鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

贅沢をする幸せ

2009年07月06日 09時52分06秒 | 随筆或いはエッセイ
ほとんど毎日といってもいい位にホチキスを使う。ところがウチにはろくなホチキスがない。何かの景品でもらったものや、付録の豆ホチキスは粗悪品で針が通らずに横に曲がったりする。そんな時はいじけた針をむしり取りながら情けない気分になる。

もう40年も使い続けているものがあって、それは大抵の人が知っているMAX製。古いけれど性能は抜群だ。仕事をする場所が二箇所あるから、これがもうひとつ欲しい。100円ショップに予備の針1箱付きで何種類も売っているのを見るにつけ思わず買いそうになる。

ところが、いや待てよ!といつも思うのだ。安物買いの銭失い、使い物にならないものばかり増えるのがオチだ。何かの記事で読んだのだかラジオで言っていたのだったか・・・「私は安いものを買うほど裕福ではない」というドイツ人の述懐を想いだすのだ。高価でも良いものを手に入れて末長く使うことで節約しなければ、貧乏人はやっていけないという合理主義が素敵に見えるわけだ。

そしてついに奮発することにした。『ウチ、ホチキスには贅沢してるんです』なんてプチ自慢してる自分も想像した。やはりMAX製の高額高級品を買う。

巾は小さいがずんぐりしている。昔のものが道具だとしたら、これはメカという感じ。針が今までの二倍入る。しかもスリット窓があって残量まで分かる。10、20、30と目盛りまで刻印されてる。しかも背中には予備針収納スペースがあってここにも二山200本が入るのだ。空打ちになって舌打ちしながら針の小箱を探しまくる事がなくなる。

試し打ちをしてみて『オー』と感動した。力がいらない。今までと違う綴じの感触。ストロークは大きいがカッシャンという感じで軽い。綴じ枚数も普通の二倍の20枚までいけるそうだ。突き抜けた針の曲がり方はこれがまた小さい特許なんだろう。丸みが出来ないで直角に曲がる。でっぱりができないのでかさ張らず、針を抜くのも楽なんだそうだ。尻にある針外しフックを引っかけてやってみると、なるほど簡単に取れる。

ほこほこと嬉しいのだ。この嬉しさはこのホチキスを見る度によみがえる。逆を考えるなら、ある悪感情を他人に持ったとする、その原因が誤解によるものだと後で判っても憶測などで増幅してしまった悪感情はずーっと残ったりする。それが恐い。そんな時は小さな実用品の高級品を買ってみよう。今回は614円で贅沢感にひたれた。贅沢をする幸せは時々味わいたいと思う。


コメント (4)
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