■ 先日『酒は涙か溜息か 古賀政男の人生とメロディ』佐高 信/角川文庫を読んだ。そのつながりで『歌謡曲の時代 歌もよう人もよう』阿久 悠/新潮文庫を読み始める。
まず、このカバーデザインがなかなかいい。どこがいいのか説明することが出来ないがとにかくいい。
阿久さんは五千以上の歌謡曲の詞を書いたそうだ。「舟唄」で**お酒はぬるめの燗がいい 肴はあぶったイカでいい**と書いたかと思えば、**ペッパー警部 邪魔をしないで ペッパー警部 私たちこれからいいところ**とピンクレディに書いた。実に幅の広い作詞家だった。
その阿久さんが綴ったエッセー集。簡潔な文章、上手いなと思う。隙間時間読書に最適な一冊。
■ 昨晩 NHKの「爆問学問」で取り上げられた集合住宅は雑誌「新建築」の表紙にもなった作品です。
いつもだと爆笑問題のふたり(主に太田光さん)は大学の研究室で教授や准教授と激しく議論するのですが、昨日は斬新なデザインの建築に圧倒されてしまったのか、設計者の西沢立衛さんが語る建築論を静かに聞いていました。
この集合住宅はオーナーの専用住宅と友人の住宅、賃貸住宅を10の小さなワンルームの白いボックスに分けて四角い敷地に分散配置したものです(「新建築」による)。浴室だけのボックスが中央にポンと置かれていますが、どのように使うのでしょうね。
番組で俯瞰ショットとか模型でも示してもらえたら全体像が把握できたと思うのですが、それが無かったのはちょっと残念でした。
ここ数年、このように建築を構成する部屋を分散配置する計画をよく見るようになりました。今やプロトタイプとなったと言えるかもしれません。
分散配置されたボックスには大きな開口が設けられて内部空間と外部空間、別のボックスとの間にいろんな関係が生まれて(上の写真)、それがここで暮らす人たちの間にもゆるやかな繋がりを生み、新しい環境が創出される、というのが設計者、西沢さんの意図のようでした。
安藤忠雄さんの「住吉の長屋」で雨の日には傘をささないと隣りの部屋(トイレだったかな)に行けない、というプランが「え~、そんなプランありかな~?」と、かつて話題になりましたが、この西沢さんのプランと比べると、今や普通のプランですね。
十和田市現代美術館もこの集合住宅と同様、展示室を分散配置しています。昨晩も番組の中で紹介されました。どんな空間なのか、実際に体験したいと思います。
角館の武家屋敷としだれ桜、斜陽館、青森県美術館(正しい名称かどうか)、そしてこの美術館。やはり、東北に出かけなくては・・・。