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若宮おん祭(まつり)生きた日本の芸能史/毎日新聞「かるたで知るなら」第32回

2021年12月03日 | かるたで知るなら(毎日新聞)
いよいよ師走に突入!奈良で師走といえば「おん祭(まつり)」、つまり「ザ・祭り」である。それほど重みのある祭りが、「春日若宮おん祭」なのである。「祭り始めはちゃんちゃん祭り、祭り納めはおん祭り」という俚謡もある(ちゃんちゃん祭りは、天理市・大和神社の祭礼)。

しかしコロナ禍で、昨年(2021年)に引き続き、今年も非公開(関係者のみ)で行われることになった。この伝統ある祭りについて、奈良市出身・在住の松森重博さん(NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」理事)が、コンパクトにまとめて紹介してくださったので、以下に全文を紹介する。

〈若宮おん祭 生きた日本の芸能史〉 
奈良の人々にとって、春日若宮おん祭は年末の大きな楽しみです。春日大社若宮神社のこの祭礼は、平安時代の保延2(1136)年に関白、藤原忠通(ただみち)が五穀豊穣と国民安寧を祈願して始めたとされます。連綿として続いており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

若宮神社の祭神、若宮様は正式には天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)で、春日大社本殿の第三殿の天児屋根命(あめのこやねのみこと)と第四殿の比売神(ひめがみ)の間に生まれたとされます。本殿の南に若宮神社本殿があります。大和士(やまとざむらい)がこもって精進潔斎をしたという大宿所(おおしゅくしょ)が餅飯殿(もちいどの)センター街の中にあり、毎年12月15日には御湯立(みゆたて)の儀など神事が行われます。

続いて17日未明に、若宮様が多数の神職に守られ、若宮神社から御旅所に移られ、遷幸の儀と暁祭(あかつきさい)が行われます。正午ごろから呼び物のお渡り式。最後の大名行列は大変な人気です。 
   
一の鳥居を東に入って、すぐの所で「松の下式(したしき)」があり、その後、御旅所で神楽、東遊(あずまあそび)、田楽、細男(せいのお)、猿楽、和舞(やまとまい)、舞楽などの神事芸能が奉納されます。大陸から伝えられたという舞楽、古くから日本に伝えられた細男など、おん祭でのみ演じられる芸能もあり、まさに生きた芸能史です。

若宮様はその日のうちに、再び若宮神社に帰られる還幸の儀が行われます。翌18日には後宴能が行われ、おん祭はフィナーレとなります。

2021年はコロナ禍のため、おん祭は神事を中心に関係者のみで行われます。若宮神社本殿は現在ご造替(ぞうたい)中で、22年秋に完成します。(奈良まほろばソムリエの会理事 松森重博)

【若宮神社】
(住 所)奈良市春日野町160
(交 通)JR・近鉄奈良駅から春日大社本殿行きバスで「春日大社本殿」下車すぐ。または、市内循環外回りバスで「春日大社表参道」下車、徒歩約10分
(駐車場)有(有料)


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