MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『絆坂』は何処に?

2012-04-15 01:16:20 | Weblog

幸子と騒動の前社長 新会社で再出発(日刊スポーツ) - goo ニュース

 どうやら小林幸子が6月6日に発売予定していた新曲は『絆坂』というタイトルらしいが、

個人事務所「幸子プロモーション」の社長と専務取締役を解任しておいて『絆坂』では

ギャグにしかならないだろう。面白いことに週刊文春と週刊新潮が今回の騒動を取り上げて

それぞれの立場で記事が書かれており、いちいちごもっともなのではあるが、どちらが

正しくても、騒動になってしまったこと自体が明らかに小林幸子にはそうとうなダメージとなる

はずで、何故ここまで揉める事態に至ってしまったのかはやはり小林の夫である林明男に

責任があり、彼の口車に乗ってしまった小林本人にあると思うが、今年の紅白が楽しみだ。


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『トロール・ハンター』 20点

2012-04-14 10:58:47 | goo映画レビュー

トロール・ハンター

2010年/ノルウェー

ネタバレ

‘フェイク’という曖昧な設定

総合★☆☆☆☆ 20

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 4時間ほどの未編集のまま送られてきたヴィデオを編集して上映されるという前提がある本作は、必然的に正確な設定が求められるはずなのであるが、たびたび登場人物の口から無謀な言動が飛び出す(あるいは飛び出さない)と興冷めしてしまう。ノルウェーのヴォルダ大学の学生であるトマスとヨハンナとカルがトロールハンターであるハンズと共にトロールを追跡する過程において、キリスト教信者であるカルがトロールに殺されてしまうのであるが、血液の‘キリスト教臭’に敏感なはずだったトロールを誘い出す手段としてハンズがクルマからキリスト教の宗教音楽を流すという行為は、設定が変わっているのみならず、トロールにはかなりの知性もあることになってしまうし、友人のカルが殺された後に、懲りもせずに追跡するための新たなカメラマンにイスラム教徒は良いとしても‘女子学生’を選ぶということが考えにくい。
 トロール保安機関(TSS)のフィンが、ずっとトマスたちが撮影していることを知っていながら、何故最後になって力ずくでテープを没収しようとしたのか最大の謎である。
 本作を真面目に捉えるとしても、ジョークと捉えるとしてもベースとなる設定にブレが生じてしまうとフェイクドキュメンタリーのストーリーに説得力がなくなってしまうのである。例えば、出演しているトロールたちが虐待を受けていないということは、あのトロールたちも‘仕込み’ということになり、ラストの記者会見におけるイェンス・ストルテンベルグ首相の発言が物語上、効果的でなくなってしまう。日劇の大スクリーンで上映されるから観るに堪えられるのであり、DVDの鑑賞ならば全く面白くないであろう。ハリウッドのリメイクに期待したい。


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深刻なそれぞれの“欠陥”

