■ 『昆虫―驚異の微小脳』 水波 誠/中公新書 をようやく読み終えた。
ミツバチには対称図形と非対称図形を区別するだけでなく、それを一般化する能力があるという。昆虫は視覚的な情報をどのように受容し、どのように処理しているか。
ゴキブリにはゴールの周囲の景色を記憶する能力があるという。このことを確認する実験装置が本書に紹介されている。あることを証明するのに、一体どのような実験をすればいいのか・・・。
ミツバチの8の字ダンスと円形ダンスによる情報伝達。ミツバチは餌場の方向と距離をどのように測るのか、ふたつのダンスの意味の違いを知るにはどのような実験をすればいいのか。
ヒマワリの一種の花の花弁をすべてもぎ取って逆向きに差し込む。こうして花の紫外線吸収領域を外側に向ける。するとこの花に着陸したミツバチは一体どのような行動をするか・・・。花のデザインにも意味がある!
優れた研究者は「なるほど!」な装置を考え、精緻な実験をしている。
最終章「微小脳と巨大脳」を著者は**ヒトの大きな脳と昆虫の微小脳はそれぞれ異なる生き方を実現するために設計されたものであり、どちらが優れているとは簡単には言い切れないのである。**と締めくくる。
昆虫に関する最先端の研究の紹介、解説。一般読者には、というか私の理解力では難解な部分も多々あったが、大変興味深い内容だった。