■禁漁期を控えて■
3月の解禁以来、各地で様々な思い出を作ってくれた渓魚とも10月1日(一部を除く)の禁漁をもって一旦のお別れとなる。
当初は前回の釣行で最終にしようかとも思っていたものの、ポカッと日曜日の予定が空いてしまった。「常に動いてエラに海水を通さないと死んでしまうマグロ」のような性格のボクにとって、そんな日に「な~んにもしない」と、熊のプーさんのようにジッとしているのは我慢できることではなく、慌てて釣行を決意した瞬間に勝手に腰が浮いていた。
アレコレ迷っているヒマはなかったので「大河川であれば、どこかに入るスペースがあるだろう。」と、以前に2時間ほど攻めただけだった「木曽川の最上流部」を目指すことにした。
■急転直下■
釣行当日の朝、入渓地点に到着後、仮眠をとっているとあまりの寒さに思わず目覚める。外気温をチェックすると7度しかなく、先日までの猛暑もどこへやら。急転直下の気温降下で二歩も三歩も季節は前へ進んで「間は無いんかいっ!」と、ツッ込みを入れたくなってしまうが、どちらかと言えばこの気温の方がマトモであり、少なくとも熱すぎるよりは渓魚にとっても、デブったボクにとっても良い兆候である。車のラゲッジから寝袋を取り出し、くるまりつつ夜明けを待った。

●車の外気温計(上段左)は7度を指していた●
■木曽川上流部■
前回訪れた際には時間が少なくて攻めきれなかったので、スタート地点は同じであっても、ボクにとっては未知である、上流部へと更に釣り上がるつもりで入渓した。

●朝靄の立つ夜明けの河原●
■出足好調■
一匹目はすぐに目印を引き込んでくれた。ポイントとしては当たり前の、水中に沈んだ大石の裏だった。

●付近には平瀬が多いが、この区間の底質は変化に富んでいる●
本日初物としてはイキナリの抵抗を示したが、0.25号の糸を切ってゆくようなサイズではない。今年最期の一日の始まりを味わおうと、ゆっくりとやり取りをして無事に玉網に収まったのは、意外に良型であり、25cmクラスだ。

●稚魚放流から大きくなったであろう、ド派手な朱点のメス●
シーズン最終段階に来ても残っているアマゴは当然ながらスレている。だから一つ一つのポイントをじっくりと時間を掛けながら攻めることを心掛けつつ、更に釣り上がっていく。
そして、更に少し上流の区間にほどよい石裏の変化を見付けた。

●石裏に泡立つ流れ付近がポイントだ。●
そこに仕掛を投入。本流との流れの縁を丁寧に流していると、今度は目印の動きが停止した。すかさず合わせると、マズマズのサイズのアマゴが登場する。今度はどうやら天然育ちのオスのようだ。
●朱点がキレイに散った23cmのオス●
■区間の終わり■
その後はポツポツながら、順調に釣果が伸び、機嫌を良くしながら更に上流を目指した。そして少し距離を置いて2段になった堰堤の区間へと差し掛かる。そこから上流に目をやると、フライをしている釣り人が2人見えたので、どうやらこの区間の釣りはココで終わらなくてはならないようだ。
堰堤下流には角ブロックが整然と並んでいる。全般を見回すと、両サイドの川縁がやや深く掘れ込んでいるので、そこがポイントになりそうだ。

●堰堤下をよく観察すると、両サイドが深い●
空はピーカン状態なので、それまでよりも更に仕掛を細く、0.2号まで落として攻めてみる。しかし、この判断が最終的にはマズかった。下流側から慎重に攻めてゆくと、当初は小型のアマゴが数匹掛かる。そして一番上流側にある、最初の落ち込みで目印が止まると同時に竿全体を通して「ゴンッ!」という衝撃が伝わった。
相手は溝になった部分を下流へと疾走するが、両サイドのポイントを攻めるために川のド真ん中に立っていたために魚に合わせてコチラが走ると、ブロックの切れ目で確実に深みにハマって流されてしまう。ココは一か八かその場で踏ん張り、竿全体を絞り込んで疾走を止めるしかなさそうだ。
しかし、0.2号の仕掛に交換していることが頭をよぎってしまう。その一瞬の迷いを衝いて相手は深みへの落ち込みに全力で入ろうとした。その瞬間、竿先は天を突き、弧は解消されてしまった。痛恨のバラシである。
その後は小型のみ、何も得ることがないままに、この区間の釣りが終了した。

