青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

九州サマードライブレポ No.10

2006年09月11日 23時19分42秒 | 日常
(写真:うにどんぶり)

ぷろでゅーすどばいつなしま。
日向路では、良質のウニが取れるらしいです。
「ウニは北の食い物」と言うイメージがあるんだけどね。
生ウニ丼2,500円には手が出ず900円の塩ウニ丼ですが、よく塩に漬かってこなれた味もご飯には合います。

●さかいだ温泉
長い長い一日を終えて、宿へ戻って来た。途中の「道の駅たるみず」で仕入れたキビナゴを手開きにして酢味噌で。つまみに買ったさつま揚げと、大分からずっとお供してきた焼酎で一献傾ける最後の夜である。飲んでしまえばもう何もする気が起きない。
ちょっと熱めのさかいだのお湯に浸かって目を閉じる。結局2晩泊まりで自分の他に宿泊客はいなかったみたい。ここの温泉地としての正式名称は「安楽温泉」ですが、屋号が「さかいだ温泉」と言うのが紛らわしいですな。鉄分と炭酸を多く感じるお湯が、泊り客がいようがいまいが四六時中物凄い量で流しっ放しになっているのがもったいない。なんか壁に貼ってある説明書きを読むと、ここは古くから療養温泉地として親しまれてきたみたいですね。とにかくこの湯に浸かると筋肉痛やら神経痛やら肩凝りやら糖尿病やら這いずり回っていた病人が立って歩くわ体の中の銃弾は出てくるわ、女の子からは告白されるわ宝くじは当たるわいい事ずくめみたいな事が書いてあった(笑)。
ただ、うっかりこの夜畳の上で野垂れ死ぬように寝てしまってダニに集中爆撃を食らってしまい、しばらく恐ろしく痒かった事は付け加えておきますw。どうやらこのお湯、痒みには効きません。

●九州最後の朝
交わした言葉はチェックインの時に一言、そしてチェックアウトの時に一言のみ。いずれもテレビを見ながら半分聞いてるんだか聞いてないんだか分からぬくらい適当に応対するさかいだのばあさんにお宿代6,000円を支払い、陽光差す新川渓谷を後にする。今日はこれからひたすらに東九州を北上して別府に向かうのみ。朝の霧島御池を眺め、南九州にお別れ。
途中、「tnsm氏抑留地の見学」などマニアックな作業をこなしつつwその抑留された本人からのクロスメールで宮崎情報を仕入れたりしながら宮崎市内はパスして佐土原~西都~日向と車を進める。意識的にR10は避け、一本内陸側の農道などを軽やかに結びながらのドライブである。都農市街でつなっしー情報のどんぶり屋で上記のうに丼。
あ、グルメと言えば宮崎を中心に南九州でポピュラーなチキン南蛮と言う食い物があるんだけど、結構気に入りましたね。どこが「南蛮」なのかは置いといて、パリッと揚げた大ぶりの鳥のモモ肉が香ばしく、上にかかるソースは甘酸っぱいタルタルソース。ミスマッチかなと思うのだけど、揚げた油っぽさがうまく酸味でさっぱりと緩和されて美味しいです。結構ボリュームもあるし。

●日豊の海は明るく
腹ごしらえをして、延岡からはちょっといたずらして真っ直ぐ大分には向かわずにこちらへ。388と言う数字はグリーンチャンネルを思い出すけどな。この道は、日豊リアスラインと言うニックネームの付いた海岸沿いの風光明媚なルートである。豊後水道の穏やかな入り江を眺めながらまったり走行。何となくR260的なイメージです。想像付く人ハギーさんくらいだろうけどw。リアス式海岸線のドライブは、複雑に入り組んだ湾の奥に漁港のある集落→小高い山越え→漁港のある集落→山越えの繰り返しと日本全国相場が決まってますね。小高い山の上から眺める漁港集落と日豊の海は明るく、広々とした景色。
あ、ちなみに途中、旧蒲江町内に至る峠越えの区間だけは、結構と言うかかなりな酷風味で肝が冷えましたねえ(笑)。路肩が崩れているのもあるが、急坂の上に路上の杉の枯葉の積もり方が凄まじすぎてタイヤが空転しておっそろしかったwこの画像でお分かりいただけますでしょーか。たぶん杉の木は垂直に近い角度で生えていると思いますけどね。
…結構長旅で疲れているのにこんな感じで調子こいてるから、こうなるんだが…

●佐伯事件(さえきじけん)
海岸線ドライブを終え、車は佐伯市街へ。ここで事件は起きる。
全くもって田舎のR388のロードサイドはコンビニ一軒なく、燃費のためにあまりクーラーを使わない私の喉は結構渇いていた。佐伯市街でようやく路肩に4~5台のビニールの屋根つきの自動販売機が固まった自販機コーナーを見つけ、その前に車を寄せてジュースでも買おうと思い車を寄せる。

ちょうど自販機コーナーの前が砂利になっていた。
ちょっと進入速度が速かったんだろうか…
そして運転が疲れで雑になっていたんだろうか…
ブレーキを踏んだらいきなり砂利の上でABSが「ガガガガッツ!」と作動し、
→車は砂利の上をズズズズッと滑り、
→自販機の前を通り越して、
→車道と歩道を分ける縁石に真正面から突っ込んで、
→「ガッツン!」と言うイヤーな音を立てて止まりました。
→…やっちまったorz

ABSが幸いして車が乗り上げて亀になった訳でもなく、縁石の高さがなかったせいでバンパーも無傷。しかしながらかなり嫌な音がしたので車を止めて車体の下に潜り込んで見ると、何やらトローリとした液体がバーモントカレーのCMのハチミツのよーに流れ出しているではありませんか…

