■ 経済学という学問には全く無縁というか、関心がありませんでした。でも今年は何でも読んでやろう、ということで手にしたのが『経済学的思考のセンス』大竹文雄/中公新書です。帯のコピーも効きました。
著者はあとがきに**「こんなことも経済学なのか」と驚かれた読者も多いのではないだろうか。本書をきっかけに、少しでも経済学に関心をもっていただければ望外の幸せである。**(224頁)と書いていますが、読了後にまさにこのような感想を持ちました。
「計量経済学」という言葉が出てきます。この言葉をウキぺディアも参考にして説明するなら、経済学的な仮説に基づいて、分析対象の事象に関する理論モデルを作成し、統計学の方法によってそのモデルを分析する学問 となりましょうか。
仮説を周到な思慮に基づいて打ち立てるのが難しいのでしょうが、そこがまずポイントとなることがわかりました。統計学では高度な数学的手法を用いたデータ処理、分析が行われるようですが、本書ではその辺りについては具体的には取り上げていないので統計学の難しい数式は出てきません。
本書で取り上げているプロ野球監督の評価については、平均打率、本塁打数、平均防御率というチームの戦力と監督固有の効果を示す変数(本書ではこの辺りをもう少し厳密に扱っていますが)で、チームの勝率を予測する計量経済学的なモデルを推定すれば、同一の戦力を率いた時に勝率を引き上げるという意味での名監督のランキングをつくることができるとして、実際に分析した結果も示してあります。
他にもプロゴルファーのやる気と賞金額との関係など、身近で興味深い話題を取り上げて経済学的に分析して論じており、それらがなかなかおもしろくて経済学の世界をちょっと覗いてみようと思った私にはぴったりの本でした。
で、次はこの本です。