織が住む小豆島を訪れた時に着ていた紀子のTシャツには「Rise and Grow(元気よく成長しよう)」と書かれているが、これは紀子と、沙織の一人娘で不登校で引きこもっている真帆に向けてのものであろう。19歳の誕生日に紀子が芳恵の手紙を読まないことで父親の宗一郎と喧嘩になった時に着ていた紀子のTシャツには「I am happy that we can smile with you(あなたと一緒に笑えることができることが私の幸せ)」と書かれている。ここまでストーリーとTシャツの「メッセージ」が絶妙に組み合わさっている作品を初めて観た。