青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

雪と氷の二日間 ~スタッドレスで奥会津へ その6~

2005年12月23日 22時37分44秒 | 日常
(写真:一夜明けて)
ほぼ同じアングルで昨日の夜はこんな感じ
一晩でだいぶ降ったようだ…

続き。

あ~あ、よく寝た。
窓の外はすっかりと雪景色。50cmは降ったかね。
昨日の夕食を食った部屋で朝のニュース。今日の会津は一日雪。湯豆腐の朝メシを食べながらふと思う(そう言えば、車は屋外に停めておいたんだけど…大丈夫かいな)。
朝9時過ぎまでたっぷり二度寝して、宿を後にする。
これで一万とチョイなら、結構リーズナブルな宿かもしれないなあ。

すっかり深雪の積もった道をほっくり返しながら駐車場へ。

ちょwwwww

笑ってしまった。
埋まっとるやないけ!これ!!
どーすんだ?
てか明らかにフォルムがエアウェイブ→ステップワゴンww
上級グレードだ!わ~い。…って掘り出さないと(笑)。

駐車場のはしっこに置いてあったスコップでまず車までの道を確保。なんとかバッテリーは上がらずに済んだらしく、キーレスでドアは開いた。トランクの中のスノーブラシを出して、まずは屋根屋根屋根…窓窓窓…うわあ、凍ってガビガビやん。霜取りスプレー!冷た~い。寒~い。エンジン回せ、デフロスタ掛けろ。エアコン全開!燃費悪いなあ…でもそんな事言ってらんないし…わたわたと雪の中の車の救出に30分くらいかかる。しかし、エンジン掛けて乗り込んで、雪の中からの脱出はアクセル踏んで一発だったw
さすがスタッドレス。さすが4WD。

宿の若夫婦に見送られて、今度は下り坂のR400を会津川口駅前まで、転がるように滑り降りていく。ちょいちょいと空転するタイヤにハンドルを持つ手は固くなる…さすがにアイスバーンの上にサラサラの新雪が入った路面はスリッピー。家出はドリッピー!古いってw
さて、当初は会津川口からR252只見~R289南郷~田島町からR121~R400西那須野塩原ICと言うルートを描いていた。これで昨日からの奥会津一周となるのだが、果たしてこの悪コンディションで大丈夫なのだろうか?…途中には標高700m近い駒止峠もあるし。
とりあえずまだ会津川口付近では雪は小康状態であり、路面も頻繁に入る除雪で維持されているので、行ける所まで行ってみようと気を引き締めてハンドルを握り直す。

雪は降り続き、道路の脇にうず高い雪の壁を作る。壁のせいでカーブの見通しはとにかく悪く、スピードの限界点は40km/h程度。降り続く雪を車輪の下ではきっちりグリップしてはいるのだが、何となく掴みづらいようなグニャグニャした感覚。
また、急ブレーキによる制動不能を避けるためにエンブレを多用して走っていると、いざブレーキングした時にブレーキパッドとディスクの間に挟まった氷でパッドがスベって「シャーッ」と言う音だけで一瞬ブレーキが利かないw
これが一番怖かった。

集落の中ではこのような消雪パイプがジャージャーとフル作動して道の雪を溶かしているのだが、それはそれで集落の住民が道路にどんどん除雪した雪を放り投げるのでヘンテコなわだちに固まり、ハンドルが豪快に取られるので物凄く運転しづらい。消雪パイプの水を跳ね上げて走る→外気はマイナス5度→水はあっという間に氷に化けて、タイヤのクリアランスとサスペンションはガビガビに固まる
ハンドルが重くなってしまうので、スペースを見つけてはスノーブラシでゴンゴンと氷を叩き割るのだが、次第にそれも床下の手の付けられない位置まで付着してどうしようもなくなった。

