青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

北前船の街歩き

2020年10月01日 22時00分00秒 | 富山地方鉄道

(潮の香りの街並みを@岩瀬浜市街)

東岩瀬の駅を降りて、旧北国街道沿いに残る、岩瀬浜の街並みを歩く。基本的にはデンシャの写真ばかり撮影している当ブログですが、折角旅をしているのなら、その土地ならではの雰囲気と言うか空気感みたいなものに触れたくなるもの。古くは北前船の寄港地として物資の往来で栄えた岩瀬浜の港、朝早い時間の路地に人影はなく、静かな古い商家の板塀が続きます。

タイやヒラメの舞い踊り。コミカルな魚たちが躍る楽し気な釣具店の看板。店の名前の金属のエッチングと、ちゃんと竹竿で作られたた釣り竿の丁寧さ。今でも現役の釣具店なのだろうか、「生えさ」の自動販売機が朝まづめを狙う釣り人を誘っています。そういや、一時期釣りでもやってみようなんて思って一通り道具も揃えたんだけど、物置の中でずーっと眠りっぱなしだったのを思い出した(笑)。

こういった「レトロな街並み」というものは、それこそ福島の大内宿じゃないけどある意味観光地化するために整備されたような場所もありますので、あんまりピカピカにレトロでもかえって興ざめするのだけど、岩瀬の街並みはそこまで観光地然としていないところが良い。普通に銀行や信金、新聞店などに混じって続く古くからの家並みの中に、「満壽泉」の看板を出す蔵を見付けた。立山や黒部の伏流水に恵まれた酒どころ富山の地酒と言えば「銀盤」やら「銀嶺立山」なんかが有名ですが、ここ岩瀬に蔵がある「満壽泉」もそれに並んで有名ですよね。日本酒はそんなに飲まない自分でも知ってるくらいだもの。土産に四合瓶でも買って行こうかな、と思ったのだけど、残念ながら朝早すぎてやってなかった。

岩瀬の街並みを抜け、秋風吹く富山湾に繋がる富岩運河を徒歩で渡る。朝方はモヤモヤとしていた富山の天気も、太陽が昇るにつれて空気が乾いて来た。うっすらと富山湾の向こうに見えるのは能登半島か。文字通り「夏から秋への能登半島」だ。石川さゆりだ。どうしても日本海側になると演歌的な世界を想像してしまうが、富山湾の波は穏やかに青くのんびりとしていた。そう言えば、二年前も朝の富山新港を渡し船で往復したっけねえ。あの日の空も、文句のない秋晴れだったのを覚えている。

東岩瀬から30分弱、朝の富山湾の空気を吸いながらの散歩道。富山港線の終着駅・岩瀬浜駅へ徒歩で到着。ちょうど富山駅前方面行きに接続するフィーダーバスが駅に到着していました。ライトレール導入の際には、鉄道と周辺の地域を結ぶバス路線の整備も同時に行われ、ここ岩瀬浜から海沿いに西へ、交通空白域だった岩瀬~水橋地区の海岸線をカバーするバスが走っています。出来れば、水橋の漁港から先の水橋駅(あいの風とやま鉄道)まで繋げてくれれば、そのままバスに乗って滑川方面へ抜けちゃおうかと思ったんだけどね。

LRTを軸に、バスと鉄道を有機的に結合させた市内交通の構築。そう思うと、昭和50年代に廃止された射水線(新富山~新港東口)なんかも、残っていたらLRT化してもっと活性化できたのでは・・・なんて妄想もしてしまうのですけど。さすがに難しかったですかね。


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