(片貝日和@電鉄石田~経田間)
立山線沿線の撮影を終えた後は、コンビニで買ったパンを齧りながら魚津の金太郎温泉へ移動し入浴休憩。何だかルーティーン化している行動だが、ここの青森のさんない温泉(分かる人には分かる)みたいな塩っ辛く硫黄が濃い熱めの湯はいい。体にガツンと来てヘロヘロになる。富山って山がちの割には案外と温泉が少ないと思うのだけど、ここはまごうかたなき北陸の名湯。だだっ広い露天風呂に浸かり、デッキチェアでウトウトと仮眠して体力を回復。クルマを片貝川の鉄橋に向けると、午前中に空を覆っていた雲はすっかり抜けて、実に素晴らしい片貝日和なのでありました。
いつもは鉄橋のたもとから正面寄りに無難な編成撮りをしてしまいがちなのですが、ここまで山並みが見えてたらサイドから張るしかないっしょ、ということで並行する県道の落合橋に陣取る。右手に扇のように広がっているのが毛勝三山。この片貝川は、毛勝山に源を発する山でもあります。黒部方面から片貝川の鉄橋を渡って行くかぼちゃ京阪10030形。このアングルは、映画「RAILWAYS」のポスターになってたのではないかな。電鉄富山の駅に貼ってあったのを何回か見たような。
絶好の片貝日和。ここはぜひ正統雷鳥カラーの14760形でこのシーンを押さえておきたく、本命が現れるまで待つ事にする。温泉で一休みしてしまったんで運用は掴めず、二本目の下りは・・・と期待して待っていたら、東急17480だった。うがあ。さすがに地鉄の最新鋭車両、4編成も入っていると、来て欲しいところで「ああ、東急!(涙)」みたいなシチュエーションも多くなる。これが「ああ、東急!(愛)」みたいな気持ちになるには、まだ若干の時間が必要なようです。
三本目。二度あることは三度あるではなく、三度目の正直で本命登場。尊い。お京阪のかぼちゃ様も東急様も宜しいが、やはり富山の風土と風景に一番似合うのはこの色とこの車両である。右手の毛勝三山から左手の北アルプスの山並みに至るまでが、青空のキャンバスにくっきりとその姿を描いている。清らかに早春の雪解け水流るる片貝川。土手の松並木と合わせて一枚の絵のような構図の中を、モーターを唸らせて14760形が走って行く。
初めて富山に来た時は、富山平野から見える山って立山連峰のどっかなんでしょ?くらいの雑な認識だったのだけど、回を重ねるごとに徐々に山の名前が分かるようになって来た。毛勝三山も、片貝川も、富山に来るまで知らなかった風景だ。鉄道を通じて地域を知り、風土を味わい、歴史を紐解き、文化を語ること。小さなことだけど、それこそが地方私鉄に通う意義なんじゃないかなって思うんよね。