え~と、今日は一日仕事で忙しくて、昼飯も食ってなかったもんだから回転寿司屋に入ったんですよ。回転寿司。
ホラ、回転寿司って待たないし早くていいじゃないですか。時間もなかったしね。
昼下がり、一人なんでカウンターに通された私。隣にはいかにも社長風の、ちょっと日焼けしてエネルギッシュな…そうさなあ、「バンキシャ(日曜日テレ)」に出て来る元東京地検の河上和雄さんをちょっと若くした風の社長っぽい人が右隣に座っていたのよね。んで、昼のピークを過ぎてしまった時間帯の回転寿司屋なんて回転寿司なんだけど全然回転させてないんですよ(笑)。そらもう上村愛子のダンナもビックリですわって感じの回転放棄状態。カピカピのサーモンしか回ってねえでやんの。私、寿司ネタの中でサーモンってどうも苦手なんですよね。なんかあの柔らかくてドロッと脂っぽい感じがどうもシャリと馴染まないような気がするんですが。
まあ個人の好みはここではどうでもいいんで、安い皿を5~6皿つまんでとっとと客先に行こうと思ってカウンターの中の寿司職人に「カンパチとサバ!」なんて頼みつつお茶の袋を湯呑みに入れて熱湯の注ぎ口に持ってったりしてたわけですよ。んで、「お待ち!」なんて言われて私の手に寿司職人が寿司の乗った皿を渡して来たもんだから、片手では携帯でニュー速+とか見ながら受け取りつつ上にショーユなんかをツーっと垂らして口の中にポイっと入れてモグモグと食ってたんですが、なんかこれってカンパチにしては味がマグロっぽくねえかあ?なんか身も妙に赤いし…なんて思ってたら、隣の初老紳士がおもむろに店員を呼びつけてこう言う訳ですよ。
「私の頼んだ中トロと赤身来ないよ?」
ブーッ(AA略)。
そそそれって今私が食ってるこの皿の事ですかあ???????(笑)。
ってか受け取った時点でカンパチとサバじゃない事くらい気付けよ俺!って事なんでしょうが。
「あ、ひょっとしてこれお父さんの…ですよねぇ…」
恐る恐る申し出る私の目の前に、既にショーユをぶっかけられて赤身の一カンを食べ終えた状態の皿がw
私の目の前の皿を厳しい目で見詰めた河上さん、しばし沈黙。そらそうよ。
「いや、いいんだ」と一言言ってくれたのだが、状況としては間違えて渡した寿司職人が悪い!と開き直る訳にもいかず。だって食っちゃってるし…私がこのままだと結構な悪者だよな(笑)。お父さん、さっきっから目の前の回り皿には一切手を付けずにいたのも隣に座ってて分かってるだけに、心の中で「和雄さん楽しみにしてたんだろうなあ、食いたかったんだろうなあ赤身と中トロ!」「腹減ってるからって言って目の前のカピサーモンとかタマゴには目もくれなかったもんなあ!!」と思えば思うほど、自分は悪くないんだが食いものの事なんでなんか申し訳なくて、かと言って残りの三カンを返すのも変だし!ととりあえず素知らぬ風で皿を始末したのだが、正直味なんか良く分かりませんでしたw
で、改めて和雄さんは赤身と中トロを頼み直した訳です。
これで事態は沈静化の方向に向かうと思ったのだが、これがまた昼過ぎで職人の数が少ないのか何なのか来るのが遅いんですよ(笑)。
明らかにイライラする和雄さん。そりゃそうだ。自分の頼んだものを隣の見ず知らずの若造に携帯片手にむっしゃむしゃ食われてさ、あまつさえ再オーダーもなかなか通らないんじゃいつ目の前の湯呑みブン投げて「おあいそ!」って声を出してもおかしくない訳ですよ。ミスした客には最優先のフォローが鉄則でしょうに。いや、こりゃこの店自体がホントの「お愛想」だわ。あっはっは。
………どうでもいいけど私の立場も考えてさっさと和雄に握ってやれや(涙)
イラ立つ和雄の隣で背中を縮めながら食う寿司の味のしない事w
これじゃあ小僧寿しでもかっぱ寿司でも変わらんしww
そもそも入らなけりゃよかったな、この店w
コンビニでパンでも買って車の中で食えば良かったんだよ。うん。
所詮コッパなリーマンは昼飯に回転とは言え寿司なんか食っちゃいけないんですよ。
とある事に気付き、事態の悪化はさらに進む。
さっき俺が間違えて渡され、間違えて食っちゃった中トロの値段は480円だった。
もう心がささくれてるので一人称は「俺」にする(笑)。
おおおお~いちょっとまて~い…
俺、120円皿しか食うつもりなかったんだけどorz
昼メシの予算繰りがいきなり破綻してしまったんですけどw
ってか返せって言われても胃の中だからなあ。胃の中のマグロ(中トロ)大海を知らずってか。なんだかもうチヨスもあきれとったわwwwww
破綻した意識状況の中、失意にまみれつつ後悔の昼メシ。なんでリーマン唯一の息抜きの時間である昼メシでこんな目に遭わなきゃいけないんだろうなあ。なんかわるいことしちゃったかなあ。もうみんな温暖化と民主党が悪いんだ。そうだそうにきまってる。おあいそ。
ここで奇跡が起こる。
伝票を持って立ち上がる私を見て、和雄がとっさに店員に向かって声を掛けた。
その瞬間を、俺は忘れる事はないだろう。
「さっき間違ってお兄さんに渡したお皿、こっちに付けといて!」
…………………………
か、和雄さぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁっぁぁっぁぁぁああああん!
社長っぽい身なりに見える和雄さんは、本当の社長だった。
いや、ホントは社長じゃないのかもしれないけどさ、そんな事はどうだっていいんですよ。
会社の立場としてのいわゆる肩書きの社長じゃなくて、態度で示した姿が社長と認めるべき姿だったw
だから、和雄さん、あんたの事を社長と呼ばせて頂きます。
社長、男気、ゴチになります。