青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

東頸の春

2010年05月19日 22時38分04秒 | 日常

(美し棚田の春@旧松代町)

え~っと、GWに粟島に出掛けてからはこれと言ってトピックスのない私(笑)。
次のトピックはいつくらいになるんでしょうかねえ~。
ここで話す事もなくなるんじゃないかってなくらいのもんですが…
十日町市から旧松代・松之山を経て上越市に横たわる東頸城丘陵の春。
緩やかに幾重にも続く褶曲地形に、棚田がこれまた延々と続く。

関東甲信越で一番素敵な春を迎えるのはこの辺りでしょうね。
天まで届くような棚田と、ブナに包まれた雑木林。
雪融けの湧水を自然に集めた一枚の棚田と、残雪の沢。
水鏡に青空を映して。

こんな風景ですが、狙って撮ったものでも何でもないんですよね。
全てがれっきとした国道353号線の沿線風景ですから。
東頸城の丘の上、ブナの若葉のライムグリーンがひときわ鮮やか。

東京から一泊二日、ほっとする風景を見て癒されたいと思うなら、
今の時期はこの辺りを強くお勧めしますねえ。
それほどに美しい、東頸の春です。

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夕陽の見える丘から

2010年05月16日 22時02分22秒 | 日常

(画像:米山夕照)

飯山線を撮った後、新緑の松之山を抜けて日本海へやって来た。
日本海に沈む夕陽を見るのが目的だった訳だが、何だかんだと朝陽夕陽マニアですねえ>自分
米山海岸の聖ヶ鼻と言う岬に立って、沈み行く太陽を拝む。
ま、簡単にそれなりのきれいな風景を写真に収めたいと思ったら、朝陽夕陽が一番手っ取り早いのも事実w
日中と違って低い位置からの光線は、陰影を際立たせて物を浮かび上がらせてくれるから。

ここ聖ヶ鼻は、直下に北陸本線を俯瞰する事も出来る、いわゆる「撮り鉄」の定番撮影地でもある(笑)。
夕日マニアで撮り鉄であれば、実に一粒で二度美味しい場所なのですね。
夕日が沈むまでの二時間くらいを、崖の上に三脚を立てて撮ってみる。
三脚を立てて一本目、いきなり懐かしの国鉄特急色で「特急北越」が通過。

さすがにGWの有名撮影スポット、夕陽の時間を前に続々と同好の士が集まって来る。
中には親子で一眼レフなんか持って熱心に撮影に勤しんでいる家族もいたり…
この趣味の世界の敷居も相当低くなってるんだなあと。
JR東日本新潟支社のジョイフルトレイン「NODOKA」で運行された「快速妙高ミズバショウ号」。

ゆっくりと太陽は水平線に近付き、周囲が赤に染まって行く。
春らしい霞に赤い光が分散されて、朱のビロードの帯をまとった米山の海。
凪の海はある意味日本海らしくなく、穏やかに浜辺に寄せては帰って行く。
撮る方にしても波っ気があった方が海に表情が付いていいのかな、と思ったりもするが…
こちらは上越市と新潟市内を結ぶお得なランナー「快速くびき野」。

 

さて、撮り始めてからかれこれ二時間。
三脚を立ててカメラを据え、車に積んだ簡易デッキチェアに座って動きもせず。
たまにお茶を飲みながら、ずーっとこんな感じで日本海沿いを行き交う列車をずーっと撮っている私(笑)。
人からしたら、絶対に付き合い切れないでしょうねw
ただ、刻々と変わる光線状態に応じ、微妙に感度だとか絞りだとかシャッタースピードだとかを変えて撮ってはいるんです。
んで、そこらへんのサジ加減みたいなものも面白かったりするんですよね。
GWはお休みかと思ったら、貨物列車が一本大阪方へ。
やっぱり日本海縦貫線には長い編成が似合います。

思えば、小さい頃にオヤジに連れて行かれた定番の散歩コースは、小田急線の見える丘の上だった。
足元を右に左に走る電車を、飽きずに見続けたものだ。
次は何が来るかな、何が来るかなと、楽しくてしょうがなかったんだろうな。
夕陽が夕焼けに変わる頃あい、ひときわテツな方々が増えて来た。
遥かかなたに、機関車のヘッドライトが二つ。
この場所この時間の真打、大阪発札幌行きの寝台特急「トワイライトエクスプレス」がやって来た。

大阪から札幌を約23時間、走行距離と走行時間は日本一の長距離寝台特急。
黄昏の名を持つ特急列車は、深緑の色を鈍く残照に輝かせ黄昏の米山海岸を走り抜ける。
時刻はここで18時半、太陽は長くなったとは言えそろそろ限界なのですけどね。
明るいレンズに取り替えて、なんとか写し止められた…かな?