●手にしたのは15cm以下の豆クラスのみ●
■巴淵■
ココまでで釣り上げたマトモなサイズのアマゴは全て婚姻色が出ており、産卵は近いようである。その様子から、「アマゴ達は産卵絡みの行動で更に上流へ向かったのであろうか?」という考えが頭に浮かんだ。しかし、まだまだ時間がある。一旦、淵部分へ様子を見に行き、「答えが出そうにないのなら、一気に上流へ向かおう」という考えの下、淵が連続する「巴淵(ともえがふち)」近辺へと車を走らせた。
因みに巴淵とは、平家打倒の兵を挙げた木曽義仲(きそよしなか)の妻、巴御前(ともえごぜん)が水練のため幼少期に泳いだ淵とも、ただ単に回る渦が巴模様に見えるからとも言われる淵であり、木曽路の景勝地としても知られている。

●巴淵の石碑●
淵が見下ろせる橋に立ち、様子を伺っていると、真下にいるフライ・マンがドンピシャのタイミングで魚を掛けているではないか!。

●フライ・マンが、やり取りの真っ最中●
ゲットしたのは25cmクラスのアマゴのようだ。これを見たボクは、単純にも「淵に魚が入っているかも?」との判断に至る。そしてしばらく上流に車に走らせた先にある、淵などの水深があるポイントが続く区間へと向かうのであった。
■最終区間■
この区間は淵や深瀬が平瀬で繋がりながら連続している区間で、それはそれは見事な景観を成していた。しかし…。

●この区間も●

●この区間も●

●この区間も●

●この区間も●

●せいぜいこのサイズが限界●
小型は多数居るものの、どうにもこうにもサイズが伸びず、オマケに降り出した雨が強まってくる。このままでは増水して帰られなくなってしまいそうなので、ココは諦めて退渓を決意した。
■この日を振り返って■
結果論ではあるが、当初の思い通り魚はどうやら産卵のために上流を目指していたようだ。「巴淵のアマゴ」を見たがために判断がにぶってしまったが、帰宅後に、この日の釣りを振り返っている最中に、その昔にブラックバス釣りをしていた頃に覚えた「シーズナル・パターン」というモノを思い出していた。これは産卵場所を基軸として、シーズンごとのブラックバスの動きを指すのだが、それを推測し追跡することで、より魚に出逢う確率を高めることができるのだ。
渓魚の場合も多分同じで、秋の産卵場所が上流部や支流にあるとすれば、やはりそこへ向かうのが正解であった。それは頭では理解していたつもりなのだが、ついつい他人の魚を見たことでスケベ心を出した自分に反省することしきりである。
だが、次に生かそうとしても時間切れであり、来年までは試す手段もない。しかしながら、昨年も迷った挙げ句に同じ失敗をしていたような気がする…。毎年のようではあるが、「来年こそは!」と決意を新たにした今期最終釣行であった。
3月の解禁以来、各地で様々な思い出を作ってくれた渓魚とも10月1日(一部を除く)の禁漁をもって一旦のお別れとなる。
当初は前回の釣行で最終にしようかとも思っていたものの、ポカッと日曜日の予定が空いてしまった。「常に動いてエラに海水を通さないと死んでしまうマグロ」のような性格のボクにとって、そんな日に「な~んにもしない」と、熊のプーさんのようにジッとしているのは我慢できることではなく、慌てて釣行を決意した瞬間に勝手に腰が浮いていた。
アレコレ迷っているヒマはなかったので「大河川であれば、どこかに入るスペースがあるだろう。」と、以前に2時間ほど攻めただけだった「木曽川の最上流部」を目指すことにした。
■急転直下■
釣行当日の朝、入渓地点に到着後、仮眠をとっているとあまりの寒さに思わず目覚める。外気温をチェックすると7度しかなく、先日までの猛暑もどこへやら。急転直下の気温降下で二歩も三歩も季節は前へ進んで「間は無いんかいっ!」と、ツッ込みを入れたくなってしまうが、どちらかと言えばこの気温の方がマトモであり、少なくとも熱すぎるよりは渓魚にとっても、デブったボクにとっても良い兆候である。車のラゲッジから寝袋を取り出し、くるまりつつ夜明けを待った。

