(画像:桜祭りの山北で)
今週末が南関東では桜のピークと言う事で、今日は撮りモノを求めて朝から山北町へ。
山北駅の西側の掘割に沿って続く桜のトンネルは、まさにピークの花盛り。
これが「かながわの街並み100選」に選定された「御殿場線・山北の桜並木」。
掘割を跨ぐ人道橋から、観桜の人波は絶える事なく。
桜を愛でるだけなら、自宅から5分の場所にそこそこ有名なスポットがあったりするんですが、
やっぱり「桜」だけでは物足りないから、「鉄道」を絡めたくなる。
そんな私の欲求を満たすに充分な桜のボリューム。
掘割の両側から、降り注ぐように落ちる桜の中を「あさぎり1号」が行く。
ダブルデッカーの小田急20000系RSEでまず一枚。
あさぎり1号と駿河小山で交換した「あさぎり2号」でもう一枚。
空が花曇りなんで、桜の色があまり出ないのはちょっと残念ですが…
県内にあって、そこそこローカルな感じで、一応特急も走ってたりする路線。
ああそれなのに、御殿場線って~のはとにかく地味な扱いを受けているような気がする。
1889年(明治22年)に開通した、かつての東海道本線の一部である事はご存知の通り。
昭和9年の丹那トンネル開通により表舞台から陥落するのですが、なんか先日訪問した肥薩線と境遇が似ています。
そんな地味線である御殿場線に、ちょこちょこと撮りに来ている自分。
この山北は、御殿場までの1000分の25の勾配をクリアするための補助機関車を連結する、山越えの基地でもありました。
何もない山里に鉄道が走り、機関区が置かれて、鉄道が産業の中心となった街。
山北町のHPには、「鉄道の街」であった山北の歴史が詳しく掲載されているのだが、
たぶんこの辺りの「産業遺産的佇まい」が自分の琴線に触れて来る路線なんだろうと思う。
山北駅に滑り込むJR東海313系の普通電車。
シャープなデザイン&純白のLEDヘッドライトもクールでカッコいいよね。
ともすれば無味乾燥に見える通勤型車両も、桜のヴェールを纏えば華やかな装いに。
この桜並木はいつからのものなのか、自分には知る由もない。
ただその歴史を鑑みれば、きっと山北が鉄道員たちで賑わっていた頃に、
街の人々が「おらが街の誇り」と植えた桜なんだろうなあと思う。
蒸気機関車が空をも黒く染めた山北に、煙が消えて40年。
桜祭りのお囃子が響く春の山北。
変わって行く御殿場線を、変わらない桜が見守っています。