周囲の同好の方々も、この列車の通過を以って三脚を畳む人が多かったね。
堂々10両の豪華客車を連ね、専用色の機関車に牽かれた姿は風格十分。
まさに日本海縦貫線のスター、大トリに相応しい列車でした。

と、すっかり満足して自分も三脚を畳むのでありますが…
なんかアレだね、ある人に「最近電車の写真ばっかだね」って言われたw
まあ否定はしないが、個人的には、一応風景写真のつもりで見ていただければありがたいかな~と。
いい風景の中に、そっと列車が入っているような絵が理想です(笑)。

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原風景を紡ぐ

2010年05月15日 18時03分37秒 | 日常

(画像:河岸段丘を行く@越後鹿渡~津南間)

GWの初日、粟島行への前日の話ですが、北信地方を走る飯山線を撮って来ました。
長野の先の豊野から越後川口まで、延々と千曲川→信濃川に沿って走るローカル線です。
車両はキハ110系と言われる新造気動車なんで、趣味人の被写体としてはイマイチ人気はないようですが、
それを補って余りある沿線の風景がとにかくいいんですよねえ。

(残雪を背負いて@足滝~森宮野原間)

朝から澄んだ青空に恵まれた皐月の頃。雪を残す山は蒼く見える。
奥志賀の山々を背に、千曲川を横にして、ゆったりと里を走る飯山線。

(北信の集落を縫って@信濃白鳥~西大滝間)

GWの桜と言えば弘前辺りの話だと思うのだが、この時期で北信はようやく桜が満開。
今年は本当に四月の天候が不順だったんだなあ、と思うと同時に得した気分。
元は茅葺きの家にトタンを張った家屋が目立つ西大滝の集落も、桜に彩られて華やかな雰囲気に。
淡い色のキハが一両、カラフルな屋根の中を縫うように走って行きました。

(雪解けを渡る@西大滝~桑名川間)

里の色はまだ冬の雰囲気を残す枯野ながら、雪解け水に春の気配。
野々海川の清冽な流れの上を渡って、列車は長野を目指します。

(花咲く小路@津南~越後鹿渡間)

津南の町外れ、大きな桜に目が止まり。
昼の高い日差しに青い空、うららかな日の光を浴びながら列車を待つ。
消雪パイプの赤サビの目立つ道は、この街が豪雪地帯である証。
遮断機のない踏切の前で、手持ちで構えて構図に悩む。
まあ、こんな悩みならどうってことないよね。

(遅過ぎた春@越後田中~越後鹿渡間)

信濃川と清津川の合流地点で、飯山線は一回だけ信濃川を渡る。
川のほとりの発電所に咲く桜が、風に揺れていました。

(芽吹く頃@越後鹿渡~越後田中間)

清津川の河原に、ブナ林が一斉の芽吹き。
黄緑色の絵の具をぶちまけたような色と、清津川の清流がいいコントラストです。

元々この地域の風景が好きで何度も行ってはいるんだけれども、
北信の春ってのは特にいいものですね。
新緑に彩られた山、棚田、里の桜の中を走る飯山線は、日本の原風景を紡ぐ旅です。

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星は夜空に輝いて

2010年05月12日 21時56分44秒 | 日常

(画像:交流戦開幕)

そもそもこのブログのカテゴリに「野球」ってあるの忘れてた(笑)。
いや、急に今日のハマスタのシーズンシートの券とか貰っちゃいましてね。
ちょいと会社も早く引けたもんだから行ってしまいましたよ。

シーズンシートでも色々あるんだろうが、当てがわれた席は一塁側ベイのダッグアウト上最前列と無駄にいい席で、多少肌寒いくらいが爽やかな皐月の夜空の下で久々に球音を聞く。ツマミは崎陽軒のシウマイにビール一杯、一人で野球見るのも久しぶりだわな。つか相変わらずハマスタは売り子が生ビール売らないのね。なんか決まりでもあるんだろうか。