2012-04-14 00:01:17 | Weblog

日本政府、情報発信遅れる 自治体に「発射」伝わらず(朝日新聞) - goo ニュース

 多数の外国人特派員を招待してのミサイル発射だったのだから、おそらく北朝鮮の

国防第1委員長に就任した金正恩は失敗するとは想像さえしていなかったであろうし、

過去2回のミサイルの打ち上げも成功したと聞かされていたのかもしれない。しかし

がっかりしているのは北朝鮮だけではなく、日本政府も内心同じ気持ちだと思う。

なにせ初めて地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」を実践で使える絶好のチャンス

だったからだが、残念ながらそれ以前に日本はミサイル発射の確認に手間取ってしまって

おり、正式な発表は韓国よりも20分遅れてしまった。日本は北朝鮮を笑えないのである。


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『アーティスト』 80点

2012-04-13 23:56:54 | goo映画レビュー

アーティスト

2011年/フランス

ネタバレ

‘喋ること’との相性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 1927年当時、サイレント映画の大スターだったジョージ・ヴァレンティンの主演作『A Russian Affair』の次の作品が『A German Affair』というギャグは効果的で、ジョージの楽屋でのジョージとペピー・ミラーの遭遇シーンの背景に映し出されていたポスターがジョージ主演の『Thief Of Her Love』であることもシャレてはいる。とにかくジョージは‘喋ること’と相性が悪い。ダンスならば息が合ったのに、売れっ子になったペピーと偶然階段の踊り場で出会って話していても居心地が悪そうで、やがてペピーとは会話がなくなり、妻のドリス・ヴァレンティンとは話せば話すほど仲が悪くなっていく。しかしトーキー時代が到来した危機感でジョージが正気を失ってしまうきっかけが、たまたまジョージに話しかけてきた警官の口元というのが分かりにくく、さらにはオチがジョージの「With pleasure」というセリフで、強烈なフランス語訛りがあったからジョージはトーキー作品に出演したくなかったということは英語圏の人たちには分かるのであろうが、私にはあまりピンとこなかった。私ならばジャン・デュジャルダンにヘリウムガスを吸わせてセリフを喋らせるだろう。
 ところでジョージが自ら監督も兼任して興行的に失敗した作品はとても奇妙なものだった。ジョージが砂の中に埋もれていくラストシーンのテロップは「Farewell, Norma. I never loved you(さようなら、ノーマ。僕は全く君のことを愛していなかったよ)」だったと思うが、それまでのストーリー展開が全く分からないとしても、どのように考えても恋人に別れを告げる際のセリフとは考えられない。だからこの作品のタイトル『Tears of Love』は「愛の涙」ではなくてギャグと捉えて、「愛の裂け目」、あるいは「愛の激情」と訳すべきだと思うのである。


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最近の毎日新聞

2012-04-13 22:51:30 | Weblog

毎日新聞、切り株だけのサクラ「見頃」との記事(読売新聞) - goo ニュース

 この記事とは直接関係ないものの、最近の毎日新聞はおわびや訂正が多いと思う。

4月だけでも、例えば「訂正 3月25日『この人・この3冊』で、吉本隆明さんの死去を

『三月十八日』としたのは『三月十六日』の誤りでした」(4月1日朝刊)、「訂正 一部地域で

配布した月刊なるほドリ創刊号の1面で『大リーグは4日から始まります』は『6日から本格

的に始まります』、『7日からはソフトボール女子日本リーグ』は『14日から』の誤りでした。」

(4月2日朝刊)、「訂正 4日朝刊、一部地域で『低燃費型デミオを値下げ』に記事末尾に、

無関係な『低』の文字が入っていました。削除します。」(4月5日朝刊)、「おわび 4日

『北朝鮮へタイル不正輸出の疑い』の記事で、一部地域で『成元弘明容疑者(62)=本名・

成先淳』とあるのは『成光淳』の誤りでした。おわびして訂正します。」(4月5日夕刊)、

「訂正 7日朝刊『公共事業相次ぎ復活』の記事で、一部地域で、『名古屋環状2号線

(愛知県)の名古屋西ー飛島(67キロ)』とあるのは『(12キロ)』の誤りでした。」(4月8日

朝刊)、「おわび 10日夕刊『横光氏発言で環境相が釈明』の記事で『不知火患者団体』

とあるのは『水俣病不知火患者会』の誤りでした。おわびして訂正します。」(4月11日夕刊)

