青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

米騒動の夏。

2024年08月06日 22時00分00秒 | 富山地方鉄道

(旅立ちの朝に@上滝線・月岡駅)

だいたい地鉄に来るときは、上滝線沿線~岩峅寺駅の辺りでファーストショットを撮影することが多い。今回の富山行、家を出たのが午前2:30だったんだけど、そっから中央道に乗って松本5:00-新島々5:15-平湯6:00-神岡6:30-猪谷7:00-月岡7:30という行程。どうにも眠かったので自宅で2時間ちょっと仮眠してから出たのだが、それがかえって良かったのか途中一度も休憩することなくノンストップで月岡まで走り切ってしまった。休憩しないと自宅から月岡まで5時間で来れるんだな・・・という新鮮な気付き。松本~平湯が既に上高地に向かうハイカーのクルマで混雑していたので、松本を出るのがあと2時間くらい早ければもう少し流れたと思う。まあ、よい子は無理せず休憩しながら運転してきて欲しいと思いますが(笑)。富山らしい散居の風景の中にある月岡の駅、岩峅寺行きの下り電車へ乗るお客さん一人。小さなスポーツバッグを小脇に抱え、どこへ旅立つのか、それとも近所への用足しか。いずれにしろ絵になるのが、月岡という場所の魅力である。

大暑の候の、月岡の朝。月岡駅周辺の圃場はいつもきれいで美しく、富山らしい景観が広がっていて好ましい。こういった農環境の保全も、農家の方の日々の管理の賜物なのだと思われる。この日も、朝早くからあちこちの田んぼに農家の方が出ていて、草刈りをしたり田んぼの水の世話などをしていた。近年の夏の高温障害による収量減は尋常ならざるものがあって、最近はスーパーに行っても在庫不足でお米の棚はスカスカ。2kgや5kgの袋が僅かに残るお米コーナーを背に、我が家もコメを探して二つ三つのスーパーをはしごするという、完全なコメ不足の夏である。昔のコメって、どっちかというと東北地方の「やませ」の対策や、北海道を中心にした「冷害に強い」品種の開発に力を入れていたように思うのだが、最近は「暑さに強い」品種の開発が急務なのだとか。

この日もやはり、朝から油照りというにふさわしい強い陽射しが容赦なく肌を刺す一日だった。
暑さに苦しめられながらも、秋の豊かな実りを目指して、農家の方々の奮闘が続く。
ご自愛召されますよう。

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盛夏に描く、天空の大アーチ。

2024年08月04日 22時00分00秒 | 富山地方鉄道

(冷たい流れに素足を浸して@富山地方鉄道立山線・千垣橋梁)

6月に津軽で1泊2日の鉄活動をしてから、特に燃え尽き・・・みたいなことでもないんですが、7月にかけて全くカメラを持って線路端に立つことはありませんでした。しかも7月の週末のうち2週は都市対抗野球で東京ドームに通い詰めてしまうという変わった風の吹き回し。いや、都市対抗は来年も見に行きたいなってくらい面白かったからその決断に別に後悔はないんですけど、年末のカレンダー企画を続けるために「毎月一枚くらい、カレンダーにしてもいいような季節モノの写真を撮る!」というものを一応の年間テーマにしておるのですよね。だから何なんだ、という話なんですけど。ようはあんまり「暑いから外出たくない」なんてグダグダと文句を言ってるうちに、季節ばかりどんどん過ぎて行ってしまうという焦りもあり、一念発起して久し振りに富山に行ってきました。2023年の6月に行ったっきりだから、かれこれ1年2か月ぶりのことになる。特に理由はないんだけど、色々とタイミングを失ったままになっていたのですよ。でもまあ富山も暑かったよねえ。日中は平野部で普通に35℃を超えていたので・・・ということで、立山線の撮影名所である千垣の鉄橋を、常願寺川の中に入って撮影するという真夏の撮り鉄ライフハック。深いV字の谷の底から見上げる優美なアーチ橋。

立山線の千垣の鉄橋、並行して常願寺川に架かる県道の芳見橋から撮影するのが定番のスタイルではあるのだが、この橋を下から(常願寺川の川面から)撮影したカットがあることは知っていた。県道の橋から見るとこの辺りの常願寺川の谷は深く切れ込んでいて、斜面を伝って降りるなんてことは到底出来そうにない。「おそらくここだろう」という少し離れた位置からアプローチの見当を付け、長靴に履き替えて川沿いを降りて行く。アプローチ自体の斜度はそうないが、一部擁壁を伝って降りて行くなどのアトラクションはあったりする。そして、この時期の川沿いの植生は灌木や下草が伸び放題に伸びて行く手を阻み、いわゆる「藪漕ぎ」をカマして進む羽目になってしまった。何とか藪を抜けて河原に降り、千垣の橋梁を川面から仰ぎ見るアングルに三脚を突き立てる。藪漕ぎでぬかるみに足を取られて汚れてしまった長靴と靴下を脱いで裸足になり、足元を立山連峰の清らかな冷たい水に浸しながら列車の到着を待つ。夏だからこそ楽しめる入水撮影、この時期の撮り鉄の醍醐味である。

