青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

冬の光と戯れて

2013年01月19日 15時55分45秒 | 秩父鉄道

(只今改札中@御花畑駅)

影森の三輪線界隈で充分に満足してしまったのだが、せっかくフリーきっぷを買っている事だし、こっからは秩父鉄道に乗りながら撮り歩いてみる事に致しましょう。西武線との乗り換え駅である御花畑の駅、いつの間にか改札係が若いお姉ちゃんに変わっていた。鉄道ってのはオトコの職場、特に地方のローカル鉄道に行くと若い男性社員ですら少なく基本は年配者ばっかりなんですけど、秩父には最近運転士も含め女性が働く機会が増えているみたいです。リアル鉄道むすめが「次は長瀞・熊谷・羽生方面普通列車改札で~す」なんて待合室に声をかけて回る姿、鉄道に萌えの要素はあんまり要らないと思うけど、まあ無愛想なクソオヤジに邪険にされるよりはいいって事ですかね(笑)。


さて、ちょっと前までは国鉄101系のお下がりを主力としていた秩父鉄道にも、最近は東急の魔の手(笑)が伸びて参りました。12編成もあった1000系(国鉄101)もさすがに50年選手となって、相当ガタが来ているらしく順次廃車が進行して現在はその勢力を3編成まで減らしてしまいました。その代替車として導入されたのが大井町線から放出された東急8090系。先日見た長津田の工場で3連に改造され、現在7編成が秩父時を走っております。ライムグリーンのグラデーションを身に纏ったその姿、特に愛称はないんですがアタシはパッと見で三井住友銀行色だなと(笑)。


大野原駅を通過するデキ503の返空列車。秩父盆地の中を走るこの辺りには編成を抜けるような直線がなかなかないので、駅撮りが無難でしょうか。貨物同士が交換出来るよう、貨物が走る武川~影森までは大抵の駅が有効長の長い交換設備と貨物用の副本線を持っているのが秩父鉄道の特徴でもあります。


長瀞で三ヶ尻行き鉱石列車を追い越し、樋口駅で普通列車と交換。
こちらでは7500系を名乗っておりますが、やっぱり東急8090系と言った方が馴染みがいいね。

 

前回来た時に雰囲気が良かった記憶がある波久礼駅で下車。寄居までは荒川に沿ってくねくねと走る秩父鉄道、ここでは川の流れに沿って線路が南面するので、いい光線で撮れるかなって感じがしましたのでね。長瀞の駅で追い越した鉱石列車をここで迎え撃とうと言う訳です。相変わらず駅舎内の雰囲気は昭和レトロ、とりあえず「エナーゼ」って何なんや。


駅に到着して5分と経たず、副本線に入線して来たデキ108牽引の積載鉱石列車を冬の青空とともに。
このデキ108は岩手県の松尾鉱山鉄道で硫黄鉱石の輸送に従事していた歴戦のデキなんですが、松尾鉱山ってーのも廃墟の鉱山都市としてマニアには有名な所ですわな。日本の鉱山系廃墟と言えば長崎の軍艦島みたいな石炭系が有名ですが、硫黄鉱山系も結構多いよね。昭和40年代に石油精製の副産物として硫黄が取れるようになって、硫黄を掘る意味ってなくなっちゃいましたからねえ。産業遺産マニアとしては、手近なところで万座峠(群馬)の近くの小串鉱山とか吾妻鉱山とか一回見てみたいもんです。


どうやらこの駅で交換待ちなので、正面に回ってもう1枚。
このデキ108、雪国岩手の出身らしく前面窓のヒサシが深いですね。影森で見た両機はのっぺり気味の顔をしていたので、表情としてはこのスタイルの方が好みかな。秩父の鉱石列車は足の速い電車のダイヤの間を縫って道を譲りながら走っているので、交換待ちや運転停車に当たればこのようにゆっくりと撮る事が出来ます。


駅に戻ってホームで秩父方面の電車を待っていると、今度は返空列車が。
朝の影森でオラッちを背後から急襲したデキ502(笑)が、三ヶ尻のセメント工場で荷物を降ろして戻って来たようで。ダイヤ的にはこの波久礼駅で普通電車の交換があるので、これは副本線での運転停車ですね。波久礼駅ホームの昔懐かしいような木造の上屋と絡めて一枚。


秩父山地の出口に開けた寄居の街。関東平野はここで終わり、波久礼の辺りからは秩父盆地へ向かって長瀞の渓谷に続く山懐に入って行きます。デキも冬の日差しを浴びながら進路開通までの小休止って感じですかね。隣を走る国道の車の音をも忘れる、緩やかな時の波久礼の昼下がり。


波久礼で貨物から先行する普通列車に乗って上長瀞へ。
秩父鉄道の大定番撮影地、上長瀞~親鼻間の荒川橋梁にやって来ましたよ。
夏はBBQや川遊びに興じるファミリーでごった返すこの河原も、冬の平日は人っ子ひとりいやしない。
しかも河原に降りるけもの道が雪で埋まってて往生しましたわ…降りて来るだけで靴グッチョグチョ(笑)。


ここで狙うは今や希少種となった国鉄101系スカイブルー編成。
さっき山に向かってったのを見たので、ダイヤから折り返しをここで撮ろうと思ってたんよね。
レンガ積みの大鉄橋の上を、滑るように進むスカイブルー。薄雲たなびく青空に映えますな。


波久礼で置き去りにした貨物が追いかけて来る筈なので、今度は逆光側で待つ事に。天気が良すぎて光線状態がキツく、絞りとシャッタースピードの選定に悩むが、とりあえず列車は黒潰れでもいいやって事でアホみたいに絞ってみる。岩畳に残る雪のハレーションと、冬らしい鋭い日差しのフレアの取り合わせでどうでしょう。


貨物は構図から太陽を外し、絞りを少し開いてみる。
う~ん、デキの2丁パンタと、盃のようなヲキの形をシルエットにしてみたかったんだけど、ちょっと開けすぎちゃったかな。

三脚を畳んで、荒川の鉄橋を後に。
帰りは帰りでまた靴ビチャビチャだよ…
次回へ続く。
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