エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

この命なにをあくせく

2008-05-31 | 日々の生活
     【清楚なシコタンソウ】

 梅雨の季節も間近だ。
「しとしと」という表現がぴったりの雨の中、いつものように、朝食前に犬と散歩に出た。ここ数日、嵐のような風の強い日が続いたが、今朝は風もなく、緑の田に降る雨は穏やかだった。
巡った梅雨の風情を楽しみながら歩いてきた。

 帰宅して傘をさして庭を一巡りした。
花びらを落とし始めたヒメウツギの横に、シコタンソウが清楚に咲いている。アジサイもようやくつぼみが見せ始めた。シランは半分開きかけ鮮やかな紫が見えた。
 庭のすべてがそぼ降る雨に美しい緑の中だ。


 佇み、雨に濡れる小さな緑をながめ、ふと口をついてでた詩
 「このいのち何をあくせく・・・・」
 誰の句だったろうかと思い巡らした。藤村だっただろう。
 藤村詩集をひろげると、思った通り、落梅集・千曲川旅情の歌に一節を見つけた。

 「千曲川のほとりにて」の第一節に
   昨日またかくてありけり
   今日もまたかくてありなむ
   この命なにをあくせく
   明日をのみおもいわずらふ


決してあくせくしてはいないが、こんな句が浮かぶ心境を思った。
 本当にゆったりした爽快な気持ちであろうか。静かに我が生き方を問うた。