●車の外気温計(上段左)は7度を指していた●
■木曽川上流部■
前回訪れた際には時間が少なくて攻めきれなかったので、スタート地点は同じであっても、ボクにとっては未知である、上流部へと更に釣り上がるつもりで入渓した。

●朝靄の立つ夜明けの河原●
■出足好調■
一匹目はすぐに目印を引き込んでくれた。ポイントとしては当たり前の、水中に沈んだ大石の裏だった。

●付近には平瀬が多いが、この区間の底質は変化に富んでいる●
本日初物としてはイキナリの抵抗を示したが、0.25号の糸を切ってゆくようなサイズではない。今年最期の一日の始まりを味わおうと、ゆっくりとやり取りをして無事に玉網に収まったのは、意外に良型であり、25cmクラスだ。

●稚魚放流から大きくなったであろう、ド派手な朱点のメス●
シーズン最終段階に来ても残っているアマゴは当然ながらスレている。だから一つ一つのポイントをじっくりと時間を掛けながら攻めることを心掛けつつ、更に釣り上がっていく。
そして、更に少し上流の区間にほどよい石裏の変化を見付けた。

●石裏に泡立つ流れ付近がポイントだ。●
そこに仕掛を投入。本流との流れの縁を丁寧に流していると、今度は目印の動きが停止した。すかさず合わせると、マズマズのサイズのアマゴが登場する。今度はどうやら天然育ちのオスのようだ。

●朱点がキレイに散った23cmのオス●
■区間の終わり■
その後はポツポツながら、順調に釣果が伸び、機嫌を良くしながら更に上流を目指した。そして少し距離を置いて2段になった堰堤の区間へと差し掛かる。そこから上流に目をやると、フライをしている釣り人が2人見えたので、どうやらこの区間の釣りはココで終わらなくてはならないようだ。
堰堤下流には角ブロックが整然と並んでいる。全般を見回すと、両サイドの川縁がやや深く掘れ込んでいるので、そこがポイントになりそうだ。

●堰堤下をよく観察すると、両サイドが深い●
空はピーカン状態なので、それまでよりも更に仕掛を細く、0.2号まで落として攻めてみる。しかし、この判断が最終的にはマズかった。下流側から慎重に攻めてゆくと、当初は小型のアマゴが数匹掛かる。そして一番上流側にある、最初の落ち込みで目印が止まると同時に竿全体を通して「ゴンッ!」という衝撃が伝わった。
相手は溝になった部分を下流へと疾走するが、両サイドのポイントを攻めるために川のド真ん中に立っていたために魚に合わせてコチラが走ると、ブロックの切れ目で確実に深みにハマって流されてしまう。ココは一か八かその場で踏ん張り、竿全体を絞り込んで疾走を止めるしかなさそうだ。
しかし、0.2号の仕掛に交換していることが頭をよぎってしまう。その一瞬の迷いを衝いて相手は深みへの落ち込みに全力で入ろうとした。その瞬間、竿先は天を突き、弧は解消されてしまった。痛恨のバラシである。
その後は小型のみ、何も得ることがないままに、この区間の釣りが終了した。

●手にしたのは15cm以下の豆クラスのみ●
■巴淵■
ココまでで釣り上げたマトモなサイズのアマゴは全て婚姻色が出ており、産卵は近いようである。その様子から、「アマゴ達は産卵絡みの行動で更に上流へ向かったのであろうか?」という考えが頭に浮かんだ。しかし、まだまだ時間がある。一旦、淵部分へ様子を見に行き、「答えが出そうにないのなら、一気に上流へ向かおう」という考えの下、淵が連続する「巴淵(ともえがふち)」近辺へと車を走らせた。
因みに巴淵とは、平家打倒の兵を挙げた木曽義仲(きそよしなか)の妻、巴御前(ともえごぜん)が水練のため幼少期に泳いだ淵とも、ただ単に回る渦が巴模様に見えるからとも言われる淵であり、木曽路の景勝地としても知られている。

