(紅葉と戯れ山登り@大平台隧道入口踏切付近)
枯葉の絨毯に腰を下ろして、家から持って来た暖かいコーヒーを飲みながら列車の通過を待つ。15分に1本ずつの上り下りだから、手頃な間隔で退屈もしない。樹齢も長そうな大紅葉が三本並ぶ大平台隧道前踏切。トンネル手前の線路は紫陽花が線路わきにびっしりと植えられていて、あじさい電車の時期はカメラを持った同業者がひしめき合っていましたが、何年か前にここの周辺の紫陽花はまとめて伐採されちゃったんだよなあ。今も伐採されたまま紫陽花は植樹されずそのまま。
枯葉舞う荏原踏切を、古豪ザンナナ(103×107)編成が登って行きます。昭和25年汽車製造謹製。現在の川崎重工業に吸収合併されて消滅した車両製造会社ですが、保存車でなく現役で活躍している車両はもう相当に少ないのではないでしょうか…そう言えば先日、川崎重工が「鉄道事業の採算が取れない」として撤退含めた事業見直しをするなんてニュースがありましたね。
山肌に沿って続く急勾配と急カーブ、フランジをキイキイ言わせて通り過ぎた列車から水滴が飛んできた。登山電車にはレールの摩耗防止用の散水装置が付いていますからね。増結車については、金太郎腹巻の108より通常塗装のマルキュー(109)派です。冷房のない旧型車の運用は、夏場は2編成のうちのどっちかが10時以降に入生田に引っ込んでしまう傾向が多かったのだけど、この日は日中も旧型2編成が稼働していました。
まあそれにしても見事な紅葉だ。コーヒーを飲みながら空を見れば、時折山を渡る風がさあっと吹いて、燦々と乾いた音を立てて紅葉の葉っぱが落ちて来る。百人一首の歌になぞらえて詠むならば、「嵐吹く 箱根の山の もみぢ葉は 線路(レール)に落ちる 錦なりけり…」と言ったところかな。