(魅惑のエメラルドグリーン@タキ243884)
ここ四日市界隈には、東藤原から走って来る太平洋セメントのセメント列車、名古屋方面から走って来るコンテナ列車、そして四日市や塩浜のコンビナートから運ばれて行く石油列車と大まかに言って三種類の貨物列車が集まって来ます。どの列車もそれぞれの魅力がありますけども、ひときわ目立つのはこの鮮やかなエメラルドグリーンを身に纏ったガソリン専用のタキ43000、このカラーリングが結構好きなんだよなあ。ほぼ同じ形でタキ43000をさらに高速仕様にしたタキ1000ってのもありまして、これはタキ43000の最高時速75kmに対し95kmで走る事が出来る。ほとんど見た目の差はないんだけどハキモノ(台車)が違うんで、気になった人は見てみるがよろし(笑)。
12時便の往復と跳ね橋の格納を見学した後、缶コーヒーを飲みながらチャリンコを漕いで四日市の駅に戻ると、目の前に現れたのはなんとDD51の国鉄原色機重連。まさにたった今四日市に到着したようで、タキ編成を切り離しての機回しの真っ最中。そーか、さっき海蔵川に集まっていたお鉄の面々はこの国鉄色重連狙いだったのね…と気付いても後の祭り、道理で12時便の末広橋梁に鉄の姿が少なかった訳だよ。きっと三脚畳んでチャリンコで立ち去ったアタクシは「あいつ散々待っておきながら原色も撮らないで何で帰っちゃったんだ???」と言う目で見られていたに違いない。そーだそーに違いない。ダッシュで四日市の駅に駆け込み、入場券をゲットし構内へ。
ともあれ国鉄色のDD重連ともなれば、この国鉄色原理主義ブームの中では垂涎の被写体と言っても過言ではありません。美祢線の石灰貨物、山口線のフライアッシュ輸送は終了、北海道も石北貨物が終了、大阪も城東貨物線電化により撤退と「DD51の国鉄色」が走る場所と言うのはほぼなくなってしまったと言うのが現状でしょう。この色のDD51と言えば、何と言っても寝台特急出雲を牽引して山陰本線の餘部鉄橋を渡って行く姿を真っ先に思い出します。夜明けの荒れた冬の海をバックに走るDD51の姿、あれは子供心に「夜汽車の旅」ってものに対する憧れを抱かせるには十分なものでしたなあ。ちょっと鉄道が好きな人ならきっと見た事ある写真だと思うんですがね。
四日市側がDD51852、名古屋側がDD51847の原色コンビ。悔しいのでタキを牽引している体で写してみました(笑)。どちらも三菱重工で昭和47年に製造された40年選手。やはりどちらも山口県の厚狭機関区に配属された文字通りの同期の桜コンビであります。たぶん新製当時は美祢線の大嶺や重安あたりから宇部港へ石灰貨物を引っ張っていたのではないかと思われますが、852は最後に検査を受けたのが平成19年1月(広島車セ)、847が平成19年6月(大宮車セ)との表記が見え、そろそろ次の検査期限が近付いているようで。両車ともやや色も褪せ気味で、塗装がひび割れちゃってる辺り次の検査を通して貰えるのか(または通す気があるのか)と言う懸念はありそう。ちなみにこのDD51852は、門司機関区の時代に東日本大震災に伴って開始された磐越西線経由の郡山への燃料迂回輸送の重責を担った歴戦の勇者でもあります。
名古屋側から半逆光気味に。こうして撮るとDD51の特徴である足回りの砂箱が浮かびあがって来てまた一興。惜しむらくは愛知機関区にはスノープロウを付けてるDD51がほとんどいないって事で、正面の足回りが何だかふんどしのようなT型のバンパーガードで固められちゃってる。俗に言う「暖地向け」の装備なんですが、DD51だとやっぱ旋回窓とスノープロウを装備した「寒地型」のほうがよりサマになるように思えますね。
今度は横に回って一枚。DD51の特徴であるセンターキャブと、その下部に据え付けられた軸重逃がしの補助台車。キャブを挟んだ前後にそれぞれ大型エンジンを積んでいるDD51、そのまま2つの台車では全体の重量を支え切れないので、このように無動力の小さな補助台車を付けて全体のバランスを確保しています。こうして近くで写真を撮っているだけでも、エンジンと冷却用ファンの音がダイナミックに伝わって来る。自分含めて4~5名の鉄が入れ代わり立ち代わりこの原色重連を飽きもせず眺めているのだが、隣のホームで折り返しの発車を待っている伊勢鉄道のウテシ氏が呆れたようにその光景を見ていたw
更新機と原色機を並べてみる。朱色、白帯、灰色と使っている色は同じでも、並べて見てみるとやはり落ち着きというかしっくり加減と言うのは国鉄原色機に軍配が上がる。更新機は朱色がちょっときついのと、原色ではアイラインにある白帯が腰回りに下がり上半身が単色に覆われているので、ちょっと重く見えるような気が。って言っても国鉄色じゃなくたって、更新色でもカッコイイ。それだけの魅力が、この凸型には詰まっていると思いませんか。
架線のないヤードに似合う、非電化王者のパラダイス。
十分原色を堪能したところで、四日市からちょっと離れてみます。
続く。