1ヶ月余り前のある会食で、南極の氷を持ってきてくれた人がいた。
透明だけれど、細かい気泡が均一に入っている美しい氷だった。
ビールを呑んでいたのだけれど、ベトナム式にビールの中に氷を入れて呑んだ。
氷自体は何の味もしなくて冷たいだけだったが、ビールがピリピリするように感じられ良い味になったように思った。
皆が一つの話題を話し合うようなまとまりはなくバズセッションのようだったから、それぞれがどういう感想を持ったか、味わったかは聞かずじまい。
数日後に、どれほどの深さと年代物なのかが気になって、ネット通信で聞いてみた。
会食時に、流氷のものではなく昭和基地から、とは聞いていたのだが、他の横槍が入って深く突っ込めなかった。
返ってきた内容は、昭和基地の氷棚からであり、地表のもので、クレオパトラの濃厚な匂いがする年代というもの。
想像的補足をするならば、隊員は交代時に南極土産として、氷棚から一定量持ち帰ることが許されているということなのだろう。
地表の氷でさえ2000年以上前のもので、もちろんのこと含まれている気泡などを分析研究した上で不要となった氷なのかもしれない。
それとも、氷はいつも生活に利用されている材料で、常に氷棚にあり、それがその年代のもので、研究するほどのものではない古さの氷ということかも。
そりゃそうだろうなぁ、昭和基地に土産物屋は入っていないだろうしなぁ、などと思った次第。