来週入院して手術予定だったのにドタキャンをした。
告知をされた折に治療方針としての全摘手術を勧められ、セカンド・オピニオンのことも簡単に説明があった。
癌の告知がかなり予想外だったこともあり、そのあとのことは真剣に聞いたつもりだったけれど、千々に乱れる心では正確に聞き取れていたとは言い難い。
あれよあれよという間に手術という階に昇るエスカレーターに乗ってしまったような気分だった。
ドタキャンしてからちょっと検索してみると、セカンド・オピニオンには保険が効かないのは知らされていたが病院によって値段はさまざまなようだ。
医学出身大学による系列があるのだが、違う系列でないと意味がないらしい。
先輩後輩という関係があれば忖度や遠慮があって自由な見解が述べにくいということなのだろう。
セカンド・オピニオンを受け付けてくれた先方では、新たに診察を行ったり検査をすることは一切なく、はじめの病院でのデータを元に見解を述べるだけなのだそうだ。
そして場合によってはサード・オピニオンとしてまたまた別の専門病院などに見解を求めることも例があるようだ。
癌は一度なってしまえば、根治術後でも経過観察としてずっと何ヶ月置きかでも同じ病院に通うことになる。
二年前に別の癌の手術をやった病院に紹介状を書くこともできるし、データも全部CDに移して送ることもできる。
治療する病院を一本化する意味でもそちらで再診を受けた方が良いのではないかと担当医が提案してくれた。
ここでの入院と手術をキャンセルするのはかまわないし、むしろ今の疑問を持った状態なら、紹介再診という形をとる方が良いのではないかとさえ言ってくれた。
ここにきて信頼関係ができたような話し合いになり、大変に有り難かった。
一般的に急を要するタイプの癌ではないので、一年後まで何もしないというのはさすがにまずいが、慌てる必要はないとのこと。
そうして、そのような形で有名な専門病院に紹介したところ、手術なしで経過観察という結論になった患者もいたとまで教えてくれた。
医師との話に結論が出て、相談窓口で次の病院での診察予約手続きもとってくれた。
その時に前日に最終的個人面談をしてくれた総務の人が出てきて、十分に説明をしてもらったかと心配そうに尋ねてくれた。
腫れ物に触るように大事にされたような気がする。
そうして私はこの病院から快く送り出され、気持ちも新たに来週なかばに馴染みの病院へと向かうことになった。
科は違うけれど、癌というくくりで横の連絡が密にされる病院ではあるらしいので安心できるというもの。
ではなぜ、初めから同じ病院にしなかったのかと言われれば、これまたいろんな都合や思いや忖度もあったのだ。