青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

凸撃冬の四日市DD祭り ファイナル

2014年02月09日 04時45分32秒 | 関西本線

(藍色の空の下で@塩浜駅)

富田に戻って時刻は4時を回り、そろそろ日の入りの時刻が近付いて来た。夕日、と言うには厚い雲が空を覆い、走行写真は厳しい雰囲気。それでも飽くなき執念でDDを追いかける今回の四日市DD祭り、今度は夕方の塩浜駅で重連タンカートレインを狙う事にします。四日市駅発着のタンカートレインが積むのはコスモ石油四日市製油所の製品ですが、この塩浜駅まで下って来る列車は昭和シェル石油のグループ会社である昭和四日市石油四日市製油所の製品を運んで行きます。四日市発着に比べて塩浜発着は数が少ないようですが、かつては石油貨物のほかにも三菱化学の鹿島事業所(茨城)からお隣の海山道にある四日市事業所へ酸化エチレンの輸送があって、その独特のタンクコンテナは地味にファンの多い鹿島貨物の名物と言える存在でした。ただ、東日本大震災の前日に成田線内でエチレンコキが脱線転覆事故を起こしてしまい、その後の震災による鹿島事業所の操業停止などの混乱の中でそのまま廃止されてしまったのよね。


夕暮れ迫る塩浜の貨物駅。貨物駅は近鉄の塩浜駅の隣にありまして、一見すると近鉄の車庫のように見えなくもない。構内を渡る大きなアーチ橋が塩浜のシンボルですか。さてさて狙いの列車は走るかどうか…まあ冬場の需要期だから走るでしょ、とのんびり待っていたら、橋の向こうの詰所から名臨の操車係の方々が歩いて来た。どうやら運転確定の模様です。日が暮れて急に寒くなって来たのでさすが手持ちでは辛く三脚を出しますが、三脚出すとなると停車位置がどの辺りなのかのアタリを付けなくてはいけない。これは名臨の係の方がどこで待っているのかを見ていれば一目瞭然、待っている場所にDDが止まるはずです。

  

時刻17:42はほぼ下調べしていたダイヤ通り、アーチ橋の向こうにDDのヘッドライトが輝いて、塩浜行き貨物列車75レが予想通り名臨の操車係の方の前に到着しました。DD511801+DD51890。更新色ですが、1801はスノープロウを履いているので立ち姿もビシッと決まってますなあ。藍色の空の下、アーチ橋の水銀灯に照らされながら入換作業が開始されます。


牽いて来た14両のタキを開放し、今度は大きく四日市方に向かって機回し。側線に止めてあった8両のタキ、3両のタキをごちゃごちゃと入換しつつ返しの編成を仕立てて行きます。入換のたびにタキのボディがガッシャーン!ドッシャーン!と結構な音を立てるので間近に見ているこっちはビックリしてしまうのでありますが、近所に住んでいる住民とか気にならないのかしら。まあ一日中ガシャガシャやってる訳ではないとは言え…


何回かの入換を経て返しの組成完了。返しは少し短い11両編成となりましたが、傾向からして積載のタキは11両が基本なんですかね。すっかり日も暮れて夜の帳の中で静かに出発の刻を待つ6286レDD重連、信州内陸の寒冷地へ燃料を届ける大事な大事な仕事です。石油を輸入に頼る我が国日本では、港に荷揚げした油を内陸部に届けるにはいずれにしろ何らかの輸送手段を必要としますのでねえ。一編成でタンクローリー何十台分もの油を運べる鉄道輸送の利点はここにあるんじゃないかと。


水銀灯が煌々と構内を照らす塩浜の夜。遠くにコンビナートの灯りと白煙を眺めながら、跨線橋の踊り場で出発前のDD重連を眺める。今回は朝から晩まで一日関西本線のDD51と四日市周辺の貨物列車を眺めていたのですけど、今や日本最後のDD51の聖地となった四日市界隈を回ってみて、気付いた事をぼんやりとまとめてみます。

1.関西本線は亀山まで電化されていても、四日市駅の入換線や荷役線には架線の張られていない区域がまだまだ多い事
2.また、近辺の工場群への専用線も同様な事
3.コスモ石油、太平洋セメントを中心とした物量はそれなりにある事
4.かと言って、鉄道貨物の先行きを考えるに後継の機関車を投入するほどでもなさそうな事
5.更新機を中心に機関車は整備されている事

以上のような理由で、しばらくは更新機を中心としたDD51で貨物輸送を続けて行くんだろうな、と言う感じがしましたね。
但し、東藤原からのセメント輸送は1日3~5往復程度とやや心許なく、荷主の太平洋セメントが抱える三岐鉄道の機関車も老朽化している事から、三岐側で貨物を続けられなくなる事情が発生すれば局面は変わって来るのかなと。コスモ四日市からの出荷はなくならないでしょうから、塩浜貨物を廃止かHD300化した上で四日市の入換線を電化し、そっからEF210で牽引と言う時代が来る可能性はなくはなさそうです。DD重連ってのも単機で牽ける機関車に比べたら手が掛かる話ですしねえ。


折り返しのDDが出て行くと、塩浜の駅に静けさが。
駅常備のタキ1000の向こうに、三日月とJSR四日市工場の煙が昇る。力強いDDの足音、歴史ある跳ね橋、国鉄原色機、それぞれに良かったけど、ひっくるめて産業の動脈としてしっかりと鉄道が生きているんだなあと言う事を実感出来た四日市の旅でした。今度はもうちょっとダイヤを把握してから来たいと思いますがw

さて、寒くなった体を温めに湯の山温泉でも行って来るか。
終わり。
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