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優美な鳳閣寺の石塔「理源大師廟塔」/毎日新聞「やまと百寺参り」第33回

2019年12月09日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。11月28日に掲載されたのは「1万8000人もの僧が寄進/鳳閣寺の理源大師廟塔(黒滝村)」、執筆されたのは吉野郡大淀町在住の富田良一さんだった。
※トップ写真は理源大師廟塔。写真はこちらのサイトから拝借した

ここは以前、お参りしたことがある。鳳閣寺本堂は百貝岳の中腹にあり、そこからまだ20分ほど山頂をめざして歩くと、この廟塔がある。覆屋の中にあるので暗くて分かりにくいが、懐中電灯で照らすと、優美な石塔が浮かび上がる。修験者はこんな山の奥で修行したのだ。では、記事全文を紹介する。

鳳閣寺(ほうかくじ)は、吉野山の南、黒滝村の百貝(ひゃっかい)岳の中腹にある真言宗鳳閣寺派の本山です。895(寛平7)年、修験道の中興の祖といわれる理源大師聖宝(しょうぼう)が真言院を建てました。

理源大師の廟塔(びょうとう)と伝えられる総高268㌢の石塔(重要文化財)は、本堂から約1㌔急坂を登った森の中にひっそりと佇(たたず)んでいます。台座格狭間(ごうざま)の刻銘より、1369(正平24年)に薩摩権守行長(ごんのかみゆきなが)により造られたことがわかります。宋人の石工(いしく)伊行末(いぎょうまつ)の系統で、南北朝期の名匠として知られます。



百貝岳の森の中にある鳳閣寺理源大師廟塔の覆屋

廟塔は花こう岩製で、相輪・笠・塔身・受坐(うけざ)・亀趺(きふ)・台座からなり、亀趺は方座から亀の頭部と前足を出した珍しい形です。塔身は一石円筒形で四隅に方形柱形を刻み、扉部など細部に至るまでこの時期の木製廟塔の特徴を極めて精巧に摸したものです。相輪から台座まで造立当初の姿をとどめており、当時の廟塔の建築様式を知る上でも貴重です。

廟塔が造立された時、金品を寄進した僧侶の数は、1万8023人にも及び、理源大師に対するあつい信仰がしのばれます。(奈良まほろばソムリエの会会員 富田良一)

(宗派)真言宗鳳閣寺派
(住所)黒滝村大字鳥住90番地                   
(電話)無
(交通)近鉄下市口駅から直近の林道までタクシー利用、または西行庵から徒歩。理源大師廟塔は、鳳閣寺より百貝岳の山頂に向かい徒歩20分
(拝観)境内自由
(駐車場)無


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