(うららの春の両国界隈@川根両国駅)
朝から川根路をそぞろ撮り歩き。一応メインイベントのSL三往復は、家山駅の時刻で11時くらいからスタートするので、その間は井川線を撮影する事に。大井川鐵道と言えばまずSL、みたいなところがありますけど、私はこの井川線も好きです。なんなら、本線より好きかもしれません。大井川の刻む峻険な峡谷を、小さな機関車と客車を連ねた編成がフランジの音も高らかに山の奥へ奥へと誘ってくれる魅力にあふれた井川線。そんな井川線の車両基地である両国検車区と、乗務員の詰所を兼ねる川根両国の駅。この駅は桜の木々に囲まれていて、時期になったらきれいだろうなあと長年思っていた駅でもあります。暖かい風を受けて咲き誇る桜、この風景を撮りたかったんだよね。
井川線では、常に千頭側の守りを固めるDD20形。204を先頭に重連で待機中。おそらく千頭からの2番列車の牽引機になるのでありましょう。客車は千頭の構内に留置してある事が多いので、両国から千頭までは重単の運用だろうか。井川線のDD20は、小さな箱型のいでたちと、つぶらな片目の尾灯がチャームポイントの愛らしい形をしています。井川線は進行方向にかかわらず、常に千頭側にDDをくっつけて運行を行っていますが、アプト区間では動力車で自重のあるDD20に後ろから補機(ED90)を連結した方が望ましいという編成バランス的な理由があるものと思われる。もしDDを進行方向に沿った井川側に付けて運行し、アプト区間は後ろから補機を連結して急勾配を押し上げようとすると、おそらく自重の軽い客車だと連結機に負担がかかり過ぎて座屈とかしちゃうんだろうな。
千頭からの市街を抜け、花びら舞い散る川根両国の駅に滑り込む井川方面の始発列車。まあ始発言うても朝の9時過ぎだったりするんですが…(笑)。じゃあ、動力車を一番後ろに付けて、機関士さんはどこで運転してるの?という事ですが、井川方面行きは井川側の先頭に制御車のクハがついていて、そっから最後尾のDDを総括制御する形の運転方法を取っています。だから、井川行きの場合先頭の制御車に運転士が乗っていて、DDには誰も乗ってない(か、車掌が乗っているか)のよね。桜の時期だけに、今日は井川線も「さくら」のカン付き。しかも国鉄が九州のブルトレでよく使ってたメロンパン型の厚みのあるヘッドマークなのもまたいいよねえ。
この日の井川行き始発列車は客車5両にDD206(HIJIRI)の編成。この機関車はかつての井川線カラーである腰から下がカスタード、上が赤のツートーンを身に纏うリバイバル車。塗装し直されたのが最近なのか、ツヤッツヤして井川線のDDの中では一番状態が良さげな感じがします。ようやく寒の戻りから脱して爽やかな風吹き抜ける奥大井、窓を全開にオープンエアーで愉しむのが井川線のお約束。この3月に、長いこと土砂崩れで不通だった閑蔵~井川間が復旧したばかりの井川線。終点井川まで1時間45分の旅路は、両国の桜並木に見送られてのスタートです。