青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

雪と氷の二日間 ~スタッドレスで奥会津へ その7~

2005年12月24日 00時21分12秒 | 日常
(写真:勇気ある撤退)
だって、前見えねーんだもん(笑)。
事故るよりマシだな、と。

最終章。

只見の駅前で唯一開いていたショッピングセンターの駐車場で、トランクのドカシー(現場用のブルーシートのことね)を引いて車の下に潜り、床下の氷を叩いて落とす。
しかし、氷はガッチリとサスのスプリングの間まで食い込んで、プラスチックのスノーブラシで小突いたくらいでは取れそうもない…諦めて暖かい場所まで行くしかないのだろうか…

只見駅前からR289で一路南郷町を目指し車を再スタート。市街を抜け、おそらく田園地帯であろう道を進んで行く。雪はさらに強く、間断なく降って来る。R252と比べると一段と交通量の少ない道のせいか路面の除雪もあまりきっちりと入っていないようで、道の上のわだちがハンドルを容赦なくふらつかせる。
対向車もいなくなって来た。そりゃそうだろう。フォグライトを点灯させても、道がどっちに向かってカーブしているのかも判断しづらいくらいの視界である。
只見町の長浜と言う集落を抜けると、いよいよ視界は全て白に塗り潰された。構造物もない雪の原野には吹雪が舞い、ようやく30km/h程度で雪の壁と路面の境が判別できるような状態。地元民なら慣れているのだろうが、これはそろそろ限界か?

スノーシェッドの入口の除雪スペースに車を寄せて今後の方策を考える。

1.既に金山から只見まで一時間半、結構な雪道を走って疲れている事
2.今日は一日会津は大雪の予報で、吹雪が止むのはいつか分からない事
3.R289駒止峠は標高700m、この状態が続くなら下り道は危険な事
4.気象による通行止め情報は傍受できない事
5.無理をして事故を起こす事は何より愚かな事

上記の事象を勘案して、今回は撤退。

ここまで来て悔しいが。
対向車に気を付けながら、スノーシェッドの中で車を転回。無念。でもしょうがないだろ。雪道の素人だしな…R252とR289交点の只見駅前から今来たR252を戻り、会津坂下から磐越道で帰郷する事にします。
ちなみに上記の地図で分かる通り、この撤退はすげー遠回り。距離損、燃費損は計り知れない。しかし、安全は全てに優先だ。

今来た道を、昨日と同じ道を、只見川の流れに沿って下って行く。
金山町。三島町。柳津町。相変わらず只見川は緩やかに、雪山の間を流れて行く。只見線は除雪車を投入して必死の線路保守だ(ちなみにこの日の夜に只見線は大雪で立ち往生しています)。
会津盆地に近付くにつれ、雪の降り方も弱くなり、会津坂下町ではすっかり雪も上がった。会津盆地は午後になって晴れ間も覗いている。
会津坂下ICからの磐越道は、真っ白な磐梯山を見ながら。小雪のちらつく中山峠を越え、磐梯熱海を抜け、郡山へ出ると完全に冬晴れの日差しが戻って来て、道端の雪も消えた。豪雪の町から抜けたようだ。

さあ、後は帰るだけだな。
路面を気にしないで走れる事のありがたみと少しの物足りなさを感じながら、そして撤退させられた分の高速料金を若干恨めしく思いながらの帰郷である。
(矢板からは新4号BPの下道で帰ったがなw)

宇都宮のGSで給油がてら車を見たら融雪剤の塩化カルシウムで車が真っ白けになっていたので、洗車をお願いしてみる。GSの店員さんが「床下の氷がサスの中に入り込み、左後輪から車体を持ち上げている」事を教えてくれた。そんなになってたんかい!
店員さんにお願いしたら、ジャッキアップして床下の氷を叩き割ってくれるとの事。是非にとお願いして作業を見守っていると、うわあ…床下の隙間と言う隙間に氷ががっしりと入り込み、さながら鍾乳洞のようだw
しかし、よく走ってたなこんな状態でw

その後しっかり洗車してもらったのだが、宇都宮のモービルの店員さん、洗車料しか請求して来ません。いいんですか?いやー、ありがとうございます。
去年は大雪で困らされた宇都宮で、今年は助けられたってのも、何かの縁だね(笑)。
この旅の最後に待っていたのは、一年越しの宇都宮の恩返しでした。

最後に。
スタッドレスはいいもんだぞ!
スタッドレスは楽しいぞ!
野村謙二郎かw

それは、違う世界を見せてくれる、魔法の足でした。

終わり。
コメント
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