MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『Cutie Honey -TEARS-』

2016-10-07 00:04:33 | goo映画レビュー

原題:『Cutie Honey -TEARS-』
監督:A.T./ヒグチリョウ
脚本:中澤圭規/田中靖彦
撮影:大塚雄一郎
出演:西内まりや/三浦貴大/石田ニコル/高岡奏輔/永瀬匡/岩城滉一
2016年/日本

「無駄遣い」されるキャラクターについて

 本格派のSF映画を撮ろうと目論みながらチープに見えてしまう原因は、例えば、富裕層が暮らす上層階から貧困層が暮らす下層階に落ちてきた主人公の如月瞳を育てていた轟夫婦がジャーナリストの早見青児と一緒に瞳を追いかけてきたソドムたちから逃げていたのであるが、隠れていた倉庫の中でソドムが放った爆弾の爆破に巻き込まれてしまい、轟夫婦は2人とも亡くなってしまうが、何故か下層階生まれで特別な能力を持つ訳でもない青児は重傷というほどでもない怪我だけで助かっているのである。
 本作のメインテーマは如月瞳と早見青児が持つファザーコンプレックスだと思うが、瞳が久しぶりに再会した如月博士はAIを支える「空中元素固定装置」の代わりとして機械の中に組み込まれていた。「自分が正しいと思うことをしなさい」と父親に言われた瞳は再び自ら上層階から飛び降り、如月博士が亡くなり「空中元素固定装置」も失った上層階は消失し、垂れ流されていた汚染物質による雲が消えて下層階の人びとの暮らしが守られたらしいのだが、2人のファザーコンプレックスが解決した様子はないし、上層階で平和に暮らしていた人々はどうなったのか心配してしまう。
 キューティーハニーを描きたいというよりもとにかく西内まりやをキューティーハニーにしたかったという企画先行で、ストーリーが十分に練られていないため「涙」を流したいのはお金を払って本作を観た観客の方だと思うが、西内まりやが歌う主題歌「Believe」は、西内がこれまでリリースした曲の中で一番良いといった感想くらいしか持てない。


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