荒天続きで釣行レポートは出せない。従って今回は、このブログでは人気の高い道具ネタ。少し前の電動リールの話に続いての「完全フカセ用ロッド編」。
■今や絶滅危惧種の…■
現在、ボクがメインで使っているお気に入りのマッドバイパー・スティング265M(旧モデル)は、予備を所有しているので、しばらくは安泰なのだが、発売から13年を経た年代物になっているし、そのうちにトラブルに見舞われたりで次のロッドを探さねばならない事態が発生するかも知れない。その為、他人様の、ロッドの曲がりを眺めたり、自分で試したりで、「いざ」という時に備えてアレコレと考えている。
市場を見回すと、完全フカセ用の専用ロッドは廃盤が続いて、現存するのは、がまかつの真鯛スペシャルLV2のみとなってしまったが、この現状には「完全フカセ愛好者が減ってしまい、メーカーも諦めてしまったのか…。」と、残念に思っている。唯一残ったこのロッドの、前身モデルのLVを所有しているが、元来はマダイ用であるものの、ヒラマサに関しても春の白石グリでの釣りであれば充分にこなせるし、磯の上物竿的な良さがある。だが、3m台後半の長さはパワーロスが大きく、適水温期に入って以降、特に大型の出る玄達瀬では、かなり扱いに苦労させられるから、オールマイティには使えない。
以前に完全フカセ向きのロッドについて触れた際には
①「7:3調子もしくは胴に乗り過ぎない6:4で、全長2.35m~3.0m」
②「オモリ負荷が最大で150号以上の、汎用ロッドで言うところの100号クラス以上」
③「曲がり込んだ際に、スムーズなカーブを描く」
④「カーボン含有率の高い物」
と、記したが、ラインナップの豊富な従来型の置き竿系汎用タイプは「グラス含有量が増えて胴調子化し、全長が短くなる」傾向になって、ボクの考えとは真逆の方向に向かっている。
■落とし込み用ロッド■
そこそこ以上サイズのヒラマサが掛かった際にパワーロスが多くて疲れる置き竿用のムーチング・ロッドや長いロッドを使って「ヒーヒー」と言いながら巻いている人が居る中、「オヤッ?コレは…。」と気付かされる事があった。それは落とし込み釣り用ロッドの曲がりだった。
「ロッドと魚を喧嘩させて浮かせる。」とは、磯のグレ釣りでよく言われている事だ。これは、釣り人がハリスの強度を最大に生かすロッド角度=ロッドの胴部とラインが作る角度を90度近辺で保持し、「魚の走りと衝撃をロッドを胴部近くまで曲げ込む事で一旦は吸収して疲れさせ、最終的にロッドの復元力に負けた魚の頭をこちらに向ける」という流れを指す。胴から簡単にグニャリと曲がり込んでしまうロッドは復元力が低く、この作業がやり辛いので、走りが遅く沈み根に入らない習性のあるチヌ用を除いた磯の上物竿のほとんどが、胴部の反発力が生きる7:3から8:2調子で設計されている。
この「ロッドと魚を喧嘩させて浮かせる。」という点で見てみると、落とし込み用ロッドの曲がり具合が実にイイのだ。よく考えてみると、落とし込み用ロッドが持つ特性である「穂先でベイトのアタリを取って、本命の走りをバットのパワーで止める」は、磯釣りの上物用ロッドの特性と共通する。特に、穂先が柔らかである点は、小アタリを取るシーンが増えつつある近頃の完全フカセでは有利に働く。
また、置き竿用の各ロッドより、全長がやや長めの設計になっている点もウレシイし、手持ち操作が前提なので、軽量化されている点も有難い。
■実釣での曲がり■
これまでに実釣で使用した落とし込み専用ロッドは「シマノ・バンディット落とし込み・H230」「ダイワ・ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」「ダイワ・ゴウイン落とし込み・H-243・J(=旧型)」の3種で、これら全てでヒラマサを掛けている。中でもゴウイン落とし込み・H-243・Jは実際に完全フカセで使用した事があったが、胴部の曲がりと反発力に余裕があって、使い勝手がかなり良かった。
下の画像で確認してもらうと、特殊な調子のMMH以外は胴部の曲がりしろがキッチリ残っている事が理解できるだろう。
●「ゴウイン落とし込み・H-243・J」 V.S. 75cm級ヒラマサ●
因みにシマノの船竿全体で柔らか目の設定が多いので、Hタイプでもそんなに硬く感じない。
●「バンディット落とし込み・H230」 V.S. 96cmヒラマサ●
また、「ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」はMHパワーではあるが、やや胴に掛かるモデレート・タイプなので、PEライン使用前提の落とし込み専用とした方が良いように思う。
●「ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」 V.S. 90cm台ヒラマサ●
■互換バット■
落とし込み用ロッドは手持ちで頻繁に仕掛けの上げ下ろしを行う為、操作がし易いようにリールシートの位置が低く設計されているので、ボクのように骨盤周りに竿尻を着けてやり取りをするタイプの釣り人には、リール位置がやや低く感じる。しかし、多くの落とし込み用ロッドはエンドキャップを外せば竿尻にデカアテが装着可能なので、それを装着すれば幾分リールシートが前に来るので活用している。
●竿尻に装着されたデカアテ●
最近は送料負担の大きさから各メーカーが脱1ピース化(=2ピース化)を進めているので、これは旧モデル限定の話になるが、裏ワザとして他銘柄のバットを換装する手がある。
幸いボクが所有している旧型のゴウイン落とし込み=Jシリーズは「フェルール対応・ピン付きDPSシート・20サイズ装着」のバット(グリップ)ジョイント仕様なので、多くのバット(グリップ)ジョイント・ロッドと互換性があり、例えばシマノのBJSバット20シリーズが装着できる。
ウチに転がっていたBJSバットはリールシートの位置が400mmだったので、純正よりも約9cm長くなるが、構えてみたところ少し行き過ぎな感があった。好みの位置は35cmなのだが、それを実現するには自作するしかない…。尚、バットの延長は、その分だけ全長が伸びるので、自論の「竿さばきが一番良いのは2.7mあたり」に近付くので好都合だ。
■初心者にもオススメ■
これから先にボクがスティングの次を導入する際は、完全フカセロッド市場が現状と変わらなければ、上述した理由から落とし込み用ロッドを流用していくと思う。
但し、この選択はボクの主観だ。他の違ったスタイルの釣り人から見れば意見も変わるかと思うが、ロッド選びに困っている方々や、これから完全フカセ釣りを始めようとしている方々に一つの意見として参考になれば幸いだ。
付け加えになるが、もし余裕があれば、落とし込み用のH~MHクラスが1本と、グラス素材中心で胴調子の、青物対応用ロッドの80~100号クラスが1本との、2本体制を強く推したいところだ。この2タイプを持っていれば、兵庫県北部~福井北部で行われている、「完全フカセ釣り」「落とし込み釣り(タテ釣り)」「天秤ズボ釣り」の全てに対応出来るのだ。
また、「マダイも狙いたい。」という声も聞こえてきそうだが、マダイの引きは、たとえ大型であっても"ほどほど”であるし、沈み根に突っ込む習性も無いので、ドラグ操作を間違えなければ、硬めの竿でも十分に対応可能だから安心していイイ。それよりもマダイ用の胴から曲がる竿にヒラマサが掛かった時の方が、よほどキビシくなると認識しておいて欲しい。
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