金山町大塩付近
金山町横田付近
只見町塩沢付近

どんどん雪は深くなって行く。
辿り着いた只見駅は、雪にうずもれていた。

次章いよいよ最終章!
続く。
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雪と氷の二日間 ~スタッドレスで奥会津へ その5~

2005年12月23日 20時41分33秒 | 日常
(写真:今宵のお宿 玉梨温泉恵比寿屋旅館)
さすがにこの天気では、お泊り客も数少な。
それだけに、良くしてもらえました。

続き。

会津川口駅前からR400で本日のお宿「玉梨温泉・恵比寿屋旅館」へ。
雪はどんどん激しさを増し、薄暗くなった国道を白く染めてゆく。冬の夕暮れは足早に周囲を夜の帳に包んで、宿に付く頃には雪は本降りになった。

「降って来ましたね…雪の中をわざわざようこそ」
若主人が迎えてくれた。料金の安い旧館の予約をしておいたのだが、通されたのは新館。「お代は同じで結構ですから」…ラッキー!まあ、相当空いているからこそなんだろうけど…どうやら今日の泊り客は忘年会をやりに来たらしい団体さんと私の2組だけ。
荷物を解いて畳にゴロリ。慣れない雪道を走ったせいか肩が痛てぇ~…

夕食は囲炉裏の切ってある個室で食べさせてくれた。空いてるからなあ(笑)。
ビ-ルを一本頼み、テレビを付けると福島のローカルニュースでは大雪への警戒を呼びかけるアナウンサー。今夜から明日に掛けて大雪だ。覚悟はしていたが。
とりあえず今は関係ないけどな。
次々に運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。山の料理だ。「いいのが入りました」と旦那さんが言う自然薯。この辺りの名産の「青ばと豆腐」を使った刺身、湯葉。そしてトロけるような馬刺し
それぞれをツマみながら、冷えたビールを手酌でグーっと。
ウマー。

静かな部屋で缶チューハイを舐めながらノートに旅日記を付ける。
窓の外はしんしんと降る雪だ。サーチライトに照らされたその光景に、部屋の明かりを消してしばし見とれる。
どれくらい降るのだろうか、どれくらい積もるのだろうか、見当も付かない。
部屋の窓からこの玉梨温泉の湯を引いた共同浴場が見え、村人がポツリ、ポツリと夜の湯浴みにやって来る。奥会津にはこのような集落で管理する素朴な共同浴場がいくつもあるらしい。後で行ってみるかな…
点けっぱなしにしていたテレビの「野ブタ。をプロデュース」の最終回とかを何故か最後まで見て、ほりきたまきまき萌え~とかムリヤリ言ってみる。

夜も更けて、宿の風呂には入らずにわざわざ玄関を出て向かいの共同湯に行ってみた。川口温泉はプレハブだったが、ここはどちらかと言えば体育倉庫(笑)。壁には「玉梨 ○○様 洗面器5個寄贈」とか「小栗山 ××様 体重計寄贈」など、ほのぼのとしたお礼の銘板が掲示されている。
雪に閉ざされる寒村に、地域の人の寄付と掃除と管理で成り立っている村の湯は、浴槽一個だけのシンプルイズベスト。お湯の温度以上に暖かみがあるものだ。24時間100円の寸志で使わせてもらえるのがありがたい。床が赤茶けているように鉄サビの匂いが濃く、塩辛く、なかなか暖まる。

すっかりほこほことした気持ちで宿の部屋に戻る。相変わらず外は雪だ。
今度は酒を日本酒(家から持って来た「浦霞」)に変えて、窓の外の雪を見ながら雪見酒。

雪の玉梨 ほろ酔い気味に撮ってみました(映像)

あー酔っ払った。
しっかりと布団をかぶって寝る事にする。お休み。

続く。
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雪と氷の二日間 ~スタッドレスで奥会津へ その4~

