(身延の宵闇に咲く@塩之沢駅)
大井川の春を堪能して、そのままハンドルを自宅に向けるつもりだったのですが、何となく新清水のJCTからフラフラと中部横断道にハンドルを切ってしまいました。先日に開通したばかりの中部横断道。現在は山梨県の富沢ICまでの部分開通ですが、どこかで見たのか、聞いたことがあるのか、身延線に夜桜が楽しめる駅があるという記憶がありました。富沢のICから、身延線に沿って県道を走る事30分。きれいにライトアップされた桜とともに、塩之沢の駅が迎えてくれました。
たまに通りかかる車のドライバーがちょっと車を止めて見上げる他は、ほぼ独占の塩之沢の桜。元々身延の街というのは、身延山の久遠寺に代表されるように桜のきれいな街で、あまり意識したことはなかったのですがこの時期そこかしこに綺麗に桜が咲いていました。夜桜の駅に313系3連の甲府行きの列車が到着。思えば山北の御殿場線でスタートした今年の桜、今年は割と313系づいているような気が、するようなしないような・・・?
塩之沢の桜は、駅のホームの向かい側に庭園のような岩積みが並べられていて、その向こうに咲いています。桜の木は結構な古木ですが花の付きは良く、ライトアップの光に映えて静かな夜の集落を華やかに彩っております。もう10年以上前になるけど、塩之沢の駅って18きっぷで旅行してた時に一回だけ降りた事があるんだよな。駅の裏に「塩之沢温泉」という小さな鉱泉宿があって、そこでひとっ風呂浴びさせてもらった思い出がある。まだ温泉宿はやってるのかなあ。最近、地方に行くと、昔訪れた事のある宿や温泉や施設が軒並みなくなっていて、世のあはれを感じたりすることが多いのである。
先ほどの甲府行きと、甲斐常葉で交換して来た富士行きの普通列車。そう言えば、塩之沢の温泉は、小さなばあちゃんが一人で番をしていた覚えがある。この手の温泉(鉱泉)宿が、結局は経営者の高齢化と後継者不足によって閉めてしまうという事例を何度も何度も見てきた。さすがに夜だったので宿の現状は確認できなかったんだけど、あの暑い夏の日にセミの声を聞きながら飲んだ湯上りの麦茶と、たわいもないばあちゃんとの会話を忘れてはいないのであった。
塩之沢の宵に咲く満開の桜。水銀灯に照らされて、峡南の春を鮮やかに彩ります。