寒暖の差が激しく真冬になったり春先になったりだったから不安を感じたり心配になってもいたのだが、とうとうカメリアが死んだ。冬眠場所にしているクヌギの葉っぱ入りで水を張った発泡スチロ―ル箱から、この冬は何回も這い出てきた。自分でまた入ることもあったり、私が入口スロープに乗せてやったりもして水にもぐり込む繰り返しだったのだが、何が悪かったのだろう。家の中では暖房としてコタツしか使わない我が家の玄関は水が冷たくなり過ぎだったのだろうか。
土を用意して冬眠させた方が安全かも知れないと思い惑ったことはあるけれど、なにせ顔が欠けてノドが見える、穴だけの口に土はマズイと思われた。冬眠以外の夜を過ごすカメ箱はカーペットの端切れとタオルを入れてあり、そちらにも自分で入ることはできたのだけれど、結局は発泡スチロ―ル箱の中の水面近くで硬直していた。
後脚が反っていたのと首が半伸びで曲がっている不自然さで、駄目か・・と思った。『死んだか・・?』と思う事は今まででも何度かあったが、触ればゆるゆるとどこかしらを動かしたものだったのに今回はそれがない。でももしかしたら仮死状態の硬直もありえるかと、水から出して置いたのだが一週間経ってもそのままだから諦めるしかなさそうだ。
用水路で拾ってきてから5年4か月あまりの命だった。顔の傷がまだ生々しい状態で、初冬の寒さのなか、湯気の立つ工場排水が流れ込む場所に見つけた時もその半日後もじっとしていた。タモ網を車に積んでいたし、捕まえてからわかった事だが目の見えないカメだからすくい上げるのは簡単だった。
カメを飼った経験がなくて試行錯誤だった。ネットで調べたりブログを通して教えてもらったりして、手を掛けすぎるよりはいい加減がよい筈だと居直って勝手な飼い方だったのに5年4か月余り、よく生き延びてくれた。クサガメの寿命は20以上らしい。出会った当初からおとなだったから何歳かはわからないが、もしかしたら寿命だったのかも知れない。そう思いたい気もする。でもかわいそうなことをしたという気分から逃れられない。