■ 「夏目漱石の美術世界展」が上野の東京藝術大学大学美術館(なんだか変なネーミングですね)で開催されています。この展覧会のことは知っていました。今月の初めに上京した時は、レオナルド展と大神社展の鑑賞に時間がかかり、この展覧会はあきらめました。
今日(28日)の朝刊(信濃毎日新聞)に、この展覧会に関する茂木健一郎さんの文章が掲載されました。
展覧会では漱石自身が描いた絵画も公開されているそうですが、漱石はなかなか絵が上手かったようで、茂木さんは**漱石にとっての絵は「趣味」の世界を越えていたということを、展覧会「夏目漱石の美術世界展」を見て、あらためて感じた。**と書いています。
漱石は絵に深い関心をもっていたようで、作品にもそのことが表れています。『草枕』の主人公は若い画家ですよね。この小説にはミレイ(*1)の「オフィーリア」、そうシェイクスピアの「ハムレット」の悲劇のヒロインを描いた絵が出てきます。何年か前にこの絵を渋谷で観ました。
『吾輩は猫である』の主人公・苦沙弥先生は多趣味で、謡もやれば俳句もやり、絵も描きます。**「どうもうまくかけないものだね。ひとのを見るとなんでもないようだがみずから筆をとってみると今さらのようにむずかしく感ずる」**(16頁)と感想を友人に語っていますが、これはもちろん漱石自身の感想でしょう。
茂木さんはこの展覧会について**漱石の作品だけでなく、自分自身人生の見え方まで変わる。奥深く、すてきな展覧会だった。**と文章を結んでいます。
そうか・・・。この文書を読んで、ああ、この展覧会、観ておくべきだったな~と、ちょっと後悔。芸大の美術館での開催は7月7日まですが、その後、静岡県立美術館に巡回すると記事にあります(7月13日~8月25日)。静岡に出かけるのもいいかも。でも今年の夏はいろいろあって忙しいかな・・・。
*1 ミレイは「落穂拾い」のミレーとは別の画家です、念のため。