(淡い西日に照らされて@屋代線東屋代駅)
さて、長々とお送りして来た「さよならリンゴ&屋代線の旅」もとうとうエピローグ。陽は西に傾いて、旅のフィナーレを飾るために訪れたのは屋代線の東屋代駅。長野電鉄の駅舎はそれぞれ味のあるものが多いですけど、ことこの駅は木造駅舎マニアが見たら失神すんじゃねーかってくらいの雰囲気があります。元々住み込みの駅員さんがいた駅らしく、戸口に付けられた郵便ポストだとか、洗濯物を干していたであろう縁台だとか、そう言う「生活の残滓」みたいなものがそこかしこに残っています。駅自体は街道沿いをひょいと入った場所にあるんですが、これがなかなか見つけづらい場所にありまして一発で辿り着くのはなかなか難儀なんじゃないかと思われます。
ラッチや出札口、そしてホームのベンチがまた見事なストラクチャー。少し羽目板の外れかけた風除けのガラス戸とか、ここまで来ると骨董品の茶道具のような使い古されたワビサビの世界なんじゃなかろうか(笑)。以前はこの駅も近くにある屋代高校の通学用としてその役割を果たしていた事もあったそうなのだが、平成13年にしなの鉄道に屋代高校前駅が開設されて以降は利便性と本数に劣るこの駅を利用する高校生もグッと減ってしまったのだとか。今でも正門からの距離は微妙に東屋代の方が近いみたいなんですけどねえ。
残された時間も少ない鉄路に、今日も電車はやって来る。
いつの間にか駅に現れた女子高生と、お名残り乗車の乗り鉄のセーネンのコントラスト。
春まだ遠い信濃路、女子高生のマフラーの鮮やかなピンク色は、一足先に届けてくれた屋代線への春便り。
でも、屋代線には、もう春は来ないんだけどね…
さよならリンゴと屋代線。3月31日まで、どうぞ無事に。
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