透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「カジノ・ロワイヤル」はラブストーリー

2019-04-02 | A あれこれ

 007シリーズ全24作を2回観終えた。その後さらに私のベスト3の「ロシアより愛をこめて」と「ユア・アイズ・オンリー」を観て、「カジノ・ロワイヤル」で一応観納めとした。

「カジノ・ロワイヤル」はシリーズの他の作品とは明らかに違う、これは大人のラブストーリーだ。ボンドがポーカーの腕を買われてカジノ・ロワイヤルでゲームをして敵を破産させる。

モンテネグロに向かう列車の食堂車、いや、列車内の高級感あふれるレストランでボンドとヴェスパー・リンドが初めて会う。ここでボンドは彼女のしぐさや顔の表情などから、生まれ育った環境や今現在の心の動きなどをずばり読み解く。お返しにとばかりに彼女もボンドに同様のことをする。やはり人は誰かに自分のことを分かって欲しいと願っているものだ。ここでヴェスパーはボンドに惹かれ始める。

彼女はボンドのスーツをオーダーしていた。ゲームに参加するときにビシッと決めて、と。彼女の目測でスーツのサイズはボンドにピッタリ! 落ち着いたデザインも好い。これは恋に落ちていることの証(などと勝手な解釈)。

カジノ・ロワイヤルで行われたポーカー。ヴェスパーはハラハラしながら勝負の行方を見守る。で、最後ボンドが大勝して、豪華なレストランを借り切ってふたりだけの贅沢なディナー。だが、大きな空間にふたりだけだと華やかな雰囲気が漂わない。やはりレストランは賑やかでないと。

この辺りからこのラブストーリーがハッピーエンドとはならないことが徐々に明らかになって行く。他の作品の最後はお決まりのラブシーンなのに。

ヴェスパー・リンドを演じたエヴァ・グリーンの顔の表情が実に好い。これほどボンドガールの顔の表情をアップで捉えた作品はこのシリーズでは他に浮かばない。

007シリーズを観て涙ぐむなんて・・・。