試合に関してはスポーツニュースとかヤフーのサイトでも見てよ、って感じですが、非常にガチガチな投手戦でしたね。近くで見てた限りで言わせて貰うと、投手戦になったのもやったら広い主審山路(パ)のストライクゾーン。見逃し三振がとにかく多かったのう。概してセ・リーグのほうがゾーン広いってのが定説としてあるのだが、恐らく山路は交流戦を意識し過ぎてゾーンを広げたはいいが加減が分からずに収拾が付かなくなったものと思われる(笑)。いいのかそんなんで。

雑感は色々あるのだが、私が座ったシーズンシートの周辺は「儂ゃ大洋時代からシーズンシート買って見とる」と言わんばかりのベテラン常連オヤジ組、焼酎をホットで飲りつつ厳しい声援を送っていたのだが、黙って聞いてりゃみんなかなり辛口。特ににベイの四番の人は明日にでも福岡にFAしかねないくらいの辛口(笑)。ま~成績見るとさもありなん…と言う感じですが。それと金城に代打森笠と言う尾花采配にもかなり辛口でございましたwオヤジにはまだアナライジング・ベースボールは高度過ぎたか(笑)。いや、自分もそりゃなかろうとは思ったけどさ。腐っても金城、相手には名前と警戒感が違うと思うのですが。

逆にオヤジ軍団の声援を一身に受けていたのがキャッチャーの武山。みんなかな~り肩入れしてまして、武山ユニを着てるオヤジなんか武山が打席に立つたびにいかりや長介しか持たなそうな黄色無地のメガホン(笑)で頑張れ頑張れと大声援を送るのである。話を聞けば、この人達は追浜あたりからずーっと武山の成長を見守って、追い掛けて、そして花咲く時を楽しみにしていたように思われるんだが、素直にいいなぁ~って思いましたね。武山も、こんな大声援を大事にしなきゃいかんよね。

周囲のあまりの大声援に思わずこちらも武山に注目。
なんだか現役時代の梨田正孝に波留のテイストを加えたような独特の打撃フォームだよな。
ボテボテ当たりに全力疾走、内野安打に大歓声。
オヤジのハートと正妻の座をがっちり射止めて欲しいものです。
…そう言えば今年のベイには我がマリーンズから橋本将さんと言うキャッチャーが行ったような気が…
既に捜索願ですか(笑)。

一塁コーチに井上純、代走の早川に大歓声、そしてマウンドには相変わらず援護を貰えずに力投続ける清水直行。
ライトの守備固めに付く南にもささやかにライトスタンドから声援が。
東京ベイの東と西に、お久しぶりの選手たちは、変わっているようで変わんないねえ。

そんな試合の最後のバッターになってしまった武山に、
「下を向くな!」
とオヤジの厳しい声援が飛んだ。
その通り、星は夜空に輝くものなのだから。

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Our Island 春の新潟・粟島探訪その④

2010年05月09日 21時38分42秒 | 日常

(画像:島の機動力)

粟島に来て気付いたのは、地元民(特にばあちゃん)の三輪自転車率の高さである。
元々島民以外は車を持ち込めない島ではある。島には一応車は走っていたけれど、ガソリンスタンドは見かけなかったんでねえ。給油とかどうしてるんだろ。まあたぶん役場が本土から一括購入して「給油の日」みたいなものを設定してみんなに配ったりしてるんだろうが。
そんな化石燃料の乏しい島で、三輪自転車はエコな乗り物として活躍している。朝もはよから島のばあちゃん連中は、決して三輪車に乗ったりはせず、ハンドルの部分を手で押しながらえっちらえっちらと港へ行き、フネから上がった海の幸を後ろのバスケットに入れてはめいめい家へ帰って行く。自転車として使うのではなく、簡易リヤカーとしての色彩が強い。
その三輪車、どれも潮風でサビサビになった年季モノで、おしなべてハンドルが左側にかしいでいる。それが長い事腰の曲がったばあちゃんが左側から引っ張ったせいなのか、粟島へ輸出される三輪車はそーゆー仕様になっているのかは結局分からなかった(笑)。

