月に一度届く「みちくさ新聞」(拙ブログ2/18『みちくさ新聞』は心の癒し )にこころ癒されている。
新聞と一緒に無名者の歌が同封されている。それは昭和万葉集や朝日歌壇などから抜粋された20編ほどの短歌である。そこには先の大戦に関わる多くの歌が集められていて、一句一句の戦争の悲惨さに、いつも切なく涙があふれてくる。
以下に、最近の【「みちくさ新聞」無名者の歌】より、そのいくつかを挙げる。
○ いたましく夫と妻とを引き裂いて戦う国は滅べと思う 森下虎尾
○ 終戦の詔はただただ嬉しかり子は三人夫は三度の招集なりき 鴻野千世子
○ 戦盲の夫に読みやる昭和万葉集「山河慟哭」に声つまらせて 川崎いりえ
○ アイゴー・オモニと叫び狂いて死にゆける兵を葬りしバイカルの雪 千葉武郎
○ ハルビンに父母と別れし孤児我等連れ帰り給いし井上牧師 山下一朗
○ 懲らしめらるる何あるべきや戦火に追われ逃れ馳ゆく子の細き足 大島かづ子
人の恩、父、母との思い出、家族の思い、自然の情景、暮れなずむ秋の空、戦場での忘れられない思い、等々が詠われ、悲惨な戦争によって失われた、数限りなく貴いものが語られている。
慟哭の短歌を静かにかみしめ、今の平和が、どんなに幸せかと思っている。