青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

18+762+226=∞

2008年07月21日 17時51分05秒 | 日常
(画像:午後の日差しを受けて)

昨日は、本当に本当に暑い日でしたが、実に夏らしい日でもありました。
遠く藤原岳のシルエットを映し、午後の日差しを浴びて田園を駆ける北勢線。
稲田を渡る風より遅く、小川を流れる水より遅く。

楚原駅でハギーさんにピックアップしてもらい、一路終点の阿下喜駅に向けて車を走らせて貰う。楚原の駅で30分待っても良かったんだけど、それやると温泉に入る時間がないのでね。電車だと15分の距離を車だと10分弱。クルマって速いなあwまあ、北勢線には健闘してもらいたいけど。
阿下喜の街は商家の残る古い町並みで、通りの坂を下った所に阿下喜駅はありました。最近建て替えられたみたいでピカピカの駅です。こうやって見ると、三岐の傘下になって良かったんじゃないかと思えるほどどの駅もインフラ整備が進んでいるのね。コンクリートも打ち立ての新しいホームで、西桑名行きが甲羅干し中。ほいじゃいっちょ駅の見学をしてみましょうかね、とパーク&ライド用の駐車場へ車を寄せると、何だか面白いものを見つけた。

何やってんすか?

駅の裏手の駐車場の脇に引かれたミニチュアのレール。
ご丁寧に転車台やら機関庫まで用意されていた。
レールの上を走るミニ列車は、主役であるはずの子供を差し置いて乗客はいいオトナw
そしてみんなワイワイと何やら楽しそうだw

終点の阿下喜駅に隣接するこのスペースは、「ASITA」と言う地元グループが主宰する「軽便鉄道博物館」。毎月第1と第3日曜日が活動日だそうだ。…そう言えば、今日は第3日曜日ですわな。月2回の活動日に当たってしまうとは、運がいいのか何なのかw
クソ暑い炎天下の阿下喜駅前。ギャラリーも少ない中、ご興味を示してしまうと向こうも「それ来た!」とばかりに寄って来て自然とクロストークに。今は昭和6年に作られた北勢線の車輌であるモ226号の静態保存のためのレストアをしてるんだとか。この車輌は現役を引退した後に四日市のスポーツセンターで展示されていたものだそうで(ハギーさんは記憶にあるそうだがw)、半鋼製なんで部品も全部手作りになるとの事。アーチ型の屋根は木材を削って水に浸して曲線を作るんだって。帆船模型みたいだね…
修復は2年計画だそうで何とも気の遠くなるような話だが、こうなって来ると1/1の模型製作だね。オトナの夢は無限大。男のロマンのレベルだw

機関庫の中は昔からの北勢線で使われていた鉄道アイテムが雑多に置かれていて、たぶん全部について語らせたらいくら時間があっても足りないと思う(笑)。案内してくれた三重弁の初老のオッサンは元近鉄社員で、技術屋さんだったそうだ。当然鉄関係の話題中心となるのだが、私の食い付きの良さに比べてハギーさんおとなしめ。ハギーさんは車のほうが好きみたいですよと私が振ったら、「俺も昔は全部の国道を走ったろう思て国道1号から順番に走ったもんさ。それと三重県とか愛知県とか県境に看板あるやろ?それを写真撮って集めて…」

ちょwwwクオリティ似過ぎwwww
ハギーさんが激しく同意したのは言うまでもない(笑)。つか私は「どんなジャンルだろうと結局マニアの考える事って同じなんだな」と妙に感心してしまったのだが。ひとしきり話が済んだところで、ミニチュアナローに乗って場内一周。エンジンはスバルのエンジンでしたw昨日は自分の写真を掲載されてしまったから、今日はハギーさんの写真を掲載してやるよ(笑)。

あ、そー言えば別れ際に「宣伝してくれい!」みたいな事言ってたな。
一応鉄道趣味の集まりみたいだけど、地元の寄り合い所帯じみたところがどこまでもフレンドリーなオッチャンオバちゃんがホストを務める阿下喜駅前の「軽便鉄道博物館」は、このHPに詳しく載ってます。惜しむらくは、もうちょっと更新を密にして欲しいとは思うがw

オッチャンらと別れて駅前の温泉施設「あじさいの里」で汗を流し、阿下喜駅から西桑名駅行きの帰りの電車へ。ホームにはいつの間にか2編成が仲良く並んでいた。福本豊風に言えば「食パンがならんどるね」と言う風景の横を、ミニチュアナローがゲストを乗せてトコトコと走る。夏の青空の下の、ローカル私鉄の終着駅。地元路線を愛する地元民との突然のふれあい…ニッチ観光としては満点なんじゃないでしょうか(笑)。ぶらり途中下車でもここまでは仕込めないだろw