2005年12月23日 16時49分00秒 | 日常
(写真:会津川口駅前)
今日のお宿はここを右折。
携帯電話が入るのも、この辺りだけ。

続き。

「只見線撮影」のミッションを終え、R252へ戻る。柳津町から三島町に入り、さすがに路面と路肩には雪が目立ち始める。中途に溶けているので、スリップには慎重に車を進める。
昼下がりで腹も減っていたが、さすがにこの冬場にやっている店も見当たらない。わずかにやっている店も、駐車場が除雪されていないために入れなかったり…雪かきしとけよ!って年寄りには大変なのかな。

三島町の「尾瀬街道・みしま宿」と言う道の駅もどきの施設で遅い昼飯。天ぷらそばをズルズルとかっ込んで暖まった。揚げたての大きいかき揚げが美味い。
午後に入ると奥会津にも雲が広がってきて、予報通り夕刻から雪になりそうだ。会津川口の駅前からR400へ曲がれば今日のお宿だが、もう少しスタッドレスで乗り込んでみたいので只見方面へ車を走らせる。

三島町を過ぎ、金山町に入ると只見川もいよいよ深山幽谷の趣を呈して来る。水量の豊かな只見川には幾重にもダムが作られており、そのたっぷりとした流れが穏やかに山々の間を流れて行く。
川口の先の本名ダムまで来た。ダム湖の上にかかる橋を見つけて、その道に折れてみる。雪で踏み固められた橋から湖面の上に出てみると、湖水に山々がシンメトリーとなって映っている。何と言うか、この辺りまで来るとどんな風景を写真に収めてもそれなりに絵になるよね…

しばし冷たい風の中で風景を堪能して、会津川口の駅前へ。手元のツリマプを見ると、駅の近くに「川口温泉」の表記がある。宿に入るにはまだ早いし、冷えた体を暖めようと寄ってみることにする。駅前の駐車場に車を置いて、手ぬぐい片手で歩き始める。地図によると只見川の支流の野尻川沿いにあるらしい。
国道のトンネル手前の路地を左に折れると小さな広場があり、看板があった。ここから200mか…と看板の指し示す方向に歩いて行くと、家並みはぱったりと切れてこんな風景の中を歩かされる。

どこが「金山新名所」じゃ!めっちゃ寂しいやんけw

そんな事を思いながらくるぶしまで雪に埋まりつつ歩いてゆくと、川から一段上がった場所にプレハブ作りの掘っ立て小屋が見えて来た。他に何の構造物も見えないから、ここなんだろう。最近はこのテの施設の容姿にあまり驚かなくなったw
ともかく、「会津川口温泉・玉縄の湯」到着。
お湯がぬるくボイラーで沸かさなくてはならないので営業時間が短いようで…いかにもと言った感じの地元の人の共同浴場っすね。無人。鉄の箱に利用料200円を入れる。浴室でお湯の温度を確かめてみるともう沸いているようなので、営業時間には30分速いが一番風呂を頂く事としよう。

極楽極楽
ちょっとぬるめなのがちょうど良いね。
誰も来ないので、貸し切り状態で小一時間まったり。てか、ぬるいから長く浸かってないと暖まらないけどな。十分温泉の成分を体に染み込ませてプレハブ小屋を出ると、暗くなって来た空からはハラハラと雪が…
宿への道を急ごう。

続く。
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雪と氷の二日間 ~スタッドレスで奥会津へ その3~

2005年12月23日 00時09分31秒 | 日常
(写真:一日にこれっきりですか?@只見線滝谷駅)
今度は乗ってみたいもんですね。

続き。

柳津での安全祈願を終え、R252を只見方面へ。
会津坂下を降りてからずっと道の右に左に寄り添うのは、只見川とJR只見線。
会津若松から新潟県の小出へ。全長150km、奥会津の仙境を行くその車窓の風光明媚な事はつとに知られており、春夏秋冬様々な景色を楽しめるローカル線として、18きっぷでの旅行者には特に人気が高いのだが…ちなみに乗ったことある人いますかね?
前述の「六十里越」の道路交通が冬季は確保出来ないと言う理由で、半ばお情けで残されたローカル線の全線を通して走る列車は一日3往復。車の旅だから乗る事は叶わないけれど、その姿は見てみたいなあ…と。
国道沿いには上手いこと車を停められるようなスペースはなかったので、脇道に逸れれば駅があるだろうと地図を見たところ、県道32号線沿いに「滝谷」と言う駅があった。ここ行ってみよっと。

