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数学の問題を記した絵馬が残る弘仁寺/毎日新聞「やまと百寺参り」第35回

2019年12月17日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。12月12日(木)に掲載されたのは《知恵の菩薩に「算額」奉納/弘仁寺(奈良市)》、執筆されたのは奈良市在住の久門(くもん)たつおさんだった。『デジタル大辞泉』によると算額(さんがく)とは

創案した数学の問題やその解法を書いて社寺に奉納した絵馬。江戸時代中期に始まったとされ、和算家や市井の数学愛好家らが、数学の問題が解けたことを神仏に感謝するという意味合いがあった。また、あえて難問を出して解答を求めたり、その解答のみを記した算額を奉納したりすることも行われていた。額面題。

私は算額のことを御菓子司たばや(磯城郡川西町大字結崎)の「算額最中(もなか)」で知った。とても興味を持ったので当ブログでも、「算額最中」という記事にして紹介した。弘仁寺で算額の現物を拝見したのは、ずっと後のことである。では記事全文を紹介する。



平安時代初期に空海が創建に関わったとされる、元号寺院の古刹。山門をくぐると高台に建つ県指定文化財の本堂のどっしりとした姿が望めます。その軒下で異彩を放っているのが数学の問題や解法を記した絵馬の算額。2点あり、ともに奈良市指定文化財です。

正面は1858(安政5)年奉納で縦1.22㍍、横2.43㍍。和算家の石田算楽軒(さんがくけん)の文字、その姿は彩色で描かれ、隣に問題と答え。算楽軒はこの地域の人で、大和内外の多くの門弟の名前も並んでいます。正面左側の一回り小さいほうは1827(文政10)年奉納。現在の天理市南六条町の和算家、奥田政八らが奉納したもので、計算で使う算木が描かれています。

江戸時代、算額の社寺奉納が流行し、全国で約900点、県内には5点伝わっています。石田算額には全国でも最多とされる49桁(けた)の数字が登場、奥田算額は珍しい9乗根を求めた問題です。秘仏の本尊・虚空蔵(こくうぞう)菩薩立像は知恵にご利益をもたらすとされ、この寺への奉納につながったとみられています。(奈良まほろばソムリエの会理事 久門たつお)

(宗派)高野山真言宗
(住所)奈良市虚空蔵町46
(電話)0742・62・9303
(交通)JR・近鉄奈良駅からバス「窪之庄南」下車、徒歩30~40分
(拝観)9時~17時(3~11月)、9時~16時(12月~2月)
(駐車場)有(無料)


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