西桑名行き列車が自分と他に2人だけを乗せて阿下喜駅を離れます
結構山に近かったんだねえ。この駅。
石灰石の採掘で山肌に白い文様を刻む藤原岳の裾を離れ、西日の田園の中を往くナローの旅路は、狭い車内に窓を全開にして風の吹き込むワイルドな感じがよろしかろう。ゆっくりと川を渡り森を抜けて行く車窓風景の、どこにでもありそうな風景が醍醐味だと思う。

18きっぷで日帰りするのが勿体無いような、味わいある路線でした
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18+762=真夏のナローゲージ

2008年07月21日 14時34分20秒 | 日常
(画像:西桑名駅全景)

と言う訳で、北勢線の始発駅である西桑名駅までやって来ました。
パッと見た感じ、京成線の京成金町駅みたいだなと(笑)。
桑名駅の端っこを間借りした、いかにも郊外電車と言う感じの出発駅ですね。

西桑名駅は、JR&近鉄の桑名駅の改札を出て右に行って歩道橋を降りると約2分。JRの桑名駅の四日市側にありますが、同じ場所にあっても便宜上は別の駅扱いのようです。つか、近鉄時代も料金は別だったのだろうか。構造上、改札も繋がってないみたいだし。
改札口で確認したらフリー切符の類は売ってないようなんで、終点の阿下喜駅に隣接する温泉施設「あじさいの里」の入浴券付き往復乗車券を購入(1,000円)。片道460円×2+入浴料400円で320円もオトクになるいいキップだ。折しもうだるような暑さの昼下がりで、温泉で汗を流してサッパリと帰るなんて好都合じゃないですか。
窓口で時刻表を貰い、駅入口の隣にあるロッテリアでアイスコーヒーを飲みながら作戦を練る。さっき発車した阿下喜行きの次の列車は途中の楚原(そはら)までしか行かないので、ハギーさんに楚原駅までの出迎えを依頼する。したたかな段取りと褒めてもらおうか(笑)。

照り返す西桑名駅のホーム。乗客は孫を連れたジイ様と部活帰りらしい高校生、それに普通のおつかい帰りの人たちがチラホラ待つ中、折り返しの楚原行き列車がホームにゆっくりと入って来た。北勢線の主力車輌はこの270系電車で、山形食パンをスライスしたような独特の愛嬌のある形をしています。冷房が付いた車輌もあるみたいなんだけど、今回は行き帰りとも冷房はなかった。運悪っ!(笑)。車体の窓はもちろん全開です。ナローゲージと言う事で車輌の規格は全長15m。屋根も低く、立って歩くと普通に頭が吊り革にぶつかる。小さい子でも、大人の手を借りれば簡単に大人の仲間入りって感じですね(笑)。初老の運転士がこれまた狭っ苦しそうな運転席に入り、各機器の点検を始めた。持って来た荷物に500のペットボトルがあるのはご愛嬌だが、いや、この暑さで冷房のない運転台に座るのも重労働でしょう。
楚原行きは発車すると細く頼りなげな鉄路を大きく揺れながら右へカーブし、一気にJRと近鉄の線路を跨ぎ越した。馬道、西別所、蓮花寺と桑名の市街地の民家の裏路地をかすめるように、キイキイと車輪を鳴らしながら列車は走る。スピードは30~40km/h程度だが車体の揺れ方はハンパなく、天井の吊り革が振り子のように踊ります。

一駅毎に学生を中心とした乗客が乗ったり降りたり。旧型車輌らしく、加速するたびに釣り掛けモーターの独特の「クヮ~ン!」と言う甲高い音が鳴り響く。外から午後の日差しに熱された空気が車内を通り抜ける。列車の一番前の席に陣取って流れる景色を見ていたのだが、ふと振り向くと高校生は膝を付き合わせながらお喋りに夢中。この狭さ、こんな光景がいかにもナローらしい。
在良、星川、七和、穴太(あのう)と各駅を通過。三岐鉄道の管轄になってから、沿線自治体の資金が入ったせいか駅舎の新しい駅が多い。北勢線を地域交通機関として活用するために、合理化と駅配置の見直しにより7駅の廃止とパークアンドライドの推奨のために道路沿いに3駅の新造が行われた。六把野と北大社の2駅を統合した東員駅をはじめ駅前には無料駐車場が新設されて、年間の乗客も増加に転じたそうな(PDFファイル 北勢線・パークアンドライドの取り組み)。パークアンドライドを推進する鉄道路線は珍しくないけれど、それに合わせて駅の位置まで変えるような取り組みをしている路線と言うのは珍しいですね。

東員駅を出ると沿線の風景は変わり、遠くに藤原岳の山容を見ながら田園地帯を走る。田園に水を注ぐ小川を小さな橋で渡り、いくつも小さな丘を越えて行く。この辺りから勾配とカーブが多くなり、その度に列車は速度を落としてゆーっくりカーブを回る。この線形では速度は望むべくもないが、その分料金以上の乗り応えがあるように思う(笑)。

