透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

えんぱーく

2010-05-28 | A あれこれ

えんぱーく 月のコート 100528

今日(28日)、塩尻の「えんぱーく」を見学した。このプロジェクトにはプロポーザル(←過去ログ)のときから注目していたが、7月末のオープンを控えて工事も終盤を迎えている。

最近では建築・構造を成立させるシステムの設計に主眼が置かれることが多いように思う。これは美しい空間・建築を志向するという従来の理念とは明らかに違う。そのはしりは伊東豊雄氏の「せんだいメディアテーク」だったかもしれない。

独創的なシステムをいかに提案するか・・・。この建築は工場でプレキャストされた厚さが20cmに満たない壁柱によって構造を成立させ、空間を構成している。

壁柱は新しい考え方ではない。50年以上も前に計画された菊竹清訓氏の自邸、スカイハウスにも壁柱が採用されている(右の建築トランプのイラスト)。スカイハウスが4枚の壁柱によって空中に浮かぶ姿を私も学生時代に見る機会があった。美しかったし、後年、壁柱を採用した理由も理解できた。

今日見学した「えんぱーく」では何故壁柱を採用しなくてはならないのか、その理由が分からなかった。

この建築はいずれ雑誌「新建築」などでも取り上げられるだろう。その際、設計者の柳沢氏には是非、何故壁柱なのか、その理由を書いて欲しいと思う。