足元の流れに、持ってきたペットボトルの麦茶を放り込む。欲を言えばビールが良かったが、クルマの旅ではそうも行かぬ。手足をジャブジャブと水につけ、暑くなってくれば川の水で顔を洗い、タオルを川の水に浸して首に巻けばだいぶ違う。炎天下だと、三脚に据えているカメラも焼けて熱を持ってしまうから、列車が通過する時間までは濡らした手ぬぐいを固く絞って巻き付けてたよね。頃よく川の水で冷えた麦茶をガブガブと飲み干して、時計とダイヤを都度確かめて列車の接近を待つ。沢音が大きすぎて、列車が接近する音などはほとんど聞こえてこないのだが、千垣と有峰口の停車時間からスタンバイしておけばいいから気は楽だ。

常願寺川の川面から見上げる千垣の鉄橋は、鉄骨で編まれた優美な天空の大アーチ。
千垣方から14760形が舞台へ現れて、止まりそうなほどゆっくりと、慎重に橋を渡って行く。主役の登場に、我を忘れてシャッターの回数が弾んでしまう。
雷鳥カラーの電車は、窓を開ければ届きそうな夏雲を追い掛けて、橋の向こうへ消えて行きました。

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また夏に、ここで会おう。

2024年08月02日 06時00分00秒 | 日常

(また夏にここで@第95回都市対抗野球大会)

12日間に亘って夏の東京ドームで開催された第95回都市対抗野球は、30日に決勝戦が行われて、横浜市の三菱重工Eastが3-1で仙台市のJR東日本東北を破って初優勝。見事に黒獅子旗を獲得したのでありました。火曜日のナイターという日程だったんだけど、毎日新聞のネットでのLIVE中継から見る大入り満員に近いスタンドの様子に、都市対抗の人気を改めて思い知った次第。ひょんなことからチケットをいただいた都市対抗ですが、結局3日間で5試合も観戦する結果となり、端的に言って「面白かった!」というのが感想に尽きる。グラウンドで繰り広げられるプレイとスタンドで繰り広げられる激しい応援合戦。お国を背負って会社を背負って・・・ということもあるけど、どのチームも工夫を凝らした独創的なパフォーマンスでスタンドを盛り上げる。折しもパリではオリンピックが行われていたのであるが、そんな中で東京ドームに通い詰めた同士たちの姿を見るに、世界を相手に戦うことと、故郷の街を背負った会社同士のドメスティックな戦いのどちらに優劣がある訳じゃなし。土着性の部分に帰依するという根っこは同じなんだよな。この歳で新たな楽しみを見つけたことは、ひとつ人生が豊かになった時間でしたね。

準決勝とか決勝とか平日だから見に行けなかったんだけど、5試合見た中で一番面白かったのは、準々決勝の西濃運輸(大垣市)-NTT西日本(大阪市)かなあ。チーム券をちょうだいして西濃運輸側に入ったのだが、西濃運輸の応援団がとにかくアツい。聞けば、社員有志で構成された伝統の応援団が4月から練習を開始し、予選から東京ドームまで非常に熱のこもった応援をチームに送り続けた・・・とのこと。試合は先制する西濃、追い付くNTT、前に出る西濃、追い付くNTTというクロスゲームで延長タイブレークまでもつれ込む熱戦。タイブレーク10回表は西濃が右前打の無死満塁から大山、城野、渡邊が一邪飛・三振・三振のロッテ野球。結局NTT西日本大江のストレートを打てず酔いの回った西濃応援席から厳しい指導が入り始めるも、10回裏はNTT西日本が1死1、2塁から9番成瀬の中前打、これを西濃運輸のセンター原田が渾身のバックホームで本塁刺殺というスーパーファインセーブ。湧き返る西濃応援団。まだまだ終わらぬタイブレークは11回表、西濃運輸の応援団が力の限りに奏で続けたエンドレスの「狙い撃ち」の嵐の中、二死満塁から均衡破る3番野崎の満塁ホームランで8-4。西濃運輸応援団爆湧き。度重なるピンチをことごとくストレートとフォークのゴリ押しで三振に切っていたNTT西日本大江、マウンドで膝に手を突きとうとう力尽きる姿を見ながら、トーナメントの恐ろしさと美しさを見る。いやしかし、馬力は見せつけてくれた。

試合が終了し、スタンドに向かって一礼する西濃ナイン。そして力の限り、手数を尽くしてスタンドから声を送った応援団が迎える。「パワフルセイノー」「VICTORY」「うまぴょい伝説」「Runner」「狙い撃ち」とどれもこれも完成度が高いが、とりあえず「パワフルセイノー」(「X」@MFKM_WFWF氏より)は非常にシンフォニックな音圧の力強い名曲で、シンプルな中にも中毒性があってめちゃくちゃ印象に残る。社会人野球の中でも特に人気の高い応援なんだって。これ、絶対どっかの高校は甲子園でチャンステーマに使うべき(笑)。あ、NTT西日本の「スパート」とか「ダイナミックファイターズ」とかもいいんですよね。何となく風呂とかで鼻歌で出ちゃう。ファンファーレからベースとドラムのリズムが入って軽やかに爽やか。これもNTT西日本のオリジナル応援歌で、社会人野球の名応援の一つなんだそうで。

「かっとばせー!〇〇! 行け行け大垣 Go!Go!Go!」
大垣市民でもなんでもないのに、このフレーズを何度叫んだことか(笑)。
と言う訳で、こんどから荷物送る時はカンガルー便にしようと思います。せーの。ぴょん!

 

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