うおおおおおやっちまったああああああorz

メカには疎いが、匂いといい粘度といいもうこれは間違いなくエンジンオイル。しかもここをどこだと思ってる。家の近所じゃねえんだぞ…
ドカンと体にのしかかってくるのは、
大分県の佐伯市と言う現実orzorz
ものの30秒でJAF救援→車乗り捨て→飛行機帰郷→来 週 ま た 大 分 かと言う最悪のシナリオを覚悟した。正月のかくし芸で堺正章がやる水芸のよに止まらぬオイル流出。次第に広がるオイルの香り。とにかくこうしちゃいられない、たぶんオイルは5リッター程度、半分以上漏れるまでは何とか自走可能だろう。ゴメン愛車!バカだ俺。幸いにしてまだ佐伯の市街、何とかならんか?マジで祈るような気持ちで車を再スタート。時間は、ない。
ここで動揺して事故を起こしたら二重の災難、と心に戒めを作り、慎重にハンドルを握る。一個一個の信号が物凄く長く感じる。信号を待っているその時間にも、オイルは間断なく漏れ続けている。窓の外からオイルの匂いがどんどん強くなって来る。気の遠くなるような時間だ。
本当に幸運だったのは、佐伯の市街であった事。5分と走らないうちに「スバル」の看板が見えた。おおおお!地獄に仏とばかりに車をガレージへ滑り込ませる。すすすすすいませええええーん!

はい?とばかりに出て来た30代の整備士っぽいツナギのお兄さんに一気に事情を説明。ふむふむ、うーん。あー、はいはい。事情は飲み込んでいただけたよう。おもむろにガレージの奥から石油缶を持って来て、とりあえずダダ漏れのオイルを受けるために床下へ潜った。
「あー、オイルパンがモロに引っかかっちゃってますねえ~」
オイルパンとは、エンジンのピストンを潤滑させるオイルを溜めておくケースの事。そこをモロにガツンとぶつけて、オイルパンに穴が開いてしまったらしい。
「どうですかねえ…直りますか?」
「…」
「直らなかったら、佐伯の市内にホンダのディーラーあったら教えてもらいたいんですけど…」
お兄さん、しげしげとナンバーを見て、一言。
「置いて帰るつもりですか?」
いやいやいやめっそーもない!何とかなるんだったら何とかしてもらいたいですマジで!と言う私の反応に、小首をかしげながらガレージへ向かう整備士の兄さん。もうオイルはすっかり抜けてしまった。いまさら自走も出来ないだろう。したってエンジンが焼けちゃってさらに被害が広がるだけだ。真夏の午後の焼けるような日差しと、不安と緊張が混じり汗だけがダラダラと流れる。そんな私の姿を見かねたのか、奥の母屋から整備士兄さんの母親らしき人が出て来て「まあ、こちらへどうぞ」と展示フロアへ招き入れてくれて、何だか知らんが麦茶が出て来た。そーいや自分、喉が渇いてたんだっけ…忘れてたわw
せっかくなので麦茶を飲むも、気になるのは車のサルベージが出来るかどうかのその一点。落ち着いて座ってる事も出来ないので車に戻ると、整備士兄さんがガレージからジャッキと何かの材料を持って来た。ジャッキで車を上げると、その横でボンドのようなものを板の上へチューっと盛り出し、シンナー系の溶剤をかけて練り始めた。

「これ、クラック補修用の硬化剤だから、これでやってみます」
専門用語は分かりづらいのだが、クラックと言うのは「ひび割れ」のことらしい。患部を溶剤とエアースプレーで洗浄し、床下に入って練ったパテ状の硬化剤を肉厚に塗りつける。しばらく待ってパテの硬化を確認すると、再びガレージへ戻って新しいオイルを持って来た。ボンネットを開けてオイル注入。真新しいオイルを満タンに満たしてから、「エンジンかけてしばらく待ってみましょう」と言う事でキーを回す。5分程度アイドリングした結果、漏れはなし。整備士兄ちゃんがもう一度床下に潜って確認したところ「大丈夫でしょう」と言うお墨付きが出た。やった!あんた神だよ!マジで!!

「元々エンジンとか排気管とか、高温になる所に使う硬化剤だからオイルパンに使っても大丈夫だと思うけど、しばらくはちょこちょこ床下気にしながら走って下さいね。一応戻ったらディーラーに見せた方がいっかもね」
ありがとうございますありがとうございます。佐伯神。いや、佐伯の市民なだけでこの人は佐伯さんではないだろうけど(笑)。
ちなみに帰宅するまで何も問題は起こらず、ついでにディーラーに見せたら「今のところオイルは完璧に止まってるからオイルパン交換するのは様子を見たほうがいいです」と言われた事を付け加えておきます(笑)。完璧な仕事振りだったらしい。

あのー、お代は?と聞いたら「じゃ、5,000円で」…気分的には諭吉一枚置いてっても全然後悔しないんですが。結果的にオイルも新品のが入ってるし。ちょっと高いオイル交換程度の値段じゃないの。お茶も飲ませてもらったし…
いやあ、マジでお世話になりました。佐伯スバル。感謝してもしきれない。

九州ラストでとんだアクシデント。
ただ、マジで市街だったことが不幸中の幸い。
これがR388のあの山の中だったら…考えたくもないねw

いよいよ次が九州ラスト。
波瀾の旅も、ファイナル。
続く。
コメント
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