■ 万物を創造した「造物主」は数学的知識を存分に活かして動物や植物をデザインした。『波紋と螺旋(らせん)とフィボナッチ』近藤 滋/角川ソフィア文庫 を読んで、改めてそう思った。
「第8章 すべての植物をフィボナッチの呪いから救い出す」に、茎から葉がらせん状に生える、植物のらせん葉序のことが取り上げられている。
葉が茎の周りに回転しながら生えていることはよく知られている。上から見ると、葉が円周上に均等にバラけて配置されていて、重なることを避けているのだ。
なぜか、光合成をするために受光面積を可能な限り増やすためだ。まあ、この辺りまでは知識として持っていた。葉の配置が90°だと、2周目(5枚目)に下の葉と重なってしまう。で、造物主は黄金角137.507・・・°を採用する。
本書の中で著者も触れているが、ここまで徹底しなくても**太陽の光は、真上から来るのではないから、十分に上下に離れている葉との間の重なりが問題になるとは到底思えない。確かに、私もそう思う。だが、これは造物主のかなりマニアックなこだわりの結果なのだろう。
分度器を持った造物主でも想定しないとこのような配置は理解できないのでは・・・。でも著者はきちんと解き明かしている。
本書にはこのような動植物の興味深い現象がいくつも取り上げられ、分かりやすく説明されている。なるほど!の連続だった。