とあるのだが、これはたまたまなのか、あるいは人事異動などによる軽い混乱なのか

「訂正 10日朝刊『元入居者と和解』の記事で、任意団体『シナジーライフ』が入居者

の生活保護費から『天引きしていた10万円のうち3万円を不当と認め』とあるのは誤り

でした。」(4月13日朝刊)、「訂正 14日夕刊『頼れる大動脈 新東名・午後開通』の記事で、

一部地域で『新富士橋』とあるのは『新富士川橋』の誤りでした。」(4月16日夕刊)キリが

なくなってきた。


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『ナッシュビル』 100点

2012-04-12 23:13:13 | goo映画レビュー

ナッシュビル

1975年/アメリカ

ネタバレ

カントリーミュージック批判

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 同じアメリカのカントリーミュージックを扱ってはいても、『ナッシュビル』には、例えばウィリー・ネルソン主演の『忍冬の花のように』(ジェリー・シャッツバーグ監督 1980年)やジェフ・ブリッジス主演の『クレイジー・ハート』(スコット・クーパー監督 2009年)のような‘懐古趣味’は見受けられない。そもそも‘Replacement Party(交替党?)’という謎の政党からアメリカ大統領候補になっているハル・フィリップ・ウォーカーのキャンペーン・カーから始まるところからただならぬ空気を醸し出す。
 ベテランのカントリー歌手らしいヘヴン・ハミルトンは新曲の録音をしているのであるが、部外者のオパールに出て行くように命じ、下手なピアノ演奏者のフロッグに苛立ち、完璧なものを追求するためにとにかく厳しく、そのような彼の生真面目さは、カントリーミュージックと同じように取り上げられているゴスペルソングと共振し、最後になってその真意が分かる。
 パルテノン神殿のコンサート会場はバーネットが求めていたものと異なり、完全にハル・フィリップ・ウォーカーの演説会場と化していたのであるが、仕方が無くバーバラ・ジーンに歌わせることにする。その時、ケニー・フレイザーがヴァイオリンのケースから銃を取り出し、バーバラ・ジーンを撃ち、周囲の人々たちに運ばれて行く。ヘヴン・ハミルトンも負傷し、ステージを後にし、彼らの代わりにマイクを持つのがウィニフレッドであり、彼女はゴスペル・コーラスと共に「It Don't Worry Me」を歌い続ける。それは作品が終わり、スタッフロールが流れ終わって、真っ暗な映画館の中でも流れ続ける。「It Don't Worry Me」とは「それは私を不安にさせない」という意味になると思うが、「それ」とはバーバラ・ジーンが撃たれた事件を意味し、「It Don't Worry Me」がゴスペル・コーラスに歌われるということは、カントリーソングとゴスペルソングの親和性を意味する。このような‘テロ’に対して、人々の気持ちを鼓舞するカントリーソングが政治に利用された結果の例として、「9.11」後のアメリカが思い出される。その時、決して姿を見せず、いつも安全な場所を陣取っている有力者のハル・フィリップ・ウォーカーが演説で語っていた「石油会社と戦い、農民への助成金を撤廃し、教会に課税し、間接選挙を廃止し、さらに国歌を変え、議会から弁護士を排除します」というかなりいい加減な公約が実現してしまう危険性を仄めかすのである。


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まだ説教をくらえる幸せ

2012-04-12 00:06:16 | Weblog

加護亜依が号泣、自殺未遂騒動後初テレビ(サンケイスポーツ) - goo ニュース

  2012年4月8日に放送されたフジテレビの特番「木村藤子スペシャル 気づいてほしい

明日のゆくえ」をたまたま見ていた。私は加護亜依よりも“霊能者”と呼ばれている木村藤子

が、自身の“霊能力”が疑われないように、なるべく相手から情報を受け取らないようにして

いたことが興味深かった。評論家の中森明夫は「なんで加護ちゃんがあんなインチキばばあ

に説教くらわなきゃいけないわけ オセロ中島を洗脳したという自称・霊能者をあれほど

叩いたのに、なんだこの番組は」と番組の作りを批判していたが、残念ながら今の加護に

来る仕事は、「世界に名を残したい」という本人の思いとは裏腹にプライベートを切り売り

するくらいしかないのが現状であり、木村のアドバイスは的確だったのだから仕方がない。


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『バード★シット ニュープリント版』 100点

2012-04-11 19:34:36 | goo映画レビュー

バード★シット ニュープリント版

1970年/アメリカ

ネタバレ

敗北した‘かもめのジョナサン’

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 主人公のブルースター・マクラウドはテキサスのヒューストンにある屋内野球場(アストロドーム)の待避所に住みながら鳥のように自分の力で空を飛ぶために研究を重ね(作品の冒頭では鳥類学者が研究成果を披露している)、トレーニングで肉体を鍛えていた。ブルースターの身に危険が及ぶとどこからともなく現れ、助けてくれる‘堕天使’のルイーズが彼の飛行計画をサポートしているが、彼のもとへ食料を運んでいるホープとブルースターの肉体関係を禁じていた。童貞であることが人間が飛べる条件と見做しているからであり、ホープはブルースターがいない彼のベッドで一人で自慰にふけるしかない。
 ブルースターは飛行機の発明家ライト兄弟の兄であるエイブラハム・ライトの運転手をしているのであるが、過去の栄光の面影を無くした高齢のエイブラハムは貸した金の取立て屋として勤しみ、ついには雇っていたブルースターが自分のお金を盗ったとして疑う始末である。数日後のエイブラハムの死因は、おそらくブルースターの身を案じたルイーズがエイブラハムが座っていた車椅子を彼を座らせたままクルマが走る道路に転がしたからだと思うが、それはブルースターを襲おうとする筋骨隆々のビリー・ジョーや、マリファナタバコでブルースターにトラップを仕掛けようとした、妻や息子に暴力的な刑事と同じように、顔に鳥のフンらしきものがかけられて死体となって発見される。
 政治家のハスケル・ウィークスの肝入りで、ニューヨークから呼ばれた名刑事であるフランク・シャフトもルイーズの妨害によってクルマごと道路わきの池に飛び込んでしまい、面目を失ったシャフトはこめかみに銃口を当てて自殺してしまう。
 全てはルイーズの計算通りに運んでいるように見えたが、ブルースターがアストロドームの案内嬢であるスザンヌと出会ったところから思わくが狂ってくる。翼をようやく完成させて飛行を試みようとした前日に、ブルースターはスザンヌを抱いてしまい、それを知ったルイーズはブルースターのもとから去ってしまう。実際に、ブルースターは真白な翼を背負ってアストロドームの2階の観覧席から飛び立ったのであるが、まもなく力尽きてフィールドに墜落して即死する。
 ブルースターの、あるいはルイーズの目的は一体何だったのだろうか? ‘堕天使’のルイーズは若者の理想を提示する。それは人間が‘鳥’になることである。しかしブルースターは飛行機の発明家ライト兄弟の発明を踏襲しながら、あくまでも飛行機ではなくて、人間のまま‘鳥’になることを試みる。‘イノセンス’の権化であるルイーズがブルースターの‘夢’を妨げようとする‘権力’をことごとく排除したまでは良かったのだが、‘イノセンス’を喪失したブルースターは‘現実’に直面することで敗北してしまうのであり、それは本作が撮られた1970年当時の、‘井の中’ならぬ‘ドームの中’で繰り広げられていた学生運動で敗北した若者の戯画のように見える。このアメリカン・ニューシネマのあまりにも美しく哀しいラストシーンを上手く表現する言葉が見つからない。


