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■ 『清張鉄道 1万3500キロ』赤塚降二(文春文庫2022年)を読み始めた。清張ファンにしてJR全線を乗りつぶしたという乗り鉄の赤塚降二さんの大変な労作。私も清張ファンで多くの作品を読んでいるし、鉄道が好きで鉄道に関する本を読んでいるから、この本を書店で目にして即買いした。
清張作品では登場人物が鉄路旅をすることが実に多い。赤塚さんは多くの清張作品を丹念に読み解いて、登場人物がどの路線をどこからどこまで乗ったのかを調べてまとめている。その成果を読み物としてまとめたもの。ある路線を一番最初に利用したのは登場人物の誰か、その区間距離はどのくらいか。その区間距離の合計が書名の1万3500キロになるという(2番目以降の利用者の距離はカウントされていない)。
**古月は、御茶ノ水から千葉まで総武線で来て、外房線に乗り換えて大網へ着く。まず、御茶ノ水―両国2.8キロが初乗りになる。その先、両国から内房線と別れる蘇我までは『断碑』の木村卓治が乗っており、蘇我―大網19.1キロが一番乗りになる。東金線に入り、東金まで5.8キロもまた初乗りである。**(64頁) 本文はこんな感じ。
巻末に資料編として作品中の旧国鉄・JR、私鉄の初乗り区間一覧と登場人物が乗った路線詳細図を収録している。登場人物が利用した路線を順番に整理することで清張作品の舞台がどのように全国に広がっていったのかよく分かる。引用文の蘇我ってどの辺り?、大網は? 資料編の路線図で確認できる。
しばらく、今まで読んだ清張作品を思い出しながら本書を楽しみたい。
拙ブログでは引用箇所を**で示しています。