●巴淵の石碑●
淵が見下ろせる橋に立ち、様子を伺っていると、真下にいるフライ・マンがドンピシャのタイミングで魚を掛けているではないか!。

●フライ・マンが、やり取りの真っ最中●
ゲットしたのは25cmクラスのアマゴのようだ。これを見たボクは、単純にも「淵に魚が入っているかも?」との判断に至る。そしてしばらく上流に車に走らせた先にある、淵などの水深があるポイントが続く区間へと向かうのであった。
■最終区間■
この区間は淵や深瀬が平瀬で繋がりながら連続している区間で、それはそれは見事な景観を成していた。しかし…。

●この区間も●

●この区間も●

●この区間も●

●この区間も●

●せいぜいこのサイズが限界●
小型は多数居るものの、どうにもこうにもサイズが伸びず、オマケに降り出した雨が強まってくる。このままでは増水して帰られなくなってしまいそうなので、ココは諦めて退渓を決意した。
■この日を振り返って■
結果論ではあるが、当初の思い通り魚はどうやら産卵のために上流を目指していたようだ。「巴淵のアマゴ」を見たがために判断がにぶってしまったが、帰宅後に、この日の釣りを振り返っている最中に、その昔にブラックバス釣りをしていた頃に覚えた「シーズナル・パターン」というモノを思い出していた。これは産卵場所を基軸として、シーズンごとのブラックバスの動きを指すのだが、それを推測し追跡することで、より魚に出逢う確率を高めることができるのだ。
渓魚の場合も多分同じで、秋の産卵場所が上流部や支流にあるとすれば、やはりそこへ向かうのが正解であった。それは頭では理解していたつもりなのだが、ついつい他人の魚を見たことでスケベ心を出した自分に反省することしきりである。
だが、次に生かそうとしても時間切れであり、来年までは試す手段もない。しかしながら、昨年も迷った挙げ句に同じ失敗をしていたような気がする…。毎年のようではあるが、「来年こそは!」と決意を新たにした今期最終釣行であった。
以前のブログ「子供に読んで欲しい本」で司馬遼太郎さんの『21世紀に生きる君たちへ』をご紹介されてましたね。
小学6年生になる息子に読ませたく、本日Amazonで注文しました。
どの記事も大変興味深く、なるほどと頷き拝見してます。
話変わりますが、そろそろクロのシーズンに入りますね。
ワタクシは磯釣り5年目の下手くそ釣り人ですが、今シーズンも長崎の壱岐(たまに五島)でデカバンにブチブチッと切られに行こうかと思ってます。
それぞれに思い出深いのですが、特に記憶に残っているのが中五島、若松島の渡船区にある「ヘボ島」と、中五島最北端にある津和崎周辺(好洋丸「http://blogs.yahoo.co.jp/kouyoumaru_in_tuwazaki」の渡船区)です。共に博多発のフェリーで向かえばすぐに釣りが出来るうえ、天気さえ良ければ瀬泊まりして丸2日間釣りまくれるのが嬉しいグレ(クロ)釣り場でした。
今後の注目は対馬の厳原にある「太光さん(http://tsushima-taikou.jp/)」の渡船区で、いずれは訪問しようと思っています。これまた博多からフェリーで簡単に行けるうえ、降りたその場で渡船に乗り込めるので、我々のような遠征組にも嬉しい釣り場です。
バラシの原因は「弱気になること」が原因だと思っています。ですから、「糸を出さない」をテーマとすれば、自ずと道が開けてくるように思います。実際寒グレ期の、口太の50cm前半クラスなら、単なる引っ張り合いでは竿が立っている限り2号ハリスは切れません。その事を信じて頑張ってください。
「信ずる者は救われる」かも知れません。
特に瀬際でデカバンサイズが当たってきた時に、瞬間的に伸されてしまいラインを思わず出して体勢を戻した時には、相手にブチっとヤラれて…
こんな経験が何度となくあります。
歯がゆい思い(楽しい思いでもある)をしながら、オレ成長しね~な~と呟いてます。
五島は博多ふ頭から行かれてるんですね。
博多ふ頭も随分様変わりしたみたいですよ。
たまにふ頭にある温泉に行きます。
我が家から20分そこそこなんで。
最近仲間が中五島で45センチクチブトを頭にぼちぼちの釣果でした。
そろそろ、ですかね~。