県道に折れると、さすがに国道と違い除雪が甘い。日陰ではカチカチの圧雪路ではあったが、スタッドレスは意外にもこういう固まり切った路面の方がグリップするものらしい。グイグイと道を登って行くと、程なく「↑滝谷駅」の看板。看板に沿って集落の細い道を折れると、集落の犬が吠える。しかし、誰一人として人は出て来ない。
小高い山と雑木林に囲まれた10軒程度の集落のはしっこにとんがり屋根の小さな建物が見えて、どうやらこれが滝谷駅のようだ。雪に埋もれて、駅前ともホームとも境目の分からない程の小さな駅だが、最近新しくされたのだろうか、ローカル線にありがちな荒廃した感じはなかった。
ホームに入ってみる。雪の中を二条の線路だけがカーブを切りながら雑木林の先へ消えて行く。会津の名産・みしらず柿の雑木が、実を付けたまま雪をかぶって静かにたわんでいる。雪の白と空の青に、柿の赤がひときわ鮮やかだ。
ホームを降りて、雪の線路の上を少し只見方面へ歩いて行くと、駅の先は鉄橋になっている様子。駅前通りから県道へ戻ると、この只見線の鉄橋が一望出来る場所があり、おあつらえ向きにちょうど車が2~3台置けるスペースがあった。駅の時刻表では、あと40分ほどで次の列車が来るらしいのだが…

待ってみるか(笑)。

概して待つ事が嫌いな私ではあるが、こちらから積極的に見たいと思わなければそう易々と走っている只見線は見れないのだ。そんくらい待ってみる価値はあるだろう。
つか、待たなければ一度も只見線を見ないで会津から帰郷する可能性も十分すぎるくらいある。なんせこの区間でも一日6往復、日中に至っては2往復!(笑)待ってみましょう40分くらい。
いつ立つかも分からないレッサーパンダを待ち続けるよりは、時間が来れば絶対に走って来る列車を待つ方が楽だ(笑)。

只見川の支流である滝谷川の深い谷に、高い鉄橋がかかっている。青空と雪山と、それだけで十分に絵になる風景だ。

…。
………。
………………。
ヒマだ。
ピョウピョウと谷底から吹き上げて来る冷たい風、時折県道を通る軽トラの音だけが一瞬の静寂を破る。道端に積もった雪を握り込んで谷底へ向かってポイ。対岸へ向かって遠投。時計を見る。タバコをぼんやりふかす。意味もなくストレッチ。腕をぐるぐるシコースキ-。時計を見る。あと10分…
待つ身は辛い(笑)。つか、寒い。車で待ってりゃ良かった。

5分…3分…2分…
コココココ…と雪山を突いてエンジン音が遠くから聞こえて来た。
鉄橋の向こうはトンネルになっており、その壁に反響しているであろう音が近付いて来る!おお!来る!やっと来る!!つか喜び過ぎ!!!俺!!!!w

ぷぁぁぁぁぁ~ん、とタイフォンを谷間に響かせて、アイボリーとグリーンのツートンの気動車が、思ったよりもゆっくりと谷を渡って行く。
タタン、タタン、タタン、タタン・・・

この瞬間を、ニワカ撮り鉄が必死こいて撮ってみました

タイトルは「青空と鉄橋と山の景色と」って何その篠原涼子w
つか、大きさも1024×768の壁紙用です。
デスクトップにどうぞ。
さあ、開いて右クリック(笑)。

続く。
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