宿で朝食を済ませてから、昨日は足で回った粟島を今日はフネで回ってみようと言う事で観光船乗り場に。島内一周1時間ちょい、西海岸の釜谷の集落を経由して1,200円で回ってくれる。船着き場でキップの販売をしていたオヤジ、どっかで見たなと思いきや、昨日温泉で山小屋氏をとっ捕まえてハイテンションで喋り倒して来たファンキーなジジイだったw
つか、キップ売ってるだけかと思ったらジジイそのまま運転室に乗り込んじまったよ!
昨日はビール5本飲んじゃってたいそうゴキゲンだったようだが、運転大丈夫か?w

 

9:00きっかりに内浦港を出航した船は、青空の中を海原に向けて滑り出した。我々も船尾の観覧席でのんびり風景でも…なんて思っていたのだが、ファンキージジイはレバーを落とさず全速で海の上を豪快にバウンドしながら疾走を開始(笑)。波しぶきかかりまくり。ってか手すりにしがみついてないと下手すりゃ落っことされちまうよ!だいたい観光船ってもっとのんびり回るもんじゃねえのかよwそう言えばこの観光船「シーバード」って書いてあったが「シーシェパード」の間違いじゃねえのか?ちょうど酸っぱいものの入ったペットボトル(アクエリアスネオ)なら持ってるんだがw

  

海のオトコにしてみれば、こんな凪の海「かっ飛ばさないとアクビが出ちまうわ」って事なのかもしれないが、海のもくずにされないように気を付けながら眺めを楽しむ(笑)。サイクリングコースからは分からなかった西海岸の風景、八幡鼻を回り、節理の海岸を縫って立島を回る。岩石の形から分かるように、基本的にはこの島は地層が時計回りに10度ほど傾いているのですね。昭和39年にこの島の沖合で起きた地震が新潟地震。横倒しになったアパートの写真が印象的です。

  

ハギーさんが足を向けて寝れない仏崎、岬の左側にある展望台でみんなでワンセグで見た天皇賞を私は忘れないでしょう(笑)。爆走する観光船は、あっという間に鳥崎を回り、旗崎を回って内浦港へ帰って来た。一応きっちり1時間ちょっとかかってるんだが、体感としては速かったなあw

時刻はお昼前、今日も漁船のパレードに迎えられて「フェリーあわしま」が内浦港に接岸。
昨日よりさらに多くの客を乗せたフェリー、今日の島びらきでは大鯛のプレゼント。今朝上がった鯛なんだろうねえ。
我々は午後一番の高速船で島を離れる予定にしましたんで、それまでに昼飯を…って事で抽選会の人々がなだれ込んでくる前に改めてわっぱ煮をいただくのでありました。今日の魚はカワハギ。昨日のわっぱ煮と比べてさっぱり味でこれはこれで美味かった。お土産に島びらき祭の一角で売られていたトロ箱一杯の魚を買ったんだが、ハタハタにカワハギにホウボウにノドグロ、それにヒラメとタイがぎっしり入って2,000円だった(笑)。儲ける気ないのか、そもそも価格的にそんなもんなのか。いずれにしろ我が家だけでは食い切れないんで、親族呼んで煮たり焼いたりして食ったのだが、大好評でしたw

わっぱ煮を食ったら出船までする事はなく、港のフェリー待合室でひっくり返って惰眠をむさぼるwみんな今日も朝早かったしね。写真は帰りの高速船「あすか」。フェリー1時間半のところ高速船は50分ですが、値段は倍もします。が、ここは御大尽が気前よくフネ代を出してくれました(笑)。
ウマのカネ、フネに化けたり内浦港。

と言う訳で、一泊二日の粟島紀行も終わりを迎えるのでありますが…
まず、島びらきのイベントに重なったのが良かったかな。
島人が全開でもてなしてくれたのが分かったし、わっぱ煮もうまかったし、結構楽しめましたよ。
あ、思ったよりは発展していたと言うか、島らしい不便さとかかったるさみたいなものは感じませんでしたね。普通に携帯入るし(笑)。天気が良かったせいもあるけど、山笑うを通り越して島笑うと言う感じの若葉の輝きと、その輝きに彩りを添える山桜のほころびが印象的な島でしたねえ。

高速船が汽笛一声港を離れ、島の人々は手を振って別れを惜しむ。
たかだか一泊二日でも、島と言うのは立ち去る時に一抹の感慨みたいなものはあるね。
それは船の別れになるからなのでしょうか。
セツ子は見送りに来てくれなかったのがちょっと寂しかったけど(笑)。

新潟の小さな離島は、何となく里心付くような優しい島。
みんなの心のOur Island、粟島の旅でした。

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