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古都華 vs 白いイチゴ、「イチゴ王国」奈良県で、しのぎ削り高品質イチゴを栽培!(毎日新聞奈良版)

2021年12月02日 | 奈良にこだわる
昨日(2021.12.1付)の毎日新聞奈良版に〈県産イチゴ、甘くて厳しい戦い 栽培や販売法で工夫 古都華VS淡雪など〉という記事が出ていた。「厳しい戦い」というより、古都華を栽培する「大和奈良いちご倶楽部」と、白いイチゴなど新品種を栽培する「奈良いちごラボ」が、切磋琢磨しながら高品質のイチゴを出荷しているという話だ。
※トップ写真は、巨大なハウスでイチゴを栽培する前田光樹さん。毎日新聞のサイトから拝借

私が子どもの頃、イチゴは5月の果物だった。それが今やクリスマス前に出荷され、たくさんのイチゴが載ったデコレーションケーキが出回るようになった。これは奈良県でイチゴの栽培史上、画期的な技術開発があったからだ。1972年、当時の奈良県農業試験場が、画期的な「電照保温」の技術を開発したのである(当ブログ記事は、こちら)。

通常、9月頃に植えた苗は冬季に休眠し、4月に開花・結実し、収穫できるのは5~6月頃だったが、電照保温により苗は休眠せず連続開花するので12~5月まで収穫が可能になった。そんな「イチゴ王国」奈良県では、今も美味しいイチゴを育てるべく、しのぎを削っている、というのが今回の記事である。最後に全文を引用しておく。ガンバレ、奈良県産イチゴ!

近畿最多の出荷量を誇るイチゴ産地として存在感を増す県内で、「イチゴ戦争」が勃発しつつある。県内限定で栽培される「古都華」が大阪など都市部の青果市場で知名度を拡大していることに加え、若手農業者グループが開発した「パールホワイト」や「淡雪」が高級フルーツとして海外市場に進出。若手グループと古都華グループとが栽培や販売手法を巡ってしのぎを削っている。甘くて厳しい戦いの行方は果たして――。【稲生陽】

2011年に県が開発した古都華はツヤのある赤さと糖度13~15度(一般的なイチゴは8~9度)の甘さが特徴。この数年で栽培面積が急拡大し、現在では計約10ヘクタールで栽培されている。病気に弱く、面積当たりの収穫量も少ないが、市場での平均単価は県内で一般的な「あすかルビー」の2倍に達する高級品種だ。大阪が本拠の大手百貨店のあるバイヤーは「関西の市場では古都華は最高ランクだが、いつかは需要が飽和する。競争相手の多い関東や高級路線が一般的でない地方にどこまで広げられるかは未知数」という。

県内最大の古都華産地・平群町。県内のイチゴ農家のリーダー的存在で、品種登録される前から古都華を栽培する「辻本農園」(同町)の前社長、辻本忠雄さん(66)が指導した農家約10軒が「大和奈良いちご倶楽部」として栽培している。広い栽培面積に加え、運搬用パックを二重構造に変更するなどイチゴが傷まない工夫を施し、単価の上昇も狙う。「自分たちの武器はグループ全体の出荷量。大きな市場での単価は継続的に量を出せる信用がないと上がらない。年明けには東京の市場にも進出してみせる」と鼻息を荒くする。

これに対し、15年に県内各地の若手農業者ら5軒で結成した「奈良いちごラボ」の前田光樹さん(50)=桜井市=は「我々の戦略は量より質。一粒ずつの規格を徹底的にそろえ、市場を訪れるバイヤーの目に留まるイチゴに仕上げることで成功している」と火花を散らす。農業技術者として海外で活躍後に就農した前田さんが中心となり、白くて甘い「パールホワイト」やピンクで大粒の「淡雪」など、新品種を次々開発して急激に勢力を拡大してきた。

「戦略に合わせて品種を作り、5軒が粒の大きさや(イチゴを保護する)セロハンの付け方まで細部の規格をそろえて出荷している」と前田さん。一粒ずつ重さを量って宝石のように高級感のある箱で包装する独特の売り方で、東京や大阪の市場に進出、出荷分の7~8割が海外で売られているという。売り上げは結成後6年で3倍近くに達し、今季からは広島や福岡など地方の青果市場にも出荷先を拡大する計画だ。

互いに「売り方は競合しない」と言いながら、栽培や販売に工夫を凝らす両グループ。栃木県や福岡県といった特産地に追い付け、追い越せと県内のイチゴ生産の大きなうねりとなりつつある。


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