原題:『真田十勇士』
監督:堤幸彦
脚本:マキノノゾミ/鈴木哲也
撮影:唐沢悟
出演:中村勘九郎/松坂桃李/大島優子/加藤雅也/永山絢斗/松平健/大竹しのぶ
2016年/日本
舞台と映画の演出の使い分けについて
『高慢と偏見とゾンビ』(バー・スティアーズ監督 2016年)は「原作物」のパロディとして出来が良い方で、「原作」があるという点においては本作も、冒頭の作風とクライマックスの演出もトリッキーでラストの大胆な「伝説」も面白いのだが、ここでも肝心の合戦シーンをどのように評価するべきだろうか。
大阪冬の陣は何とか乗り切ったが、淀殿の強い意向による大阪城の堀の埋め立ての翌年に豊臣方は大阪夏の陣を迎えることになる。一念発起した真田幸村が十勇士を従え徳川家康の首を獲りに攻勢に出るものの、家康を目の前にして息子の真田大助を庇おうとして幸村が背中を撃たれ、さらに大助も射殺されてしまうのである。もちろんそれを目の当たりにしていた猿飛佐助や霧隠才蔵が2人のみならず、殺された他の仲間の仇を討つために家康を襲うと思いきや、何故かシーンが変わってしまうのである。これは舞台の演出ならばあり得ると思うが、映画の演出としては観客は気がそがれてしまうのではないだろうか。