NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。今週(11/5)掲載されたのは「檜皮葺と杉皮葺が共存/長岳寺(天理市)」、執筆されたのは奈良市在住の久門たつおさんだ。長岳寺はよく参拝するが、屋根までは気づかなかった。では、全文を紹介する。
※トップ写真は檜皮葺と杉皮葺の屋根が共存する旧地蔵院の庫裏
「関西花の寺二十五カ所霊場会」に名を連ねる県内7カ寺の1つ。春のツツジで知られますが、晩秋の境内はカエデ、モミジなどの紅葉に埋もれます。「山と渓谷社」が2014年に選定した全国紅葉百選に県内からは談山神社とともに選ばれています。
824(天長元)年、淳和(じゅんな)天皇の勅願で空海が創建した、山の辺の道沿いの古刹。最盛期には48坊を数えましたが、室町中期の兵火や明治初期の廃仏毀釈などの試練を経て現在に至ります。48坊のうち、唯一残るのが旧地蔵院庫裏(くり)と、持仏堂とも呼ばれる同院本堂。切妻造の庫裏は1630(寛永7)年、隣接する宝形(ほうぎょう)造の同院本堂はその翌年の建立で、ともに重要文化財に指定されています。
庫裏は玄関部分が優美な唐破風(からはふ)造で檜皮葺(ひわだぶき)、その他は杉皮葺という素材の異なる屋根の共存に趣があります。杉皮葺は大和葺とも呼ばれ、吉野産などの杉の樹皮を調達しやすいことから江戸期の「地産地消」と言えそうです。現在、旧地蔵院は長岳寺の庫裡として使われ、室町期の様式を伝える書院造の座敷が歴史を感じさせます。旧地蔵院の庫裡に南に小池のある江戸初期の庭園が参拝者を和ませます。(奈良まほろばソムリエの会理事 久門たつお)
(宗 派)高野山真言宗
(住 所)天理市柳本町508
(電 話)0743・66・1051
(交 通)JR柳本駅から徒歩約20分、もしくはJR・近鉄天理駅、JR・近鉄桜井駅からバス「上長岡(かみなんか)」下車、徒歩約10分
(拝 観)9時~17時、400円
(駐車場)有(無料)
※トップ写真は檜皮葺と杉皮葺の屋根が共存する旧地蔵院の庫裏
「関西花の寺二十五カ所霊場会」に名を連ねる県内7カ寺の1つ。春のツツジで知られますが、晩秋の境内はカエデ、モミジなどの紅葉に埋もれます。「山と渓谷社」が2014年に選定した全国紅葉百選に県内からは談山神社とともに選ばれています。
824(天長元)年、淳和(じゅんな)天皇の勅願で空海が創建した、山の辺の道沿いの古刹。最盛期には48坊を数えましたが、室町中期の兵火や明治初期の廃仏毀釈などの試練を経て現在に至ります。48坊のうち、唯一残るのが旧地蔵院庫裏(くり)と、持仏堂とも呼ばれる同院本堂。切妻造の庫裏は1630(寛永7)年、隣接する宝形(ほうぎょう)造の同院本堂はその翌年の建立で、ともに重要文化財に指定されています。
庫裏は玄関部分が優美な唐破風(からはふ)造で檜皮葺(ひわだぶき)、その他は杉皮葺という素材の異なる屋根の共存に趣があります。杉皮葺は大和葺とも呼ばれ、吉野産などの杉の樹皮を調達しやすいことから江戸期の「地産地消」と言えそうです。現在、旧地蔵院は長岳寺の庫裡として使われ、室町期の様式を伝える書院造の座敷が歴史を感じさせます。旧地蔵院の庫裡に南に小池のある江戸初期の庭園が参拝者を和ませます。(奈良まほろばソムリエの会理事 久門たつお)
(宗 派)高野山真言宗
(住 所)天理市柳本町508
(電 話)0743・66・1051
(交 通)JR柳本駅から徒歩約20分、もしくはJR・近鉄天理駅、JR・近鉄桜井駅からバス「上長岡(かみなんか)」下車、徒歩約10分
(拝 観)9時~17時、400円
(駐車場)有(無料)
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