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(暖かな日差しに包まれて@川根両国駅)
川根両国の側線で憩うスハフ4とトキ2両。井川線の中では旧型客車の部類に当たるスハフ4は、オープンデッキのオールドスタイル。出自は中部電力のダム建設や発電所の管理に従事する作業員の輸送用に作られた純然たる事業目的の車両で、現在はイベントごとでもなければあまり動く事もないご隠居さんである。いつも川根両国の車庫か側線でこうして日向ぼっこをしていることが多いんだけど、まあこれだけ天気も良くて桜も咲いていれば、ご隠居暮らしも悪くないかもしれない。
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暖かな風が流れる川根両国。日向ぼっこを決め込んでいたスハフ4も、一応(?)現役の客車。当然ながら日々の点検が必要と見えて、職員の方がハンマーを持ってはカツン、カツンと台車のチェックを行っている。おいおい…せっかくのんびり桜を見ながらウトウトしてたって言うのに、無粋なヤツだなあ。なんてご隠居のボヤキが聞こえて来そう。井川線の線路の幅は本線と同じく狭軌の1067ミリですが、トンネルの建築限界がかなり小さいので台車もミニサイズ。クッション役のバネやゴムが少ないせいか、乗っているとゴロゴロガタガタと硬質な乗り心地が伝わってきますね。
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駅の北側には、川根両国の駅を見下ろすように吊橋が架かっていて、この吊り橋の上からは両国検車区がよく見えます。ちょうどさっき川根小山で見送った試運転列車が両国に到着したところで、短い客車を側線に引き込んでDDを切り離していました。トタン板の倉庫の中には、咲き誇る桜の下で昔の井川線の主役だった加藤製作所のDB(二軸ディーゼル機関車)が静かに眠っていて、微かに漂う重油の匂いに、奥大井が林業を中心に栄えた林鉄の全盛期を偲ぶ。
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咲き誇る両国の桜をバックに、井川行き203レ。満開には一歩手前か、開け放たれた窓から両国の桜を愛でる乗客たち。井川に向けて標高を上げていく井川線、両国が標高300m、終点の井川は標高670mだから、長島ダムより向こうの奥大井の風はまだ冷たいかもしれない。203レのヘッドマークは「しずおかディスティネーションキャンペーン」にちなんだ「アッパレ!しずおか元気旅」のもの。4~6月の春シーズン、3か年連続で開催される計画で、今年はその本番の年なのだとか。
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井川線が一番乗客を集めるのは、寸又峡の紅葉が見頃になる10月下旬から11月上旬にかけてと聞きます。桜の時期は短いけれど、桜が終われば新茶の芽吹きが始まるし、若葉が萌えるように山を覆うこれからの奥大井の景色もまた素敵なものだと思う。フリーきっぷを持って、往復3時間の林鉄旅。お尻は多少痛くなっちゃうかもしれないけども、悪くないかもしれませんよ。