青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ごくろうはん、おけいはん

2020年10月04日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(富山に移って30年@10030形)

非冷房で種々雑多に存在していた旧型車の一掃を図るため、京阪からまとまって導入された譲渡車が10030形。2両×8編成が導入され、現在でも地鉄最大の勢力を誇ります。そのうちの1編成は追加で京阪からダブルデッカー車両を譲り受け、京阪当時の特急色に塗られてダブルデッカーライナーとして活躍しているのはご存じの通りですが、普段使いのカボチャ電車はどうなっているかってーと・・・フロントガラス回りの塗装のひび割れに、カボチャのお肌の曲がり角を見る。

そもそも京阪で20年走って、旧型車の一掃を図る・・・と言う目的で富山に来てから地鉄で早くも30年の年月を数えるこの車両。我々の世代で「京阪電車」と言えばテレビカーの愛称で親しまれたこの3000系の事を思い出すレジェンド的な車両ですが、さすがに車内は経年劣化の傷みがかなり目立ちます。関西の車両らしい転換クロスもギッコンバッタンしているし、そもそも椅子の脇のカバーが外れて中の配線が丸見えやんけ・・・

ちなみに正調の雷鳥色に身を包んだ14760形をご神体として崇める原理主義的な私にとって、地鉄においてこの「京阪カボチャ」という10030形の存在は邪魔でしかなく、乗るのも撮るのも今までは「来たらハズレ」の扱いを下して断罪していた車両でした(京阪時代のファンの方には実に申し訳ない事なのですが)。それでも、後進の17480形の導入によって世代交代が進み、1編成が稲荷町でボロボロの体で休車になっている姿などを見ると、30年間富山の地域輸送を支えてきた彼らにもそろそろ引退の二文字がちらつき始めているような気がして、少しづつ愛おしさが芽生え始めているのも事実です。あれだけ「なんだよカボチャかよ!」なんて言いながらハズレ扱いをしていたくせに、現金と言えば現金なものである。

寺田の駅を出る10030形の電鉄黒部行き。8編成が現存し、1編成が休車に入ったとしても、まだまだ地鉄の主力車両であることには変わりありません。置き換えるにしても、そこそこまとまった数の2ドアクロスシートの2両編成を導入できるメドがあるのかどうか?それこそ日比谷線直通の20000系を改造した20400型の導入によって運用数を減らしている東武6050系とかなのかなあ・・・今まで東武の車両の移籍事例って近隣の私鉄を除けばほとんどないんだけど、そんなんなったらまた富山行く理由が増えるやん!と脳内妄想をしてニヤニヤしてしまうのでありました(まあ6050だとあんまり若返りにならんか)。

地方私鉄が大手私鉄のセコハン車両で埋め尽くされる中、大手私鉄時代のファンが譲渡先についてきて、そこのファンになる事も最近では珍しくないこと。ファンのすそ野が狭い分、密な楽しみ方が出来るのが地方鉄道の良さなので、上手にこの層を取り込めると、継続的にその鉄道会社にお金を落としてくれるリピーターになってくれたりするんですよね。今年の2月に訪れた高松の「ことでん」でも、京急の車両を当時の赤い色に塗り戻すプロジェクトが全国の鉄道ファンを巻き込んで一大ムーブメントを巻き起こしたのは記憶に新しいところですが、地鉄の京阪3000系も、野暮ったいカボチャ塗りにするくらいだったら、新たな展開として雷鳥色に塗り替えてみたり、京阪普通色の黄緑&緑を見てみたいなあとも思ったり(笑)。私は関西の人間じゃないから、京阪当時の活躍に思い入れがある訳じゃないんで勝手な事が言えるのかもしれないけど・・・案外似合うんじゃないかな??


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