■ ひさしぶりに読書に集中した週末だった。
■ 昨年中島岳志さんの『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』を「インドの独立運動に一生を捧げた一人の男の波乱万丈の人生が綴られた」冒険小説として読んだが、なかなか面白かった。中村屋が舞台というのも興味深かった。
中島さんの専攻は東アジアの近代政治思想史だとか。全く分からない分野だが、本は読みたいように読めばいい。優れた作品は多様な読み方が出来る、そう思って冒険小説として読んだまで。
中島さんは「週刊ブックレビュー」にゲスト出演した際も、司会者の質問に理路整然と、そして的確に答えていた。頭脳明晰な人、という印象をいだいた。
この明晰な頭脳の持ち主が書く文章をまた機会があれば読んでみたいと思っていたが、正月に書店で文庫化された『インドの時代 豊かさと苦悩の幕開け』新潮文庫 を見つけて購入していた。いままでしばらく「積読(つんどく)」状態だったが、昨日集中して読んだ。
中島さんはあとがきに**先入観や一時的なブームに流されず、インド社会をじっくり多角的に捉える眼こそが、現在の日本人に求められている。**と書いている。これは、まあ、ありきたりの指摘で、どのような対象に対してもこのように意識していなければならないと思う。
インドも日本と同じように経済成長を続け、大量消費社会となっている。物あふれる国に在って、国民が満たされない心の問題を抱えているのも同じか・・・。インドの実情をほんの少し知ることが出来た、と思う。
■ 書店で角川文庫の棚を探すことはあまり無い。背表紙のメリハリの無い色が集まって、もやっとした雰囲気をつくっていることに、その理由があるような気がする。いい本がたくさんあるだろうに。
講談社現代新書の並ぶ書棚は色がバラバラでまとまりに欠け、どうも読みたい本を探そうという気にならない。前の薄い黄色の背表紙のときにはよく読んだが。こんな理由を挙げる人がいるのかどうか分からないが、やはり装丁は大切だと思う。
たまたま、角川文庫ではなかったかな、と、ある本を探していてこの『酒は涙か溜息か 古賀政男の人生とメロディ』角川文庫 を見つけた。
へ~、佐高 信さんてこんな本も書くんだ、と購入。一気に読了。
懐かしのメロディといった歌番組があれば登場してきそうな流行歌の創作にまつわる様々なエピソードを織り交ぜて綴った昭和歌謡史。