西桑名から35分、楚原駅に到着。電車待ちの中学生がアイス食ってたw夏休みだねえ。
乗って来た列車は折り返しの西桑名行きになって、アイス厨房が乗り込む。
そして私はハギーさんとご対面(笑)。
三重県民でもこんな地区にはあまり来ないらしいw
いや、ニッチ観光好きですから、私。

続く。
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18の暑い夏

2008年07月21日 07時21分43秒 | 日常
(画像:旅の窓から)

冷房のない列車なんて久し振りに乗ったよ。
昨日の三重県北勢地方は、鬼のように暑かったんだけど…。
結局日帰りしちゃったけど、ちょっと勿体無かったかなw

7月20日はJR「青春18きっぷ」夏期間の適用開始日なんで、とりあえず時刻表とカメラだけ持って始発に。西へ行こう!と言う事だけ決め、横浜駅5:47の321M静岡行へ乗車。この列車は東京駅に早朝到着する「ムーンライトながら」を静岡まで折り返し回送するため、全席普通車なんだけどリクライニング付きのJR東海373系が使われていると言う18きっぱー御用達の列車です。東京から静岡まで乗り換えなしで行ける列車も下りはこの1本だけだしね。そんな特別な列車なんで、東京5:20発と言う早朝便なのに車内は既に立ち客が出るほどの混雑振りでしたが…運良く藤沢で座席が空き、リクライニングにどっかり腰を降ろす。

時刻表をひっくり返して一応の目的地を決めると、あとは外を眺めてボーっとするのみ。
強い夏の陽射しにお茶畑がキラキラ。富士川も安倍川も大井川も天竜川も浜名湖もキラキラ。眺め飽きた静岡県の風景も、ハンドルを握らずまったりうとうととまどろみながら見るとまた悪くない。静岡8:43・8:49→浜松10:04・10:06→豊橋10:41・10:55→名古屋11:41と乗り継ぎは凄くスムーズで、スムーズすぎてタバコ吸ってる暇もないのが難だ(笑)。唯一嫌なのが乗り換える度に我先に座席を確保しようとみんな大騒ぎして走り回る事ね。ハタから見てて非常にみっともないよねえ。18きっぷ適用期間特有の光景だけど…だから「18乞食」なんて言われちゃうんだよね(笑)。

豊橋からの新快速の爆走振りにびっくりしつつ名古屋駅に到着。朝から何も食べてないのでホームできしめん。列車の中で目的地は決めたので、とりあえず駅名票を添付してメールでハギーさんを呼び出してみた。返信は「え?何やってんのよ(笑)」って…それだけかい!w
こう言うサプライズ的爆撃、歳を取っても忘れないようにしたいな(笑)。

今回の目的は、三重県の桑名から伸びている三岐鉄道北勢線に乗ってみる事にしました。
つか、ハギーさんが出て来やすい様に考えてメール振ったつもりです(笑)。
選択肢の中にあったんで「長良川鉄道乗るんだけど」…とか言っても良かったんだけどね。
過度のムチャ振りはスルーされると悲しいじゃないですか(笑)。

さて、「三岐鉄道北勢線」なんてマニア以外には全く?な路線だと思うんで、簡単に基本スペックのご紹介。
北勢線は、「その手は桑名の焼きハマグリ」で有名な三重県の西桑名駅から、員弁(いなべ)川に沿って旧北勢町(現いなべ市北勢)の阿下喜(あげき)駅までを結ぶ約20kmの路線です。以前は近鉄北勢線として近鉄の路線でしたが、近鉄の志摩スペイン村を始めとした巨額赤字問題の渦中の2003年に近鉄側から廃止届けが提出されてしまいました。近鉄球団の統合を発端とした合併問題の勃発した時期とかぶる。
しかしながら、重要な交通手段であると言う意見のもと沿線の市町村が支援体勢を固め、結局地理的にも非常に似通ったところを走っていた三岐鉄道が運行を引き継ぎ現在に至ります。三岐鉄道は三井グループの太平洋セメント系の鉄道会社で財務体力的にも申し分ないのだろうし、貰われた先は恵まれていると思うなあ。

で、その北勢線の何が一番の特徴かと言われたら、ナローゲージだと言う事です。
レール幅762mmと言ういわゆる「特殊狭軌」。軽便鉄道のの規格なんですね。
この「ナロー」が日本で残っているのはこの北勢線と姉妹関係に当たる四日市近辺の近鉄内部・八王子線だけで、三重県北部の近鉄系路線は最後の現役ナロー地帯となっています。黒部峡谷鉄道もナローだけど、あれは敷設理由がダムの電源開発用だからちょっと違うと思う。鉄ヲタ的に「趣味的色彩が強そう」と言うのが北勢線を選んだ理由ですね。

きしめんを食い終えて、名古屋発12:08発の関西本線亀山行普通列車に乗って桑名へ移動。
関西本線は普通列車も快速列車もデフォが2両と言うのがやる気なさ杉だな(笑)。
四日市、津、松坂へは便利な近鉄特急をご利用下さいってかw
車内は激込み。

ムカつきつつ続く。
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