薔薇は一つ一つの花が盛りを過ぎたら、それぞれ疵もつき汚れて色を失っていくに違いない。
園丁は基準を設けていて、それぞれのそれぞれを見極めて摘み取っていくのだろうと思われる。
全体のどの花をとっても美しいばかりという状態は、めったにないだろうから、こちらもついつい最上の美しさを求めてきょろきょろ見回してスマホを向ける。
プロやセミプロの画像がいくらでもあるのだから、自分で撮る事はないのに、自分が観て撮ったということが大事とばかりに最高の美しさを探してしまう。
美人に見とれてしまったら咎められることもあるだろうけれど、花なら思い切り見ても惚れても勝手でしょ、てなことを思えば『さもしさ』のようなものを感じないこともない。
それにしても、薔薇はなぜか女優や今までに出会った美しい人達の一番美しかった頃を想いださせる。
そうやって完璧な薔薇を探しては、だぶらせ想いにひたることのできるのが薔薇鑑賞だなと思った次第。
最後にうちの庭のジャーマンアイリスを潜り込ませ、いくらでも身近に美はあるのさ、と自分を納得させる。