青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

夏出雲、神々の住む国へ。

2023年08月28日 17時00分00秒 | 一畑電車

(旅立ちの夜に@東京駅八重洲口)

のんびりと7月の播州の鉄道旅を綴っているうちに、もう次の旅が始まっていた。8月、人並みながら夏休みをいただいた私、どこへ行こうか思案投げ首。昨年は京都丹後鉄道で夏の一日を過ごしたのだが、今年はさらにもう少し山陰の向こう側、出雲方面へ足を延ばしてみることにしました。去年はクルマで行ったんだけども、今年はガソリンがとにかく高いこと、そして距離も京丹後よりさらに延びることもあったので、JRバス中国が運行する夜行高速バス「スサノオ号」で行って現地でレンタカー借りることにしました。え~?出雲なら「サンライズ出雲」なんじゃないの?というのもあるんですが、夏休みの土曜の夜の東京発なんて直前で取れるわけなかろうが(笑)。JRバスらしく、サイドにあしらわれた伝統のスワローマークがカッコいい。

この「スサノオ号」、TDLを起点とし、東京駅八重洲口から松江・出雲市駅を経由して出雲大社前まで走る路線で、2階建てバスで運行されています。夜行高速バスで2階建てって初めて乗るけど、日本じゃなくてスウェーデンのスカニア社が製造する「J-InterCity DD」というバスらしい。3列シート、フットレスト、リクライニングはフルリクにすると座面が前に出るので一般の高速バスよりもより寝やすい傾斜まで倒しこむことが出来るのが良かったですね。勿論椅子にはUSB端子付き。例によってさすがに高速バスで熟睡・・・というわけにもいかず、細切れの睡眠になってはしまうのだけど、夜通し運転していることを考えたら、ね。

東京駅八重洲口20:20発。東名・新東名・伊勢湾岸・新名神・名神・新名神・中国・米子・山陰道と経由すること840km、松江駅前には定刻やや早めの7:15到着。途中休憩はお休み前の東名鮎沢PAとおはようの蒜山高原SAのみ。料金は片道14,000円なんですが、ちなみに新幹線+岡山乗り換え伯備線で22,000円くらいなのでどんなもんでしょう・・・東京~大阪だとバスによっちゃあ新幹線の半額以下になったりもしますが、山陰方面へ向かう夜行高速バスは数が少ないのでこのくらいでしょうかねえ。ちなみにサンライズもB寝台ソロで22,000円くらい。まあ、サンライズが取れたら乗ってみたいけども、松江9:29・出雲市9:58はちょっと遅いかもな。夜行高速バスは、地方都市の駅前に朝早く到着することに利点があるので。

朝の松江駅前。島根県の県庁所在地の玄関口にあたる駅ですが、駅前に建つスローガンにお土地柄を感じる。竹島に関しては終戦のドサクサだとか李承晩ラインだとか色々と歴史的に物議を醸している場所ではありますが、個人的には江戸時代に遡る鬱陵島と竹島の間における渡航禁止問題(竹島一件)をして鬱陵島と竹島の帰属は両国で平和的に分離されているという説を推したい。基本的に日本の固有の領土として疑いの余地のない土地ではある。

駅前のレンタカー屋で車を借り受けるのが8:00~なので、それまでどっかマックでもないかと思い辺りを見回すのであるが、山陰最大の都市(だよね?)とはいえ松江駅前にそんなシャレオツな都会のファストフードショップはない。仕方がないので、駅の1Fに入っているセブンイレブンで食料を調達し、待合室で山陰中央テレビを見ながら簡単に朝食を済ます。ふと駅構内の案内放送に耳を傾けると、7時台の岡山行き「特急やくも」の入線案内が。最近、最後の国鉄型特急車両として381系の人気も日増しに高まっているらしく、最近復活した国鉄特急色のリバイバル編成を撮りに遠方はるばる撮りに来る人間も多いと聞くので、まあワンチャンあるかもしんないから暇つぶしに見に行ってみんかあ・・・なんて入場券を買ってホームに上がったら、そのものずばりの国鉄特急色が登場したのであった。

貫通路のある岡山側よりも、ノーマルな出雲市側のほうが馴染みのある「国鉄特急顔」という感じがするのと、381系って独特な振り子台車の形状が特徴あってカッコいいですよね。ボルスタアンカーが横に大きく突き出てるの。運転席横の「JNR」マークも凛々しく、「八雲」があしらわれたヘッドマークといいこれは正しく「L特急やくも」だなあと。それこそDC時代からの伝統の陰陽連絡特急、松江から岡山までは2時間半ちょっと。

国鉄特急色のやくもにホクホクしたところでレンタカーの借り出しの時間。簡単な説明を受けてハンドルを握る。弊ブログ、そんなにJR系にキョーミがないので(笑)、宍道湖と中海を結ぶ大橋川を渡って、松江の中心市街地へ。市役所や歓楽街を抜けて、やって来たのは一畑電車の松江しんじ湖温泉駅。その名の通り、温泉街のホテルや旅館立ち並ぶ一角にあるガラス張りのきれいな駅舎。以前は松江温泉駅と名乗り、高い塔屋を持つ二階建ての立派な駅舎が建っていたそうだ。ちなみに、一畑電車の松江しんじ湖温泉駅とJR松江駅はだいぶ離れていて、歩いて行くのはあまり現実的な距離ではない。結構本数は走っているので、バスが無難だと思う。

一畑電車は、松江しんじ湖温泉から宍道湖北岸を通り、電鉄出雲市と出雲大社前を結ぶ総延長42.2kmの山陰唯一の地方私鉄。その始発駅である松江しんじ湖温泉に湧く湯は、77℃の単純アルカリ性の高温泉。駅前には観光客用に足湯なども整備されていましたが、この日も朝から暑い宍道湖湖畔。誰も足湯など浸かっている人はいないのであった。

コメント
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