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反論に反論に反論?

2012-04-11 00:02:31 | Weblog

反論に反論!幸子提示慰労金は口止め料か(日刊スポーツ) - goo ニュース

 小林幸子の代理人を務める芝昭彦弁護士は「経営方針の違いから女性社長らが退職の

意向を示したとし、相応と考える慰労金額を提示したものの女性社長が応じなかったため、

やむなく解任した」と説明し、小林本人も文書で「真実と異なる報道になるのが悲しい」など

とコメントを出した。それに対する、個人事務所「幸子プロモーション」の関根良江前社長の

出した文書には、小林が結婚した時期と重なる昨秋から突然、経営者として批判を受ける

ようになり、今年2月に退任を勧告されたなどとされ、“2回分割”の退職慰労金が決定的な

溝になったとされている。理由は「私が退職後に何らかのネガティブな情報を週刊誌などに

流すことを疑い、その心配が解消された時期に支払いたい」であり、小林がここだけは譲れ

ないと主張したとしているということは当然何かがあったということであり、小林は33年間

ビジネスパートナーとしていた関根を実は全く信用していなかったという意味になる。

これで“真実”が報道されたことになると思うが、小林の反論を楽しみに待ちたい。


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『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ 』 90点

2012-04-10 19:12:04 | goo映画レビュー

ヘルプ ~心がつなぐストーリー~

2011年/アメリカ

ネタバレ

差別を受けて知る差別

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 1911年生まれの主人公の黒人のメイドであるエイブリーン・クラークの語る物語は、改めてアメリカにおける人種差別の根深さを思い知らされる。人種差別が問題であることに気がつくことができる白人は決まって白人社会からの除け者たちだからである。黒人のメイドの証言をまとめて『The Help』という著書を出版したユージニア・スキーター・フェランもミシシッピ大学を卒業した才女でありながら、男性には縁のない、いわゆる‘負け犬’であり、仕事を失ったミニー・ジャクソンを隠れてメイドとして雇うシーリア・フットが、いわゆる‘社交界’の中心人物であるヒリー・ホルブルックに嫌われている理由も、ヒリーの元彼氏とシーリアが結婚したという以前に、シーリアが労働者階級出身だという‘玉の輿’差別があるからである。肌の色が白くても結婚もせずに、作法も知らなければ差別の対象にされ、差別を受けることで初めて差別される辛さを知るのであるが、逆に言うならば差別を受けない限り、差別を問題として感じることはないのであろう。
 ラストでエリザベス・リーフォルトに解雇されたエイブリーンが家を出て行く時に、娘のメイは泣きながらエイブリーンを引き止める。幼少の頃は黒人のメイドになついていながら、やがて多くの大人たちが毛嫌いするようになってしまうことを思うと、風習の強固さと共に、イノセントなメイの振る舞いがより悲しみを帯びる。
 目には目を、歯には歯を、そして‘トイレ問題’には‘トイレ問題’としてミニーがヒリーに持て成した特製のチョコレートパイは、ヒリーの食べっぷりを見る限り、とてもミニーの糞が練りこんであるようには見えず、どのようにがんばっても臭いを消すことは無理だと思うのだが、改めてミニーの料理の驚くべき腕前に感心してしまった。おそらくミニーは事前に大量のチョコレートパイ食べ、その微かに‘チョコレートパイ臭’がするであろう排泄物を上手く利用したのだと思うが、無意味な推測だった。
 ちなみに実際にメイドが反乱を起こした様子を描いた作品として、コロンビア・パナマのコメディ作品『チャンス(Chance)』(アブネル・べナイム監督 2010年)があることを記しておく。


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